2025年2月25日火曜日

トランプ大統領、エアフォースワンの納入を早める選択肢を検討(The War Zone)―しびれを切らし、いろいろな策をマスクと検討するようですが、空軍の求める仕様にも根拠があるので一気に解決とはいかないでしょう

 


AF1 trump model  

(PHOTO BY ALEX WONG/GETTY IMAGES)



2機調達するVC-25Bの納入遅延とコスト超過を受け、トランプ大統領は問題解決のためイーロン・マスクに協力を要請した模様


ナルド・トランプ大統領は、納入が2029年以降になる可能性が出てきた次期大統領専用機エアフォースワンの代替案を検討しているようだ。カタール首長家がかつて所有していたボーイング747-8を最近視察したほか、トランプ大統領は、大統領専用機VC-25Bの2機納入を早める方法を探っていると伝えられている。その方法には、同機に関わる作業者のセキュリティクリアランスを緩和することが含まれる。

 2機のVC-25Bは、747-8i旅客機からの転用であり、1990年に就航した2機の現行のVC-25Aに交代するが、VC-25Aはサポートが一層困難になっている旧型747-200をベースとしている。


DAYTONA BEACH, FLORIDA - FEBRUARY 16: Air Force One is seen landing for U.S. President Donald Trump's visit to the NASCAR Cup Series Daytona 500 at Daytona International Speedway on February 16, 2025 in Daytona Beach, Florida. (Photo by Chris Graythen/Getty Images)

2025年2月16日、フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されたNASCARカップシリーズのデイトナ500に、ドナルド・トランプ大統領が専用機VC-25Aで訪れた際の着陸の様子。 写真:クリス・グレイゼン/ゲッティイメージズ クリス・グレイゼン

747-8iは、ボーイング747の最終型で、747シリーズ全体の生産は2022年12月に完全に終了している。これにより、新型大統領専用機エアフォース・ワンは、既存の中古機体を改造して製造する必要が生じ、それには独自の課題が伴う。

 新型エアフォースワンの最終契約は、前トランプ政権下で交渉されたが、それ以来、そのプロセスはスムーズとは程遠い。昨年夏には、VC-25Bの初飛行が2026年3月に延期され、16ヶ月の遅れが生じた。

 長年の遅延に加え、ボーイングは固定価格ベースで交渉されたこのプログラムで20億ドル以上の損失を計上している。すでに途方もなく高額な新型エアフォースワンは、機体だけで約47億ドル(約5,120億円)の費用がかかり、史上最も高価な航空機となる。メリーランド州のアンドリュース空軍基地に建設される総工費約2億5,000万ドル(約275億円)の巨大な格納庫などの付随費用を加えると、プログラム全体の費用は約53億ドル(約5,810億円)となる。これは、トランプ大統領がジェット機のコストを大幅に削減したと主張していることが広く報じられていることを考慮したものであるが、その主張に議論の余地がある。

 『Breaking Defense』によると、12月中旬時点で、空軍は納入の「スケジュールを検証中」で作業は今春までに完了する予定。その後、空軍は「スケジュールリスク評価を実施し、納入日や運用能力など、主要なマイルストーンの日程を修正する」。


今週初め、VC-25Bは2029年以降に納入される可能性があることが明らかになった。これは、トランプ大統領が2期目の任期満了前に同機で飛行する機会を得られないことを意味する。

 当初、最初の機体は2024年12月納入予定だったが、その後ボーイングは少なくとも2027年か2028年まで納入を延期すると発表ていた。

 この最新の延期は、ホワイトハウス高官がロイター通信に確認したもので、その理由にサプライチェーンの問題と要件の変更を挙げている。同高官は、遅延は2029年を「数年」超える可能性があると述べている。

 ある政府高官は、一部メーカーが倒産したため、航空機の部品調達に問題が生じていると指摘した。同時に、報告書によると、一部の要件は「進化する潜在的な脅威」に基づいて修正されているという。

「大統領は飛行機をもっと早く欲しいと思っている。そのため何ができるか検討している」と、ボーイングのケリー・オルトバーグCEOは先月語った。

 遅延の増加に苛立ちを募らせたトランプ大統領は、盟友イーロン・マスクを巻き込むなど、より直接的なアプローチを取っているようだ。

ボーイング社のオルターバーグ氏はCNBCの取材に対し、「スケジュールを前倒しするために何ができるか、イーロンと協力している」と先月末語っていた。

 オルターバーグは本日、さらに次のように述べた。「イーロン・マスクは、要求事項を満たす上で、非常に協力してくれています。これにより、私たちはより迅速に作業を進め、大統領に航空機を納入することができます」。

 ニューヨーク・タイムズ紙が本日報じたところによると、トランプがマスク氏と検討している可能性のあるオプションの詳細が明らかになった。同紙は、この議論に詳しい5人の匿名関係者の話として報じている。

 中で最も過激なオプションは、「大統領専用機で働く一部職員のセキュリティクリアランスの基準を緩和する」というもので、これにより、ボーイングは、現在必要とされている最高レベルのヤンキーホワイトセキュリティクリアランス(大統領や副大統領と接触する軍関係者で必要となるものと同じ)を保有していない労働者をVC-25Bに採用できるようになる。報道によると、当局は最も機密性の高い部分に関与しない従業員に対するクリアランスの緩和のみを検討しているようだ。

 このような動きが実現した場合の影響は重大で、エアフォースワンのプラットフォームのあらゆる側面は、その任務にふさわしい最高レベルのセキュリティを確保するため綿密に調整されている。ボーイング関係者は、一部のセキュリティ基準を緩和することは可能と主張しているものの、大統領の安全、ひいては米国の安全保障を脅かす可能性があるものは、明らかに受け入れられるものではない。

 また、マスクは飛行試験のプログラムに組み込まれた時間でも批判的であると伝えられている。しかし、エアフォースワンの安全要件を損なう可能性のある動きは、特にそれが数ヶ月早く就役させることだけが利益である場合、受け入れられる可能性は低い。

 報道によると、マスクは昨年12月にテキサス州サンアントニオのボーイング施設を訪問し、VC-25B生産を加速させる方法を模索した。「軍事装備の多くを取り外し、大統領に商業能力を備えた格好の良い新型機を提供し、必要最低限の軍事用アップグレードを行うというアイデアでした」と、匿名の元国防総省高官がニューヨーク・タイムズ紙に語った。

 確かにそれは実現可能だろうが、最終結果は、重要な「政府の継続」という任務を遂行する能力(や、核戦争後のような最も過酷な状況下での運用能力など、エアフォースワンの要件をほとんど満たさないだろう。電磁パルス(EMP)の影響にも耐えられるように設計されているだけでなく、VC-25には非常に精巧な通信システムが搭載され、携帯式防空システム(MANPADS)やその他の地球上のあらゆる場所で発生する脅威に対する単一の自己防衛システムとして最も優れた機能を備えていることも念頭に置くべきだろう。


 記事では、別の機体の購入も検討されており、その機体は急遽改修され、VC-25Bが使用可能になるまでの暫定的な輸送機として使用される予定であると述べている。

 これは、土曜日にフロリダ州パームビーチ国際空港でトランプが視察した747-8を指している。この12年落ちの航空機は、以前はカタール首長家の所有であったが、その後改修され、現在は個人所有となっている。

 ホワイトハウスは、トランプ大統領が元カタール航空機の「あらゆる構成」を、新型のVC-25Bと比較するため見たかったと発表したが、ニューヨーク・タイムズ紙は、大統領が実際には空軍に購入させたいのではないか、と示唆している。

 元カタールの747-8が実用的なソリューションを提供できるかは極めて疑問だ。特に、空軍が「1年以内」にジェット機を改修して使用したいという希望が報じられている。結局のところ、暫定的な使用であっても、航空機には大規模な改造作業とそれに続く認証が必要であり、このような短期間ですべて達成できるとは到底考えられない。ましてや、VC-25Bよりもはるかに容易に達成できる理由も考え柄に。元カタール航空の747-8が、基本的な構成で急遽就役させられた場合、最終的にVC-25Bが到着した際には、空軍に標準外の大統領専用機が残されることになる。

 また、トランプ大統領がカタール機を視察したのは、ボーイングに対しシグナルを送るためだった可能性もある。

 もう一つの提案は、ボーイング社のエアフォースワンの契約を完全に打ち切り、他の請負業者にその仕事を任せるというものだ。最も明白なのは、高度に専門化された生存可能な空中作戦センター(SAOC)航空機群の納入契約を結んでいるシエラネバダ(Sierra Nevada Corporation、SNC)だろう。これらは、老朽化が進む空軍の747-200型機E-4Bナイトウォッチ「終末の日用機」に代わるものだ。しかし、トランプは過去にボーイングのビジネス慣行を繰り返し批判してきましたが、現段階でこのような急進的な動きを見せても、新型のエアフォースワンの就役が早まる可能性は低い。

 今後どのような展開になるにせよ、ボーイングのVC-25Bの取り組みは、空軍の調達プログラム運営で避けるべき教訓事案となっている。


 すでに、プログラムに関わる作業員のセキュリティクリアランスの不備や機体から空の酒瓶が発見されるなど問題が発生している。また、機体構造に小さな亀裂が発見され、修理が必要となった。


現行のエアフォース・ワンVC-25Aに近い塗装が施されたVC-25Bのレンダリング画像。バイデン大統領は、前任のドナルド・トランプ大統領が就任1期目に下した決定を覆していた。納入スケジュールによっては、トランプ案が再び検討される可能性もある。USAF


新型エアフォースワンの最大の話題のひとつは、機体塗装だ。トランプは、ケネディ大統領時代に遡る歴史の詰まったクラシックなデザインを廃し、自身の赤、白、青の配色に変更したいと考えている。機体納入が2030年近くまでずれ込めば、決定はできなくなる可能性もある。プログラム遅延により、トランプが次期大統領に選出された後にエアフォースワンの塗装に関する問題が再び浮上した。


塗装の議論であれ、航空機やその性能に関するより劇的な変更であれ、新型エアフォースワンのプログラムは常に物議を醸してきた。しかし、トランプ政権下で同機がこれまで以上に厳しい監視の目にさらされることは明らかだ。■


Trump Mulls Options To Accelerate Delivery Of Air Force One Jets

Amid delays and cost overruns for the two VC-25Bs, Trump has apparently called upon Elon Musk to help address the problems.

THOMAS NEWDICK


https://www.twz.com/air/trump-mulls-options-to-accelerate-delivery-of-air-force-one-jets


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