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F-15JSI改修に見えるステルス、非ステルス機同時運用構想は日米が共有している

 F-15JはF-35と併用して大威力を発揮する機体となる。

本は最高45億ドルでボーイングF-15J合計98機を大幅改修し、「日本向けスーパー迎撃機」(JSI) 仕様とする案件で米国務省の承認を2019年10月末に受けた。

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JSIは日本が導入中のロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機と併用され、相互補完の関係になる。一方で米空軍は独自にF-15、F-35混成運用を模索している。

 

日米の空軍がステルス、非ステルス機材の長所短所をバランスさせようとしているわけだ。

 

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通常型なら探知されてもステルス戦闘機なら回避できるが、あくまでも兵装を機内搭載の場合だ。ただし、ステルス機は兵装庫で燃料搭載量が犠牲となり、航続距離が短く、ペイロードも非ステルス機より少ない。

 

他方で非ステルス機は最新の「極超音速」ミサイルも含む兵装を大量搭載できる。

 

両国政府はバランスのとれた機材編成の重要性を実感しつつある。こうして見ればF-15近代化改修が突飛な発想ではないことがわかる。

 

JSI改修は広範囲で、レイセオン製AN/APG-82(V)1アクティブ電子スキャンアレイレーダー、BAEシステムズ製AN/ALQ-239デジタル電子戦装備(レーダージャマー)を含む。また新型ミサイルも導入する。

 

「日本にはAESAシーカーがつく高性能AAM-4Bがある。ただ日本が米製AIM-120AMRAAMの導入も検討中との報道もある」と War Zoneのジョセフ・トレヴィシックが以下伝えている。

AIM-120はAAM-4Bより小型で交戦距離も短いというが、F-15JのJSI仕様にAIM-120を多数搭載することに意味がある。性能不足を数で補えるからだ。それ以外に日本は欧州のミサイル共同事業体MBDAの英国事業部と共用新型空対空ミサイルの開発にあたっており、シーカー他部品をAAM-4Bから流用しながらMBDAのラムジェット推進ミーティアの機構を取り入れるといわれる。

 

日本はF-35A(105機)、F-35B(42機)を発注しており、米英両国に次ぐ第三位の導入規模となる。2020年代中ごろの日本の戦闘機部隊はF-35とF-15JSIが中心となる。

 

「F-15JのJSI仕様機はF-35Aとの組み合わせで効果を発揮し、防空出撃で重宝されるはずだ。F-35との併用では、F-35が先を飛び標的情報を非ステルス機に伝え、非ステルス機の兵装搭載量が威力を発揮するはず」(トレヴィシック)

 

米空軍も同様にF-15とF-35の同時運用を狙い、新規生産のF-15EXを144機発注し1980年代製造のF-15Cを更新する。同時にF-35も導入しステルス機1000機超の運用とする。

 

F-15EXは「F-15C/D部隊がこなしているミッション範囲を広げるユニークな機材になる可能性がある」とWar Zoneのタイラー・ロゴウェイが伝えている。

 

「兵装運搬トラックとして、極超音速巡航ミサイルや超長距離空対空ミサイルのような大型兵器の搭載機として、さらに無人機編隊の統制用に、また第五世代機と第四世代機間の通信中継機として戦闘空域で重宝されるはずだ」

 

わずか数年前まではこれからは全ステルス機編成になるとの見方が主流だったが、今や混合編成が常識になりつつある。日米以外にもロシアや中国もステルス機調達は小規模としつつ非ステルス機材で改修を進めている。■

 

この記事は以下を再編成したものです。

 

A F-15J “Super Interceptor” Could Be Just What Japan's Air Force Needs

September 4, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-15JapanF-15 FighterMilitaryTechnology

A F-15J “Super Interceptor” Could Be Just What Japan's Air Force Needs

by David Axe 

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This article first appeared in 2019.

Image: Wikipedia


コメント

  1. ぼたんのちから2020年9月7日 10:13

    米空軍は、F-35/F-15EXで相互補完しながら制空戦闘を行うつもりで、記事ではその戦術の効用を謳っているが、本当にそのとおりか?
    このステルス/非ステルス機の戦術は、今ならば世界のどの場面でも通用するだろう。しかし、防空能力の高い国への侵攻ならば、相当な損耗が予想される。
    そもそもこのような戦術は、敵国にF-35と同等以上のステルス性能を持つ戦闘機が存在しないことを前提としている。敵国にステルス機があり、米空軍と同様の戦術を採れば、双方にかなりの損害が出るだろう。
    結局、このようなF-35のステルス性能に依存し、F-35を有効に使おうとする戦術は、つなぎの戦術であり、米空軍の圧倒的優位を長く維持できるものでないかもしれない。
    そうは言っても、F-35の弱点を改善する重武装で戦闘行動半径の大きいステルス機を新たに開発するには、長い期間と多大な費用が必要となる。また、ステルス性能の価値は、長い目で見ると下がることは間違いなく、そうなるとF-35よりもF-15の方が有用となるかもしれない。
    米空軍にとって、悩ましい過渡期なのだろう。

    返信削除
    返信
    1. いやはや、考えることはみな同じだなあ…そう、これは過渡期の戦術だと思うんですよねえ。
      >今や混合編成が常識になりつつある。
      原文では「 today mixed fleets are becoming more common. 」ですが、これは「常識」というよりも、コストとスケジュールを満たす一時的なソリューションとして「一般的に」なりつつある、みたないな?(同じかw)
      もちろん現時点では、
      混成飛行隊の先鋒を務めるF-35は、そのセンサー能力、前線管制機としての指揮統制(データリンク)能力、そして個としての戦闘能力についても、中国のJ-20辺りを上回っているのでしょう(たぶん)。随伴するF-15は、単機では中国版フランカーとどっこいかもしれませんが、JSI仕様となってF-35と完全リンクすれば、中国が同じ能力を得るには少し時間がかかるでしょう。
      しかし、「何時だって敵の方が多い」。中国版の混成飛行隊の能力が日本の6割、7割だったとしても(希望的観測)、数の方は日本の2倍以上揃えられるでしょう。これでは負けてしまいます。

      削除

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