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第六世代ステルス戦闘機は米国で完成している。予想より10年も早く飛行できた理由とは....

 第六世代ステルス戦闘機は米国が各国に先駆け飛行を開始させたようです。F-35で20年以上たっても完成しない間に技術は一気に次の段階に進んだのでしょうか。また数年で完成したのはなぜでしょうか。今回の記事はその片鱗に触れていますが、はいそうですか、と簡単に納得できない点もあります。ただし、航空機製造の技術体系が大きく変わるパラダイムシフトが米国で実現したのは事実のようですね。

 

USAF

 

国の謎に包まれた第六世代ステルス戦闘機は想定より5ないし10年も早く飛行を開始した。空軍の次世代制空戦闘機(NGAD)構想が始まり数年経過しているが、実機登場は2030年以降と見られていた。

この背景になにがあったのだろうか。考えられるのがデジタルエンジニアリングで試作機、設計図面、技術詳細を仮想再現し、テストや解析を「金属切り出し」より先に完了してしまうことだ。この作業で第六世代ステルス戦闘機は完成したのだろう。

空軍調達トップのウィリアム・ローパー博士がデジタルエンジニアリングを大々的に提唱している。ローパーがデジタルエンジニアリングの論文 “There is No Spoon: The New Digital Acquisition Reality”を発表している。 

「『デジタル三本柱』とはデジタルエンジニアリング・マネジメント、アジャイルソフトウェア、オープンアーキテクチャアであり、これがステルスに貢献する。次のパラダイムシフトは軍用分野でこの三技術で優位を確保することだ。より良いシステムを構築するのではなく、システムをよりよく構築することで、設計が短縮され、機体組立がスムーズになり、アップグレードが容易になる」

仮想シミュレーションや高度コンピュータ技術で設計が迅速化された以外に試作機多数の製造が不要となりコストが下がった効果が大きい。歴史を眺めるとペンタゴンで新型機というと、短くても10年かけ設計審査、各種調達段階を経たのちに試験開発にさらに数年をかけてきた。

ではどうやって第六世代機特有の技術詳細を試作機の飛行前に実現できたのだろうか。ここに高度デジタルエンジニアリングやコンピュータモデリングの妙義があり魔法がある。仕様が多数あってもシミュレートし仮想評価できる。ローパー論文ではデジタルエンジニアリングでは想像、直観といった人間特集の認知力を使い新装備品システムの開発を進めるとある。

大気の状態、空力学の諸現象、熱特徴、機体外部の構成、エンジン性能のすべてが正確に高度アルゴリズムで再現できる。完璧な際限が不可能な要素もあるが、デジタルエンジニアリングの効果は実証ずみだ。こうした効果からローパーがいうようにデジタルエンジニアリングが重要な検討の「水準を上げる」効果を示し、設計陣も可能性の幅を広げた。■

この記事は以下を再構成したものです。

Why An Air Force 6th-Gen Stealth Fighter is Here Almost 10 Years Early

by Kris Osborn - Warrior Maven

-- Kris Osborn is the Managing Editor of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is defense editor for the National Interest*. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.* 


コメント

  1. デジタル・エンジニアリングで生まれた機体を、現実世界にインテグレートする作業はどんなものですかね。「デジタルで実証されてんだから、再確認なんて不要だ!」と、言い切るんですかね。
    ともあれ、個人的には今回飛行したという機体は「ごく初歩的レベルの(飛べるだけの)実証機」なのではないか、とも思えてきました。
    だって奥さん、NGADですよ?「工数の削減」だけでフル・スケールの実証機を手早く作れちゃうんですか?夢がないなあ。それって、既存技術要素の組み合わせが占める割合が大きいってことですよね。
    全く新しい未知の技術要素、消える塗料とかホーミングするレーザーとか電磁なバリアとか、そう言うものはデジタル・エンジニアリングでもポンポン生まれないと思うのです。
    あるいは、NGADの有人ユニットは「高性能な前線管制機」みたいなもので、それ自体にビックリ要素はないのかも。

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