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エアバスA321旅客機が「空飛ぶフリゲート艦」哨戒機に改造される(The War Zone)―P-8が独壇場の市場に今から乗り込めるのでしょうか。フランス得意の政治力で新興国をねらう?P-1にはもう営業の気力もないのでしょうか。

 Airbus Defense and Space has begun a risk-assessment study for France’s future maritime patrol aircraft (MPA), to be based on an Airbus A321 airliner platform. Billed as a “flying frigate” by the company, the new MPA is intended to replace the French Navy’s Dassault Atlantique 2 fleet but arrives at a time when NATO nations are increasingly adopting the in-production Boeing P-8 Poseidon for their maritime patrol requirements.  

Airbus



老朽化が進むフランス海軍のダッソー・アトランティーク2を代替するもので、ボーイングのP-8が市場シェアを拡大する中での導入となる


アバス・ディフェンス・アンド・スペースは、A321旅客機をベースとする、フランスの次期海上哨戒機(MPA)のリスク評価研究を開始した。同社は、この新型MPAを「空飛ぶフリゲート艦」と銘打ち、フランス海軍のダッソー・アトランティーク2の後継機として開発するとしているが、NATO諸国が、現在生産中のボーイングP-8ポセイドン(Boeing P-8 Poseidon)を海上哨戒機として採用するケースが増えている中での登場となる。

 エアバスは昨日、新型の海上哨戒機のさらなるリスク低減調査に関する契約を発表した。契約は、フランスの国防調達機関である軍備総局(DGA)が、エアバス・ディフェンス・アンド・スペースを主契約者とし、欧州の防衛企業タレスと提携し締結した。契約期間は2年間で、2022年末に開始された以前の設計および実現可能性調査に続くものだ。

 今回の契約は、2026年末に開始される可能性がある新型MPAの本格的な開発とそれに続く生産開始に向けた準備が目的だ。風洞試験や技術仕様の策定も含まれ、これにより、各種の機内システムを選択できるようになる。また、このプログラムに関連し経済および産業状況についても検討される。

 注目すべき点は、A321XLR旅客機の海上哨戒機型、A321 MPAが指定されている点だ。以前は、A320ファミリーのいずれかのバージョン、またはダッソー・ファルコン10XビジネスジェットのMPAバージョンの製造が検討されていた。

 エアバスはA320neoを新型MPAのプラットフォームとして検討していたが、A321の胴体が長いことにより、追加の燃料とより大きなペイロードベイを収容できるだけでなく、センサーやその他のミッションシステム用の容量も増加する。基本的なA321XLR旅客機の航続距離は4,700海里(約5,400マイル)だ。

 「A321 MPAは、フランス海軍の海上哨戒機に課せられた幅広い任務に対応する空のフリゲートとなれるあらゆる能力を備えています」と、エアバス・ディフェンス・アンド・スペースのエグゼクティブ・バイスプレジデントで航空戦力部門の責任者ジャン=ブリス・デュモンは、同社の声明で述べている。「エアバスは、核抑止力の海洋的要素に貢献するために必要な自律性、可用性、信頼性を提供する独自のソリューションを提供します。

 デュモンは、現行の「アトランティーク2」の任務の1つとしてフランス海軍の戦略抑止力の要、原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)艦隊のパトロール出動時や基地への帰投時の護衛について、具体的に言及したのだ。

 現段階でA321 MPAに求められているその他の任務には、低強度から高強度までの対潜水艦および対艦戦、および情報収集が含まれる。

 現在就役中のターボプロップエンジン搭載のアトランティーク2は、対潜水艦戦を主たる任務として開発されたが、その後、敵艦艇に対する対水上戦の役割を担うようになった。

 さらに最近では、主に情報、監視、偵察(ISR)や陸上での攻撃任務にも使用されている。実際、中東や西アフリカでの対反乱作戦への参加を含め、陸上作戦を包含するようになったのは、アトランティーク2の任務プロファイルにおける最も顕著な変化だ。


フランス海軍のアトランティーク2 MPA。ダッソー・アビアシオン


しかし、現段階では、A321 MPAは水上任務を主眼に開発されており、対潜水艦戦の再注目や、より一般的な海上パトロール、特に通常戦力か非通常戦力かを問わずロシアの活動を阻止する目的を反映している。

 A321 MPAの任務用機器は、かなりの部分がタレスによって提供され、対潜戦用にアクティブ・フェーズドアレイ・レーダー(AESA)および受動・能動ソノブイを含む音響システムが搭載される予定だ。アトランティーク2同様に、潜航中の潜水艦を捕捉する磁気異常探知機も搭載される。また、自己防護装置と衛星通信が装備され、ほぼ確実に、無線周波数送信を傍受する電子支援措置(ESM)も搭載される。イラストでA321 MPAの側面に描かれた三角形のフェアリングには、ESMが搭載される可能性が高い。

 同じイラストに前方胴体の下にセンサータレットが描かれている。さまざまなアップグレードを経て、アトランティーク2には前方監視赤外線(FLIR)カメラを機首下に、また4つの異なるカメラを搭載したMX-20タレットを主としてISRなどの陸上ミッションで使用するために装備した、2つの独立したセンサー砲塔が搭載されている。


アトランティーク2の後部胴体下部のMX-20センサー砲塔。ダッソー・アビアシオン


 「同機の大型貨物室とオープンアーキテクチャのミッションシステムにより、ライフサイクルを通じて新たな脅威の出現への対応能力が大幅に向上します」とエアバスはA321 MPAについて述べています。

 A321 MPA用の兵器には、対艦ミサイルのほか、一部は主翼後部の格納庫に搭載され、おそらくは翼パイロンにも装備される対潜水艦魚雷が含まれます。

 特に、フランス、英国、イタリアの3カ国が共同で進めているFC/ASW(Future Cruise/Anti-Ship Weapon)プログラムで開発中の新型対艦ミサイルを搭載することが期待されている。FC/ASW計画では、2種類のミサイルを実戦配備する予定だ。低観測性巡航ミサイルと、非常に機動性の高い超音速ミサイルだ。前者は、航空機から発射される巡航ミサイルであるストームシャドー/SCALPの後継となる。後者は、対艦ミサイルであるエグゾセやハープーンの後継となり、A321 MPAに搭載される予定だ。



FC/ASWプログラムにおける2つのミサイルのアーティストによるコンセプト:下は低探知性巡航ミサイル、上は高機動超音速対艦ミサイル。MBDA


 FC/ASWの対艦兵器コンポーネントは、ラムジェットエンジンを搭載したミサイルとなる見込みであり、これは従来世代の欧米の空対艦ミサイルよりはるかに高速で機敏な性能を発揮する。強力に防御された艦艇の標的を攻撃するように最適化されているとはいえ、二次的な防御抑制能力も備えることが期待されており、さらに長距離における高価値空中標的(HVAAs)への空対空の役割を果たす可能性も示唆されている。

 同時に、A321 MPAに新型陸上攻撃ミサイルを搭載する可能性もある。このクラスの航空機が、敵対国の接近阻止能力を考慮した場合に、長距離攻撃能力を追加提供できる可能性について本誌が過去に検討したことがある。

 特に、エアバス社はA321 MPAが「低空飛行を含む高い機動能力」を有していることを指摘している。これは、ジェットエンジンを搭載した航空機をMPA任務に使用することに対する従来の懸念を指しているように思われる。この体制では、低速で低空飛行が可能なターボプロップ機の方が効率的だ。同じ問題はP-8にも当てはまる。P-8も高高度から水中目標を攻撃する計画であった。以前は、P-8は標的近くまで降下しなければ標準的なMk 54魚雷を発射できなかったが、現在では同じ武器に高高度対潜戦能力(HAAWC)折りたたみ翼キットが追加され、より高い位置からでも発射できるようになった。A321 MPAに同様のソリューションが開発されるかどうかは不明。


HAAWCを搭載したMk 54魚雷の想像図。 ボーイング


 現行の計画では、MPAは2030年代か2040年代のいずれかの時点で、老朽化したフランス海軍のアトランティーク2隊を置き換える。現在、フランス海軍は最新型のスタンダード6にアップグレードされた18機の「アトランティーク2」を保有しており、以前には、これらの機体を2035年まで維持するとしていた。各機は、フランス北部のランビュエ海軍航空基地に配備されています。

 A321は、限定的ながら特殊任務の軍事用途に投入されてきた。

 かつて、A321はNATOの地上監視(AGS)システムのプラットフォームとして構想されていた。このシステムは、合成開口レーダーを含む偵察能力を同盟国に提供するものだ。しかし、この能力は最終的に、グローバルホークの特殊バージョンであるRQ-4Dフェニックス無人航空機5機からなるNATO部隊に配備された。



NATOの地上監視(AGS)システムを搭載したA321を示す初期のコンセプトアートワーク。NATO


 それ以来、インドは将来の早期警戒管制機Netra Mk 2のプラットフォームとしてA321を選定した。当初は、このプログラムにはA320が選定されると思われていたが、最終的にニューデリーは胴体を延長し航続距離を延ばしたA321を採用し、エア・インディアの機体を6機購入して改修した。

 MPAミッションに戻ると、A321 MPAは、この要件を満たすため航空機は現地開発するフランスの伝統を継承しています。最終的にフランスはアトランティーク2を単独開発し、輸出受注を確保することはできなかった。

 A321 MPAが計画通りに開発と生産が実現した場合、この航空機は非常に競争の激しい市場に参入することになる。この市場では、米国製のP-8ポセイドンがすでに明白な受注の大半を確保している。

 NATOに限ってみても、P-8はカナダ、ドイツ、ノルウェー、英国から受注しており、緊密な同盟国であるオーストラリアはすでに長年ポセイドンを運用している。ドイツ海軍が米国製品を選んだことは、フランスにとって特に痛手だ。フランスは以前、ドイツと共同で新しいMPA(海上航空戦システム)の開発プログラムに取り組んでいたからだ。

 P-8はインド、ニュージーランド、韓国からも発注されており、A321 MPAの潜在的な市場シェアはさらに縮小しそうだ。

 おそらくフランスは、伝統的に強力な足跡を残してきた中東の潜在的な顧客に対して、A321 MPAを提案する方がうまくいくかもしれない。一方、アジア太平洋地域、特に南シナ海周辺で海洋監視の需要が高まっています。この戦略的に重要な航路はインド洋と太平洋を結ぶもので、中国はその大部分で領有権を主張しており、頻繁に緊張状態や対立が生じている。ここでは、中国の潜水艦の活動が特に懸念されています。

 A320ファミリーは旅客機として疑いようのない成功を収めているが、A321 MPAが好結果を残せるかどうかはまだわからない。しかし、フランスがP-8の購入を決断しない限り(政治的に可能性は非常に低いと思われる)、長年活躍してきたアトランティーク2を置き換えるに明白な選択肢は他にない。■


Airbus A321 Airliners To Be Modified Into “Flying Frigate” Patrol Jets By France

The maritime patrol jet is intended to replace the French Navy’s aging Dassault Atlantique 2s and comes as Boeing’s P-8 gobbles up market share.

Thomas Newdick

Posted on Feb 5, 2025

https://www.twz.com/air/airbus-a321-airliners-to-be-modified-into-flying-frigate-patrol-jets-by-france


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