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主張 ロシアは大国ではない。大きな北朝鮮だ。

 

 

ーチン大統領はロシアの国力を破壊しており、ウクライナ戦争の誤算がロシアの衰退を早めている。プーチン本人は、これに気づいていないようだ。欧米の政府関係者は、プーチンが側近アドバイザーから嘘をつかれているとの疑いを強めている。また、プーチンは経済問題に関心が薄いようだ。対ロシア制裁を放置し、戦争が長引けば、ロシア経済がどこまで縮小するか把握していないようだ。

 今回の戦争がロシア崩壊の、ロシアが中堅国家に成り下がったことの原因だったと数年後に振り返ることになるかもしれない

 

プーチンはファシスト戦犯

プーチンが10年半で築いた体制は、権威主義、閉鎖性、超国家主義、抑圧性を一層強めた。プーチンは、混乱の1990年代からロシアの安定を取り戻そうと大統領職についた。ソ連崩壊後の「荒っぽい」資本主義を抑制するため、強硬策が必要だったのは間違いない。しかし、プーチンは権威主義に傾き、無期限に近く政権を維持するべく憲法を不正操作するに至った。

 プーチンはまた、西側への猜疑心を強めている。ロシア周辺での「カラー革命」に欧米の手が働いたと見ている。北朝鮮やイランの制裁逃れに手を貸した。中東、特にシリアで、軍が民間人に残虐行為を行い、荒っぽい役を演じた。今回のウクライナ都市部への砲撃も同様だ。

 国内では、偏執狂傾向が、ロシア社会の閉鎖、市民機関の抑圧、反対派の投獄、反対派メディアの排除などを引き起こしている。敵対する西側勢力にロシアが包囲されているとの好戦的なナショナリズムのイデオロギーが弾圧に伴っている。

 右派権威主義への傾斜はウクライナ戦争でピークに達したようだ。プーチンの過激な言動、帝国主義の公然たる受け入れ、戦争犯罪の容認によって、プーチンはファシストであるという意見が多く聞かれるようになった。

 

ロシア経済の腐敗、縮小

ロシアでの汚職の蔓延ぶりは有名な話だ。プーチンは当初、腐敗勢力を打破する姿勢に見えた。しかし、政権の利益のため逆に利用した。Transparency Internationalの汚職度スコアでロシアは常に上位にランクされている。

 汚職はロシアの経済成長を阻害するだけでなく、軍事力も低下させている。ハイテクを駆使した近代的な軍備は停滞経済では支えられない。社会の腐敗は必然的に軍部にも波及する。ウクライナにおけるロシア軍の兵站では、予備部品、燃料、軍需品の盗難や売買などが表面に出た。

 さらに制裁措置は懲罰の意味を有する。ロシアのGDPは現在世界第11位だが、エコノミストは今年だけでGDPの10〜15%の縮小を予測している。戦争が何年も続けば、ロシアは2年後にも世界経済のトップ20から脱落する。資本逃避と頭脳流出が加速し、中国への経済的依存も高まるだろう。

 

無謀な核の恫喝で孤立

プーチンは、ロシアの外交や世界経済からの孤立に対し、突飛な脅しや核兵器の言及で対抗している。プーチンは、ロシアは大国であるとの認識に固執している。しかし、ロシアに大国を名乗る経済力はなく、制裁で劇的に悪化しつつある。

 プーチンは、世界政治におけるロシアの重要性を主張する最後の手段として、核兵器のカードで対抗している。腐敗し、機能不全に陥った経済の重圧により、ロシア通常戦力が停滞するにつれ、核兵器の重視が高まっている。ロシアは、NATOや中国に匹敵する力が低下したため、核使用の閾値を下げた。

 ウクライナ戦争で、ロシアの通常戦力は外部が考えていたより弱いことを露呈してしまった。戦争が終結し、ロシアの経済基盤が大幅に縮小した後で、大国の威信をかけ、さらに戦略核兵器に傾倒する可能性がある。

 

北朝鮮としてのロシア

ウクライナ戦争後のロシアの状況によく似た国がある。偏執的で残忍な国家主義的指導者が従順な取り巻きに囲まれ、腐敗し機能不全の経済を持ち、世界多数国から嫌われ、恐れられ、孤立し、腐敗肥大した軍に支えられ、国際的威信のために核に傾き、突飛な脅威を与え、無謀にも核を振り回し、脱国したいと願う国民への弾圧に躊躇せず、極度なまでの国家主義思想、中国依存の国である。

 プーチンはロシアを大きな北朝鮮にしている。■

 

 

Russia is Turning into North Korea - 19FortyFive

By Robert Kelly

 

Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; website) is a professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. Dr. Kelly is a 1945 Contributing Editor as well. 

 


コメント

  1. ロシアは北朝鮮、というよりも……ロシア正教という宗教的なバックボーンがあるので。むしろ、宗教国家のイランか、オウム真理教が日本の政権を取ったと考えたほうが近いと思う。
    多くの経済学者・社会学者・政治学者は一様に「ロシアの行動が読めない」、「非合理な戦争などありえない(はずだった)」と頭を抱えていますが、理屈で考えたら永遠にわかるわけがない。
    ロシア特有の世界観(ルースキー・ミール)やモスクワ総主教庁が説く奇怪な宗教観、それがいかにカルト的な概念かを捉えなければ。
    現代のラスプーチンと言えるプーチンのメンター、キリル1世が説く「無垢なる(神聖なる)ロシア」というキリスト教的ファシスト思想があればこそ、民間人の虐殺も、さらにはウクライナ国家の抹殺とロシア化、果ては西側世界に対する最終戦争まで神学的な正当性を与えることができる。
    ロシア正教会はウクライナ戦争を神罰だと考えている。ロシアとは無垢で純粋な世界であり、対するヨーロッパとは退廃と不道徳な世界だと説いている。闇の側に堕ちたウクライナの兄弟を罰し光をもたらすのはロシアの聖なる義務で人類愛に基づくのだと……オウムのポア、タントラ・ヴァジラヤーナと酷似します。
    ……もはや、ロシアをまともな政治力学で語るのは間違っています。巨大なカルト教団と考えるべきなのです。
    プーチンを救世主と称え、核兵器に祝福を与える狂信的な聖職者の集団こそが、本当に危険な存在なのです。

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