スキップしてメイン コンテンツに移動

米特殊作戦部隊はウクライナ戦をこう見ている。20年を対戦闘員戦に注力して、変革に取り組むが、予算増が厳しい。

 

 

シアによる2カ月に及ぶウクライナ戦から、米国の特殊作戦部門は教訓を少なくとも2つ得ている。まず、米国が過去20年で培ってきた国際的パートナーシップが、大きな役割を果たしている。そして、無人機がさらに大きな役割を果たしている。

空軍、陸軍、海軍、海兵隊の各特殊作戦司令部の指導部はいずれも、水曜日の上院軍事委員会の新興脅威・能力小委員会で証言した。公聴会の焦点は、一般的な即応性と2023年要求での予算不足分だったが、質問の多くはウクライナに集中した。

アイオワ州選出の共和党ジョニ・アーンスト上院議員Sen. Joni Ernst, R-Iowaは、「侵攻後のリスクは何か」と質問した。「EUCOM米欧州司令部のこれまでの業績とプレゼンスを拡大する必要があるのはどこか」。

陸軍のジョナサン・ブラガ中将 Lt. Gen. Jonathan Bragaは、ロシア侵攻によって、東ヨーロッパ全域で「長年にわたる世代を超えた関係」を引き続き拡大する必要性が「強調」された、と答えた。

「ロシアと中国の脅威の規模と範囲を考えると、米国だけで対応はできないだろう」とブラガ中将は述べた。「そのため、国際的なパートナーについて、更に各国の能力と能力を高めることがいかに重要であるかについて話している」。

更に、同中将はウクライナでの「多数国」の特殊作戦部隊との国際的なパートナーシップは、「語られていない物語」だと述べた。

ブラガ中将は、「今すぐ人数は挙げられないが、各国は団結している。この20年間、異なる戦場、異なる大陸で共に働き、共に汗を流し、共に血を流してきたことが、効果を出していると思う」と述べた。

海軍特殊戦司令官のヒュー・ハワード少将Rear Adm. Hugh Howardは米国の特殊作戦は「変曲点」にあると、述べた。

ウクライナは「特殊作戦の第5の時代」の象徴で、これまで20年間、米国の特殊作戦が重きを置いてきたテロ対策からのシフトだ、とハワード少将は述べた。

「テロ対策に過剰に力を注いできた」「海上領域で私たちにしかできないことをメインにするため、緊急に動いている」 

海兵隊の特殊作戦司令官ジェームス・グリン少将Maj. Gen. James Glynnも同意見だ。

「過去 20 年間に投資し開発してきたテロ対策のスキルで、転用可能なのはどこまでか。どの程度、通用するか。そして、他に何ができるようにする必要があるのだろうか」とグリン少将は発言した。

特殊作戦部隊は、テロ対策以外の将来の戦場の姿をウクライナで学んでいるが、多くは地上にはない。

陸軍のブラガ中将は、「有人機無人機がもたらすインパクトには目を見張るものがある」と述べ、無人機は陸軍が注力しているが、ウクライナの影響を受けて、米陸軍は特殊作戦に有人・無人機専用の部門を作ることを検討し、「単なる追加任務ではなく、実際の専門分野」にしたと述べた。

「ロボティクスとAIがない未来の戦場は想像できません」と、ブラガ中将は議員に語った。

国防総省の他部門と同様に、特殊作戦部も横並びの予算ですべてを行う必要がある。

アーンスト議員は、「脅威が大幅に増加していのに、SOCOMの要求は昨年並だ」と指摘し、「横ばいの予算要求は予算削減と同じだ。インフレの上昇で、さらに悪化する」と指摘した。

SOCOMの2023年度予算要求は、2020年度予算より実質的に13億ドル少ない、とアーンスト議員は述べた。SOCOMは6億5千万ドル相当の予算未計上の優先事項リストを提供している。

「毎年、近代化、即応性、人事プログラムの中で予算勧告のバランスを取ろうとしている...そして毎年不足している」と空軍特殊作戦司令官ジェームズ・スライフ中将Lt. Gen. James Slifeは述べている。「提出した予算は、各分野でのリスクのバランスを表したものだ」。■

What Have US Special Operators Learned from the Ukraine War? - Defense One

BY ELIZABETH HOWE

ASSISTANT EDITOR, DEFENSE ONE

APRIL 27, 2022


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...