スキップしてメイン コンテンツに移動

プーチン最悪の悪夢、NATOがかつてなく強力になっている(19fortyfive)

 




在のNATOは、冷戦時代より良好な状態にある。欧州の人々は、大西洋共同体の自衛能力で思い悩むのをやめ、21世紀のプーチンのロシアに対し政治的・軍事的優位を保つ方法を真剣に考え始める必要がある。

 軍事力の価値は常に敵と相対的となる。今日、NATOは、同盟が防衛にはるかに多くの費用を費やし、ナポレオンを屈服させるような大軍を展開していた冷戦時代よりも良い状態にある。NATOがより良い状態にあるのは、状況が不利なロシアに直面しているせいである。

 NATOの最前線が西ヨーロッパの中心部、ドイツのど真ん中にあった冷戦時代と対照的に、今日の同盟には戦略的な深みがあり、NATOのディープ・ストライク・アセットはロシア領土のはるか奥深くまで射程に入れる。 プーチンは、ソビエトのように中盤線で戦争を始めることができるのではなく、自国のエンドゾーンからヨーロッパに侵攻しなければならない。

 プーチンは冷戦時代よりはるかに広い戦線に直面している。スウェーデンとフィンランドが加わったことで、ロシアには無視できないもう1,000マイルの側面が生まれた。

 冷戦時代、ロシアはバルト海の脅威であり、黒海をほぼ独占していた。今日、バルト海はNATOの湖となり、ロシア軍は黒海の大部分から追い出されている。

 ロシアがNATOを攻撃する場合、ウクライナも考慮に入れなければならない。 ウクライナがNATOに加盟しているかどうかは関係ない。 いかなるロシア軍もNATOを攻撃することはできないし、ウクライナに手を振りながら通り過ぎる自信もない。バルト三国への攻撃は、両脇に有能な敵がいる死の谷への突撃のようなものとなるだろう。

 前線の要であるポーランドは領土を防衛できる強力な軍隊を保有することに全力を注いでいる。 ルーマニアは、東部フランクを支えるため、有能な軍隊を建設中である。

 現状では、NATOは全体として、ロシアとの比較で有利な戦力相関関係にある。

 アメリカでは戦略的核の傘を強化・維持することで超党派での支持を得ている。NATOが強力な通常抑止力を維持すれば、同盟の戦略的態勢を計り知れないほど向上させる。 ロシアの対ウクライナ戦争の明確な教訓は、通常戦争に勝てないなら、核戦争は始めないということだ。 プーチンがNATOの通常戦力に勝てないとわかればわかるほど、ロシア軍がロシアにとどまる可能性は高まる。

NATO 2.0

NATOは、意図的ではないにせよプーチンを脅し第5条のテストをさせないようにすることを意図したトリップワイヤー戦略から、ロシアがすぐに戦争に勝てる可能性が低いだけでなく、モスクワが同盟に対してどのような戦争にも勝てるかどうか重大な疑念を抱かせるような戦争戦略へと移行している。

 同盟の現在の課題は、優位性を長期にわたって維持し、許容可能なコストで通常の抑止力を回復・維持することである。 我々は、それが実現すると確信できる。 手始めに、ドナルド・トランプ米大統領は欧州へ手を緩めることはないだろう。 多くの人が恐れているように欧州を見捨てるつもりもなければ、多くの人が望んでいるように自由な安全保障の提供に戻るつもりもない。 トランプは第三の道を選ぶだろう。欧州が正しいことをするまで、欧州を殴り服従させるのだ。

 ここにヨーロッパが正しいことをする2つ目の理由がある。それは、西側諸国がリードし続ければ、正しいことが完全に実行可能だからだ。

 ロシアのウクライナへの戦争は、NATO2.0で何が必要かを示す多くの教訓を与えてくれる。

 手始めに、NATOはより多くのディープ・アタック・アセットが必要だ。 NATOに消耗戦を戦う兵力はない。 その代わり、侵攻してくる軍隊の大半はNATOのフロンティアを越える前に撃破する必要がある。 米国との連携で、欧州は強力な深部攻撃兵力を保有することができる。

 次に、ウクライナ戦争のもうひとつの教訓は、ヨーロッパ諸国は人口集中地区やインフラを空爆やミサイル攻撃から守る必要があるということだ。 皮肉なことに、米国が同盟国に出費を増やすよう煽っているのは、ウクライナやイスラエルに加えられたような空からの攻撃から自国民や母国を守る予算を増やすためである。 これらの資産は高価だが、米国とNATOは自国版アイアンドームを共同開発できるはずだ。

 ロジスティクスは戦争の生命線である。 欧州は、新しいNATO戦線を支える南北インフラを必要としている。 欧州はまた、欧州の経済成長を促進するためにもこのインフラを必要としている。 そのため、鉄道、パイプライン、港湾、高速道路、飛行場などには、欧州の人々にとって考えもつかないような兼用投資が数多くある。

 ヨーロッパは民主主義の武器庫になる必要がある。 戦争のもう一つの教訓は、深刻な紛争に必要な軍需費を維持する準備が誰もできていなかったということだ。 爆弾や弾丸を大規模生産できる能力を持つことは、効果的な抑止力構造の一部である。■


Putin’s Worst Nightmare? NATO Is Stronger Than Ever

By

James Jay Carafano


https://www.19fortyfive.com/2025/02/putins-worst-nightmare-nato-is-stronger-than-ever/


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...