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2020年選挙で負けたのは左翼勢力。保守勢力が2022年中間選挙に勝利すれば、2024年大統領選の勝者は?

 Reuters

 

 

治でも人生同様に願い事すべてがかなうわけではない。現在の潮流のままだと大統領選挙の最終結果を裁判所で決める事態にはならず、ジョー・バイデンが次期大統領になる。筆者の最初の対応はフェイスブック上の民主党支持の友人多数にメッセージを送ることだった。「ジョー・バイデン当選なら、そちらが次の四年間苦しむことになる」

 

選挙結果は収穫でもあり、種まきにもなる。当選しても次回での敗北がはじまっていることもあり、逆も真なりだ。筆者は今回の選挙結果で四つの可能性を指摘していた。

  1. バイデンが大勝し民主党が上下両院で多数になる。

  2. バイデンが辛勝し、民主党が下院を共和党が上院を制する。

  3. ドナルド・トランプが僅差で当選し、民主党が下院、共和党が上院で多数派となる。

  4. トランプと共和党が世論調査に反する結果をだし、共和党が上下両院で多数派となる。

このうち、2と3が一番可能性が高いとみていた。

4.6K

Game Change

 

さて結果だが、筆者の見立てははずれたようだ。

 

当面は民主党支持者の願いが実現し、ジョー・バイデンがドクター(看護師なのか)ジル・バイデンと2021年1月に宣誓式に臨むとしよう。ではその後四年間の米政治はどうなるのか。

 

バイデンの大統領就任で政界地図はどう変わるか。今回の投票結果にヒントがある。民主党支持が堅固なカリフォーニア州でさえ、今回左翼陣営による動議、住民提案、住民選挙はことごとく失敗し、保守勢力の提案が可決されている。ここに選挙民の潮流が見える。ドナルド・トランプが選挙期間中に分断意識を高めたのとは無関係だ。成立した「リベラル」提案の内容はドラッグ保有の規制緩和、厳罰処置の緩和のみだ。これでは左翼リベラル勢力が勝利を威張れる内容ではない。

 

左寄り富豪のマイク・ブルームバーグなど大金を州レベル自治体レベルの選挙に投入したものの、共和党は全米各地で減衰どころか実力を発揮し増勢の動きも示し、政界地図は書き換えられ今後の動向に影響が出てくる。

 

下院では選挙前の大手メディアは民主党大勝を予測し、ナンシー・ペロシが次期議会を仕切るとみていた。上院ではやはり大口献金を左寄り富豪層から受け民主党が多数を占めると見られていたが、共和党院内総務ミッチ・マッコネルは以前同様に共和党多数勢力の中心人物のままだ。

 

皮肉にも今回の選挙結果でバイデン政権が成立しても共和党がトランプ政権時代より有利になる。

 

なぜか。大統領任期の中間点となる2022年に中間選挙が控える。中間選挙ではほぼ毎回ホワイトハウスに控える政党が負けることになっている。1966年に共和党は議員を若返りさせ、1968年のリチャード・ニクソン当選を予期させる勝利を得た。1978年には全国運動中のロナルド・レーガンが共和党立候補者を助け、自身の大統領候補指名の地盤を築き、1980年に大統領に当選し共和党は上院を確保した。クリントン政権中にギングリッチ革命がおこり、アイゼンハワー時代以来初めて共和党が下院で多数派となり、オバマ政権第一期中にも共和党が多数勢力となった事例がある。

 

オバマ、クリントンともに党内で人望があり、年齢も若く、弁舌達者だった。このためともに再選された。だが、弱い指導力(例 ジミー・カーター)、政治的に疎い(例 ジョージ・ブッシュ父)あるいは極端に二重人格かつ予測不可能(例 トランプ)の場合は中間選挙の退潮が自らの再選の望みを絶つ出発点となっている。

 

では2022年の中間選挙はバイデン政権にどんな結果をもたらすのか、トランプが再選してもレイムダック大統領のままで共和党が上院で多数派を維持し、下院でも勝利していた可能性は低い。

 

ジョー・バイデンが大統領になれば共和党に好結果が生まれるといっても過言ではない。

 

トランプの政治遺産が効果を出す可能性も残っている。ドナルド・トランプは一個人であり運動でもある。個人としてずばぬけた強さを誇り、弱点もある。だがそれ以上にその運動は愛国主義、楽観主義さらに弁解の余地なく米国の過去、現在、未来へに対する責任感がもとになった圧倒的な積極性が売り物だ。近年の共和党大統領候補と異なり、トランプは黒人社会、ラティノ有権者と夢と希望を共有した。この二つが今や有権者で比重を増している。国境線堅持を回復するとの公約は二大政党が支持している。だがなんといっても憲法を守る姿勢の健全な姿勢の連邦栽判事をこれだけ多く指名してきた実績がこれから長年にわたり米国民個々人の権利を守る効果を発揮する。

 

ドナルド・トランプ再選が実現しなくても、本人が生んだ運動は今後も米国民全員ではなくても響きつづけるはずだ。本人が表舞台から去っても残したメッセージが輝きを強める場合が実現しそうだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Why the Left was the Real Loser in the 2020 Election

 

by Aram Bakshian Jr.

 

Aram Bakshian Jr. served as an aide to presidents Nixon, Ford and Reagan and has been widely published here and overseas on politics, history, gastronomy and the arts.

Image: Reuters


コメント

  1. ぼたんのちから2020年11月10日 13:17

    記事の通り、トランプが再選されなくても、トランプが推進した政策の大筋は今後も残ることになるだろう。バイデン政権は、トランプの政策を骨抜きにしようとするだろうが、達成は難しい。
    残念なことにバイデンが大統領になってしまったところで、以下の理由によりその政権は極めて弱体なものになるだろう。
    1.バイデンの健康問題。バイデンは高齢過ぎ、二期目はなく、また、認知症の疑いもある。これでは大統領職は死に体になる可能性が高い。ハリスは未知数であり混乱を増長する
    2.いわゆるバイデン疑惑。トランプのロシアゲートが虚偽であり、陰謀であったことがほぼ明確になったが、バイデン疑惑は、証拠があり、子息への利益誘導、並びにバイデン本人の反国家的行為が証明されれば、まさしく弾劾に値する
    3.民主党の分裂。バイデン政権は、中道リベラルの民主党主流派と社会主義的性格の濃い左派の妥協の産物である。民主党主流派は、高齢化と腐敗が深まっており、その影響力は強まることはなく、民主党の政策は左派に引き摺られることになる。これでは米国民に支持されない
    さらに危惧するのは、バイデン政権のスタッフであり、恐らく現実が見えない教条的なリベラルと、パンダハガーとネオコンの残党によって構成されるだろう。その結果、衰退する西欧リベラルとの協調と中国に対する宥和政策になるかもしれない。この状況は、習が望むものである。
    さしあたってのバイデン外交政策のリトマス試験紙は台湾政策であり、中台紛争の発生抑止が実効性のある政策でできるかどうかである。

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    1. ぼたんのちから2020年11月14日 17:32

      追伸
      陰謀論的米大統領選挙の評価
      今回の大統領選挙の勝者は、民主党でもバイデンでなく、習とCCPである。そして選挙の敗者は、直接にはトランプであるが、米国の民主主義であるだろう。
      習は、トランプによって追い込まれ、いかなる手段を駆使してでもトランプを敗北させる必要があった。そのために武漢肺炎を流行させ、BLM運動を背後から過激化させて社会の不安を煽り、混乱させ、バイデン陣営に大量の資金を注入し、さらに民主党左派を操って、組織的で大規模な選挙不正を行い、バイデンを当選させ、習は目的を達成した。
      選挙は民主主義の根幹であり、その不正は民主主義の破壊に他ならない。民主党は、自党の不正が米国の民主主義を壊していることに気が付かないほど腐敗しているのだろう。
      バイデン政権は、これから中国に対し宥和政策を行い、習は、陰謀の果実を貪り、世界覇権獲得のため、より挑発的行動を進めるだろう。このことは日本に重大な危機をもたらす可能性があり、日本にとって正念場となるかもしれない。
      ところで、武漢肺炎が再流行していますが、日本を含むアジアの感染者数と比較し、欧米の流行は桁違いです。その理由は、個人的な意見ですが、武漢肺炎ウイルスは、生物兵器であり、特定の人種に深刻な流行を引き起こすものかもしれません。
      特定の人種に対する生物兵器は、2004年に「特定の人種を狙った新たな生物兵器(Wired)」でストックホルム国際平和研究所が警告し、2017年にロイターのコラム「次のスーパー兵器は「バイオ」か」で示唆しています。
      武漢肺炎の流行源は、有耶無耶にされそうですが、目を離さないでもらいたいものです。

      削除

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