日本国民の関心は周囲の近海に偏りがちで思考がグローバルにひろがりにくいのはなぜでしょうか。その点で安倍外交が国民の先を走れば走るほど国民に違和感が残りそうです。そもそもホルムズ海峡の危機は日本にとって「周辺事態」ではないとどうして言えるのでしょうか。国境線しか頭にない方には利益線は受け入れられないでしょう。日英接近はその意味で思考を試す機会になりそうです。英国原稿なのでdefenceになっています。思えば英語もこれまで米語中心ですが、そろそろ多様性に目を開いていいのではないでしょうか。
Is increased UK-Japan defence cooperation leading to a new strategic alliance? 日英の防衛協力強化は新たな戦略同盟関係につながるか
January 30, 2019
At a time of reduced certainty surrounding the security of both the UK and in particular Japan, these two island states are looking at increased military cooperation in order to maximise their respective capabilities. 安全保障環境で不確実性が増す中で共に島しょ国家の両国が防衛面の協力関係を強化して能力を最大限に引き出そうとしている。
今年は日英両国にとっては安全保障防衛関係で良い結果を生むべく課題にとりくむ年になる。
安倍晋三首相の1月訪英で両国関係が改めて注目された。これまでの一年半では2+2含む大臣級会合に加えメイ首相の2017年訪日もあったが今回の首脳会談で防衛関係のさらなる強化を目指した。特にサイバー、対テロ、英海軍と海上自衛隊の交流強化をめざし海軍間の関係強化を強調したのには理由がある。
東京へ寄港したHMSアルビオン
安倍訪英中にHMSモントローズの日本寄港予定の発表があり、過去12ヶ月で英艦艇の日本回航は4隻となる。違法な瀬取りによる北朝鮮への石油その他禁制物資の受け渡しを国連安全保障理事会決議2375号に基づき取り締まる任務もこなすが、両国海軍は昨年も共同演習を展開しており、HMSアーガイルの他、HMSサザランド、アルビオンが自衛隊艦艇に加わり、国際法に則った地域秩序の維持が日英両国の国益に叶うことを示した。
英国の視点でみると東南アジア新興国へのアクセス維持、国際通商航路をインド太平洋で維持することがEU脱退後の英経済の成長に不可欠である。日本の視点では米国との同盟関係がギクシャクする中で中核的権益の確保のためにも別の方法も模索したいところだ。従来の安全保障の枠組みを多様化させるのは米国の現政権と中国の軍事的台頭の2つが背景にある。
第二次大戦終結後の日本の安全は日米安全保障条約(1951年)で米国が模索し、1960年の日米相互協力安全保障条約では条約の終了を想定しておらず軋轢も増えている。2016年に共和党候補になったトランプが大統領当選の暁には米国による日本防衛の責任を見直すと発言し、日本の核武装さえ容認した。こうした可能性は幸いにも実現していないが、トランプは安全保障では日本に有利と見ており、日本では日本の弱点を不安視する声が強まっている。
トランプ率いる米国の修正主義で改めて弱点が浮き上がり、さらに中国が強気に出る傾向が強まるなかで日本は三方面で打開策を模索している。まず、いずも級ヘリコプター空母を限定的とはいえ航空母艦に改装することがあり、F-35十数機を搭載する。日本は100機超を80億ドルから130億ドルで米国から導入する。
ステルス戦闘機導入ができたのは防衛費の増額で2019年から2024年にかけ1,880億ポンドを支出するのが第二の方策だ。防衛予算が国会を通過したのは中国の海軍空軍の活発な動きへの対応が念頭にあるためだ。とくに東シナ海の尖閣諸島方面が懸念対象だ。
三番目があらたな提携先を模索し、米国との同盟関係の脆弱性を担保したいとする。このため安倍はロンドンに赴き、メイは東京を訪れ、その他高級大臣訪問が続いた。
英国はEU離脱に備える中でヨーロッパの安全は比較的恵まれていると見ており、英国はスエズ以東に目を向け、急拡大するグローバル市場としてマレーシア、ヴィエトナム、香港、インドネシア、シンガポール、インドとの提携を強め、オーストラリア、ニュージランド、インド、日本との既存防衛関係を強化すべきである。
英フリゲート艦が海自艦船と太平洋を航行している
日本の自衛隊との共同作戦体制を強化し英国は自国権益に不可欠な通商と資本移動の自由の維持ならびにグローバル規模で法の支配による秩序維持につながる関係の構築をめざしている。
これまで18ヶ月の努力を元に戦略的な同盟関係が日英両国で生まれれば双方にとって有益な成果を今後期待できるはずだ。■
トランプの同盟関係をないがしろにする行為と、中国の軍備・経済強化と拡張政策のいくつかは実を結びつつあり、対抗する米国は経済戦争を仕掛け、世界は大きく揺らいでいるように見えるかもしれない。このことは戦争の危険性を孕んでいる。
返信削除しかし、やがて現在より賢明な指導者が米国に現れ、同盟関係は修復、強化され、米国の覇権は再構築される可能性が高いと考える。既に米国の上下院の与野党が共に中国に対し厳しい政策を採ることで一致していることは、今後の米国の行方を暗示し、特筆に値する。
問題は、世界の国々の各々が現在の混乱の時代にいかに対処すべきか、である。
日本は、インド太平洋構想を打ち出し、また、TPP11を結成し、中国を抑制し、東アジア・西太平洋の安定を図ろうとしている。
英国は、EU離脱を控え、国家戦略の大きな転換を行うようだ。EUのしがらみから抜け出し、英国はより自由な政策を採れるようになる。その戦略の根幹は、日本をはじめとするアジアへの関与の強化であるようだ。これは軍事のみならず、経済政策でもある。
英国と関係の深い英連邦や旧植民地は、アジア、オセアニアに多くあり、「日英同盟」の復活は、インド太平洋構想の強化となり、日本にとっても価値がある。また、英国は、TPP11に積極的に参加しようとするが、日本は歓迎すべきことだろう。