NGAD第6世代戦闘機:オリジナルアートワーク提供:Rodrigo Avella。Instagramでフォローすると、さらに素晴らしい航空機レンダリング画像をご覧いただけます。
米空軍のNGAD戦闘機プログラムは、予算に関する懸念にもかかわらず、前進している。国防総省は、新たな取り組みの意思表示として、エンジン開発契約に35億ドルを授与した。
中国の第6世代戦闘機2機種の公開により、米国が航空優勢を維持するよう促す決定が加速した可能性がある。
NGADは、AI駆動システム、次世代ステルス、比類なき速度と操縦性を実現する尾翼のない全翼機デザインを採用する可能性が浮上してきた
F-35は2070年代まで有効である一方、NGADは今後数十年にわたる航空優勢を定義し、米国が第6世代の航空優勢を巡る競争で優位に立つことを確実にする
空軍がNGAD戦闘機に大金を賭ける理由
ペンタゴンが第6世代の次世代航空優勢ステルス戦闘機に関して「迷いを断ち切る」かもしれない。
AI搭載の有人ステルス高速第六世代戦闘機では、曖昧さの霧を突き抜け、パラダイムを変える攻撃プラットフォームとして未来へと飛び立つかもしれない。
前空軍長官フランク・ケンドールが次世代航空支配(NGAD)を一時保留し、再評価する決定を下したにもかかわらず、このプロジェクトが灰の中から復活し、かつてのように無限のパワーと可能性を携えて再び空に舞い上がる兆しが見えてきた。
あいまいな状態は数ヶ月間続いたが、2つの正反対の方向性に見えるものの間の明白な矛盾や並置を考えれば、非常に重要なことだった。すなわち、ケンドールがコストを懸念しプログラムを一時停止した2024年夏に、バイデン政権がNGADに27.5億ドルの予算を要求した2025年の予算要求は、却下され不確実性の霧の中に葬り去られたりした。
2025年1月の米国議会調査局の分析では、B-21プログラムと次期ICBMのセンチネルを完全実施できるか不明であるとして、ケンドールの一時停止の主な理由として予算上の懸念が挙げられた。低コスの無人システムが運用要件を効果的に満たす可能性がある考え方もあった。
ペンタゴンでは、疑念の声が静かに反響していたに違いない。なぜなら、脅威の環境が急速に拡大していることを踏まえ、この決定の妥当性を疑問視する声が多かったからだ。NGADのエンジンプログラムが全速力で進んでいるように見えるため、完全に支援され、完全に資金提供された第6世代の航空攻撃プラットフォームの推進派が、これまでのためらいを吹き飛ばしそうな兆しがある。
1月27日、米国防総省は35億ドルのNGADエンジン開発契約を2社、ジェネラル・エレクトリックとプラット・アンド・ホイットニーに交付した。試作エンジンは2032年までに完成する予定で、この大型契約が以NGADの完全開発に向けた明確かつ決定的な一歩となることは間違いない。
中国の第6世代戦闘機2機種の影響
多くの変数がこの方程式に影響していると思われるが、多くの兵器開発者や意思決定者は、米国がNGADプログラムを完全開発すべきだと考えている。現在の脅威環境が、この方程式の第一の、そして最も明白な理由となっている。ロシアと中国が第6世代のステルス戦闘機プログラムを高速化しているためだ。
2025年初頭、2機の中国製第6世代戦闘機の画像がソーシャルメディアに投稿され、これまでにない新型機が持つ潜在的な高度性について分析や推測が世界中で行われた。画像が突如出現したことにより、国防総省の意思決定者は、不確実性を乗り越え、明確かつ加速的なNGAD開発の道へと突き動かされたのだろうか? 確かに、この要因は理にかなっていると言える。
しかし、中国による新型の試作機がソーシャルメディアに登場するはるか以前から兵器開発専門家がNGAD開発を継続し、に加速するようペンタゴンの意思決定者に強く促していたのは確かだ。その理由は明白だ。AIによるセンシング、ターゲティング、ナビゲーション、新しいセンシング技術、パラダイムを変えるステルス構成など、運用可能性に新たな有望な技術分野が参入する兆しがあるからだ。したがって、現代の脅威を考慮すると、第6世代機の能力を迅速に開発しないことは、ほとんど意味がないばかりか、危険であるとさえ言えよう。
また、AIの処理、分析、問題解決の速度が加速し、その範囲が大幅に拡大し続けている一方で、第6世代戦闘機として有人機を確保すべきだという意見も依然として根強いものがある。無人システムは、AIによるナビゲーション、ネットワーク、センシングといった新世代の自律性を活用できるのは明らかだが、アルゴリズムでは再現が難しい人間の意識に特有の属性はまだ数多くある。高速でAIが可能なコンピューティングと並行して、人間による意思決定を行うことは依然として不可欠だ。
NGAD 戦闘機。Rodrigo Avella
コンピューターは喜びを感じない
AIは有望で、無限の可能性を秘めているように見えるかもしれないが、数学的に生成されたアルゴリズムでは、人間の認知に不可欠な主観的なニュアンスの再現はできない。大量の高速AI生成分析で強化しながら、その独自の特性を活用する必要があるため、航空戦の成功には人間の意思決定が依然として重要だ。AI搭載のセンサーシステムがデータベースにないものに出会ったらどうなるか?人間の倫理観、感情、直感、認知についてはどうか? AIは、こうした人間特有の現象を正確に近似できるだろうか?
F-35の未来
F-35に関連する疑問がこの方程式に多大な影響を与える。なぜなら、国防総省は2070年代以降もF-35を最新かつ意味のある戦力として保つために、継続的にアップグレードする計画だからだ。ソフトウェア、コンピューティング、センシングのアップグレードが既存の機体設計に統合できる範囲が非常に広いため、これは価値のある野望といえよう。近年、ソフトウェアの段階的な導入により、コンピューティングのアップグレード、兵器の適用範囲の拡大、AIのさらなる統合により、F-35はほぼ完全に異なる航空機へと進化しつつある。
こうした理由やその他の理由から、F-35は数十年にわたり進化する脅威に対応し、戦力を維持し、近代化を続けることができる可能性は高いと思われる。具体的には、近代化改修されたF-35は、移動目標を40海里まで追跡できるハイテク爆弾「Stormbreaker」を投下できるようになり、Golden Hordeのような共同爆弾投下により、兵器が自律的にデータを共有し、飛行中に調整することが可能になる。AIM-9Xに組み込まれたオフボアサイト照準能力など空対空兵器のアップグレードは、F-35が変化していく脅威環境に対応し進化していることの証だ 。
新たなステルス技術の躍進
しかし、ソフトウェア、コンピューティング、武器統合、ミッションシステムのアップグレードでF-35の外観は変わることはない。確かに、F-35は極めてステルス性能に優れ、米空軍のレッドフラッグなどの軍事演習において第4世代の戦闘機や先進防空システムに対して有効であることが証明されている。しかし、第6世代機のレンダリング画像を見ると、さらに「ステルス性」の高い高速戦闘機が製造できることが示唆されている。尾翼やフィン、突出した構造物を持たない、完全に平らで滑らかな全翼機形状の戦闘機を設計することは可能だろうか?このような飛行機は、ステルス性を最大限に高めながらも、機敏に操縦でき、ベクトル制御も可能となるだろうか? 6世代機のレンダリング画像が指針となるならば、答えはイエスである可能性が高い。
平たいステルス戦闘機?
純粋な空力学的観点から見ると、突出した角度のある垂直構造がないため、電磁波レーダーの「信号」が跳ね返って反射する輪郭が少なくなる。完全に水平で滑らかなB-2のような、第6世代の初期モデルは、NGADが最適なステルス性と速度、空中での機動性を同時に実現するという、一見不可能とも思える課題を達成できる可能性を示唆している。
これは、次世代の航空攻撃能力を確保するため国防総省がNGADを開発しなければならないという強い根拠となる。歴史的に見ると、戦闘機は主翼、尾翼、垂直構造物で気流を調整してベクトルをかけたり操縦したりすると考えられがちだ。しかし、完全に平たいステルス戦闘機が、F-22より優れた機動性、ベクトル、ドッグファイトを実現できるような、新たな画期的な技術が存在するのだろうか?第6世代の画像を見る限りそれは可能であると思われる。
F-22では不十分?
議会報告書はまた、太平洋における対中戦におけるF-22での制約要因にも言及している。陸上運用機として少数しか存在しないF-22は、中国との大規模な対決において、制空権を十分に活用できない可能性がある。
「中国との戦闘では、中国沿岸の島々は数百マイル離れているため、F-22が航続距離460マイル、ペイロード2,000ポンドという制約を受ける可能性がある。航続距離を伸ばすために、F-22はKC-46やKC-135などの米空軍空中給油機に依存するが、空中給油機は攻撃を受けやすい可能性がある。少なくとも10年以上にわたり、空軍はこのような脅威に対処できるF-22の後継機の研究を行ってきた」とCRS報告書には記載されている。
ハムレットが決定を下す
これらが示唆しているのは、国防総省が技術的に最も進んだ第6世代戦闘機を可能な限り早期に大量配備する方針が、支持を集めており、形になりつつあるということだ。これは正しい決定だ。
シェイクスピアの『ハムレット』が、しびれるほどの悲しみと優柔不断を乗り越え、父の名誉を称え、父の復讐を果たしたように、米空軍は、迷いを乗り越え、米国の航空優勢を守り、NGADを構築するため断固として必要な行動を起こそうとしているようだ。■
About the Author: Kris Osborn
Kris Osborn is the Military Technology Editor of 19FortyFive and President of Warrior Maven – Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a highly qualified expert in the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.
The U.S. Air Force’s NGAD 6th Generation Fighter Is Making a ‘Comeback’
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