スキップしてメイン コンテンツに移動

歴史に残らなかった機体 番外編 あなたの知らない機体

 成功した機材の裏に失敗作、期待通りにいかなかった数々の機体がある。合掌

 

 

1950年代60年代の米国航空機業界は狂ったように戦闘機、爆撃機、偵察機を開発し正式採用を目指していた。中には成功を収めたF-4、F-15やB-52もある。だが、構想は壮大でも失敗作に終わった機体も数々あった。その一部を見てみよう。

 

 

コンベアYB-60

1950年代初期の米空軍はターボジェット方式の長距離核爆撃機の実現をめざしていた。コンベアはピストンエンジンでB-36を製造しており、B-36のエンジンをジェットに換装し、その他一部変更するだけで空軍に採用されると安易に考えた。

 

 

そこから生まれたYB-60は全長171フィートの怪物でJ57ターボジェット8基を搭載した。YB-60は巡航速度467マイル時で2,900マイルを飛び、36トンの爆弾搭載量があった。いかにもすごい数字だが、YB-60の性能は競合相手のボーイングB-52に見劣りした。同じ8発のB-52の巡航速度は525マイル時で35トンの爆弾搭載で4,500マイルを飛んだ。空軍はYB-60テストを1953年1月に中止し、B-52は今日でも米空軍で健在だ。

 

 

 

ベル XF-109

1955年、米海軍と空軍がベル航空機に奇抜な構想を持ちかけた。マッハ2で飛行する垂直離着陸可能な戦闘機で、ベルは真剣に機体を設計し、非公式にXF-109と呼んだ。

 

全長59フィートのXF-109はJ85エンジン8基をつみ、4基にはアフターバーナーたつき回転式翼端ナセルに2基ずつ搭載し、後部にもアフターバーつき、なしそれぞれ2基を格納した。

 

推力方向を後方、下方に向ける画期的なXF-109の構想はF-35B超音速ジャンプジェット機としてロッキード・マーティンが40年後に実現した。

 

だがXF-109は先走り過ぎた機体だった。海軍、空軍ともに関心を失い、1961年に開発中止となったが、ベルは試作機も製造していない。世界初の実用垂直離着陸戦闘機になったハリヤーは1967年初飛行したが亜音速機だ。

 

Lockheed RB-12

1961年1月、ロッキードの伝説的設計者ケリー・ジョンソンが自主提案を米空軍に届けた。マッハ3のA-12スパイ機(SR-71ブラックバードの前身)を超高速戦略爆撃機に転用するというものだった。ジョンソンは並行してA-12からF-12戦闘機にも取り組んでいた。

 

空軍はRB-12構想が気に入ったものの、改良案RS-12を逆提案した。A-12のそり状のチタン機体とJ58ターボジェットを外して長距離レーダー、核弾頭付対地ミサイルをAIM-47空対空ミサイル(F-12用に開発)を搭載するものだった。

 

RS-12はソ連上空にマッハ3.2で8万フィートから侵入し、射程50マイルでソ連都市を誤差50フィートで攻撃する構想だった。

 

だが国防総省はF-12開発をコストを理由に中止し、RS-12も同様に取り消した。弾道ミサイルが有人爆撃機に代わろうとしていた。だがA-12の偵察機型SR-71は採用し、1990年代まで運用した。

 

 


コンベア Model 49

1960年代の米陸軍は米空軍機材が近接航空支援でまったく期待に応えないことにうんざりしていた。リパブリックF-105など高速だが地上部隊支援では脆弱ぶりを露呈していた。

 

そこで陸軍は独自に垂直離陸可能で広く前線に投入できる機材が必要と痛感した。過酷な近接支援任務に最適化させるには重装甲と兵装が必要だ。ここから高性能航空火力支援装備構想が生まれた。

.

大胆な設計で知られるコンベアが陸軍構想に応えた。同社はその前に尾部を下に直立するXFY-1の知見があり、二人乗りダクテッドファン機案を提示した。フランスのSNECMAの試験機C.540と似ていた。

 

外観は奇抜だったがコンベアはヘリコプターの性能と軍用車の攻撃能力を組み合わせた完璧な姿と自画自賛していた。

 

問題はコックピットに傾斜をつけパイロットが離着陸時に空の方向を見なくてもよくすることだった。このため機体前方は複雑なヒンジ構造となりトランスフォーマーのような外観となった。

 

 

ロッキード CL-1200

1960年代末のロッキードは商機を見つけた。世界規模で7.500機規模の高性能ジェット戦闘機需要があり、1971年に同社が製造した高速ながら悪名高きF-104の操縦性を改良したCL-1200ランサー構想を発表した。

 

高名な設計者ケリー・ジョンソンをかかえるスカンクワークスがF-104の主翼を拡大し水平尾翼を機体本体に近い場所に付け替えた。エンジン空気取り入れ口を改良し、内部燃料搭載量を増やし、F-104のJ79エンジンをTF33に換装した。その結果、CL-1200は理論上はF-104より操縦しやすくなり、機体価格2百万ドルで大量生産できるはずだった。当時のF-4E新造機体価格が2.4百万ドルだった。

 

ロッキードはCL-1200を米軍主催の国際戦闘機競作に持ち込み、同盟国向け輸出仕様戦闘機に採用を狙った。だが、ノースロップF-5Eが採用され、ロッキードはCL-1200構想を取り下げた。結局、モックアップ一機しか製造しなかった。■

 

この記事は以下は再構成したものです。

 

The U.S. Air Force was Happy to Get Rid of These 5 Fighter Jets

 

November 22, 2020  Topic: History  Region: Americas  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-4F-15MilitaryTechnologyYB-60RB-12

Not every one can be a winner.

by David Axe 

 

 

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared in August 2019.

Image: Wikipedia.


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ