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オスプレイ生産が終了になる見込みが出てきたが、2050年代までのティルトローター需要を考えればこのまま終了としていいのだろうか。

 

 

 

 

 

軍の共通機種中で最も革新的な回転翼機の生産が終わりに近づいてきた。

 

 

 V-22オスプレイ・ティルトローター481機のが発注済みか発注間近となり、同機を製造するベル=ボーイングが生産を数年以内に終了する見込みとなった。

 冷戦末期、ディック・チェイニーが国防長官として、くりかえし同機開発を止めようとしたため、不安定なスタートを切ったものの、オスプレイは史上最も多目的の回転翼機となった。

 

V-22 Osprey in flight.

V-22オスプレイは統合部隊で唯一のティルトローター機だ WIKIPEDIA

 

 V-22は従来型のヘリコプターではないので、「ロータークラフト」と呼ばれる。

 翼端のエンジンにより、ヘリコプターの垂直方向の俊敏性とターボプロップ機のスピードと航続距離を兼ね備えており、空中ではわずか12秒で90度旋回する。

 そのため、V-22は他の回転翼機と異なり、時速300マイル以上で巡航し、無給油で1000マイルの航続距離を実現し、さらに狭い場所に着陸可能だ。

 しかし、1988年、ソビエト連邦崩壊により、国防総省が兵器計画100事業を中止する準備を進めると、陸軍は開発を中止した。

 1990年代の「平和の配当」により軍備近代化が停滞する中、同事業を守り抜いたのは、主に海兵隊であった。

 海兵隊はそのコンセプトへの信頼を失うことなく、チェイニー長官の攻撃を議会の力を借り撃退し、オスプレイは揚陸作戦のあり方を一変させるに至った。

 空軍は特殊作戦部隊のために56機を、海軍は空母など洋上の艦艇への補給用に数十機を購入し、海兵隊以外も恩恵を受けている。

 いずれの場合も、ヘリコプターとターボプロップ機の性能を組み合わせた同機で、これまで不可能だった任務が可能になると軍の計画者たちは考えた。

 例えば、海軍の空母艦載機オスプレイは、外洋の艦艇に緊急物資を届け、従来の空母用輸送機と異なり、空母以外の各種艦船に対応できる。

 ボーイングとベル/テクストロンは、生産分担し、この計画の成功から多大な利益を得ている(両社は著者が所属するシンクタンクに寄附している)。

 しかし、海兵隊と海軍が必要とするティルトローターの最後の発注は2023年になりそうで、その時点で両社は他の機会をさらに追求する必要に迫られる。

 ベルは、陸軍ブラックホークヘリコプター数千機を交替する先進的回転翼機の入札で、V-22の性能から力を得ており、ボーイング社は別の競合チームに懸命に取り組んでいる。

 しかし、V-22の生産が終了するまでに、V-22の退役2055年予定まで必要となる機数を確保しておくことが重要だ。

 というのも、オスプレイのユニークな性能のため、退役前に機数を消耗した場合、海兵隊を船から陸に上げたり、長距離の特殊作戦を実行する任務を効率的に遂行する手段がなくなるためだ。

 海兵隊はオスプレイ360機の運用を計画し、今日の遠征作戦はティルトローター技術による柔軟性を前提としている。

 残念ながら、今後数十年にわたる紛争でどこまで消耗となり、ティルトローター機を必要とするどんな任務が発生するか、確実に予測する術はない。

 新規任務には、空中給油、電子戦、戦闘捜索・救助など、多用となる可能性がある。

 そのため、海兵隊が必要とするオスプレイをすぐに全機調達することと、10年後、20年後に十分な機数を揃えられるかは同じではない。

 空軍の特殊作戦部隊ではオスプレイの導入数が少ないため、この問題はさらに顕著となる。空軍当局は、特殊機材少数を維持する高コストで繰り返し警告を発している。

 また、海軍は、空母艦載機に48機のオスプレィを購入予定だったが、分散海上作戦によってティルトローター機体への需要がどこまで増加するかを考えずに44機に減らしてしまった。

 統合部隊は将来の戦争での消耗を回避するよう部隊編成する傾向があるが、国家防衛戦略が中国のような大国のライバルにしっかりと焦点を合わせた今、計画立案部門は相当数のティルトローターが敵攻撃で失われた場合、作戦にどんな影響が出るかを考えるべきではないか。

 というのも、計画通りなら、オスプレイの新規生産は間もなく終了するからだ。

 海兵隊は初期モデルを最新構成にアップグレードし続けるが、42州に広がる請負業者400社のサプライチェーンは、新規生産が完了すれば徐々に姿を消す。

 ラインの停止にどう備えるべきか、ベルとボーイングはすでに各軍へ打診を始めた。

 運命の一歩を踏み出す前に、計画部門は今世紀半ばを乗り切るべく十分なティルトローターの機数と、付随して起こりうる複雑な状況は事前に確認の必要がある。

 オスプレイ生産が終われば、再開はないと断言できる。ティルトローターの機能を発揮する機材は他にないため、今こそ機材整備の規模を正しく把握するべきだ。■

 

Production Of The V-22 Osprey Is Ending. The Pentagon Needs To Be Sure It Has Bought Enough.

Loren ThompsonSenior Contributor

Apr 8, 2022,10:44am EDT

https://www.forbes.com/sites/lorenthompson/2022/04/08/production-of-the-v-22-osprey-is-ending-the-pentagon-needs-to-be-sure-it-has-bought-enough/?sh=3cebec35ad9e

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