スキップしてメイン コンテンツに移動

PLANの実力を測るには演習方法に注目すべきだ 海軍組織の作り方



海軍の組織、人員、装備、熟練度を考えると一人前の組織が生まれるのに数十年かかるとしても、現時点では米海軍がまだ優位ですが、それでも西太平洋で米海軍が勝利をおさめるのは容易ではないならば、あと30年たつとどうなるのでしょうか。それまでに中国経済が持てばの話ですが....

How China's Navy Is Preparing to Fight America if War Comes 

中国海軍の対米戦準備はどこまで完了しているのか

Beijing has long struggled with unrealistic training not suitable for combat — now that’s changing. 
これまで非現実的な訓練に明け暮れていた中国の状況は変わりつつある
February 21, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWorldChinaNavy


民解放軍海軍(PLAN)には実戦経験がなくグローバル規模で米海軍に挑戦しても勝つ希望は持てない。米海軍は技術以外の各方面でも中国を凌駕している。
米海軍人員は優れた訓練を受けており、その知見がはるかに実際的なので武力衝突の際に効果を発揮するはずである。
だがそれで完結するわけではない。中国はゆっくりだが着実に訓練方法を変えつつあり演習方法でも同じで米海軍より危険な状況に意図的に人員をさらすこともあり、従来のトップダウンかつ野暮ったい方法論に手を入れている。
言い方を変えれば中国は実戦の準備をしている。これは米国には心配となる話題で、中国との限定地域紛争に勝利できず、あるいは行き詰まる状態を米国は覚悟している。
以上の論調で米海軍のデイル・リーレイジ大佐が米海軍協会機関誌Proceedingsに寄稿している。大佐は太平洋艦隊の情報部長で、中国軍の実態に詳しい。
この10年間で「PLANの訓練範囲が広がり複雑性をましてきたのはPLANの任務、作戦、戦力の拡大と軌を一つにしている」と大佐は記し、「その中心がハイエンド海軍任務で外国海軍が中華人民共和国(PRC)の利害に反する動きに出た場合にこれを排除する。訓練はどこまで実施しても実戦には追いつかないが訓練で高度化と実践化を進めてPLANの技量は着実に上っている」
この論調に反論が多数があることはリーレイジも承知している。中国は続々と新型艦、新装備を導入しているが開戦となった場合にどう活用するのかはっきりしないところがある。
艦艇それぞれは複雑な機構で艦隊となると数十万人の人員が維持運用で必要となる。人間はともすれば偏見に走りがちでここから過ちが生まれる。戦争とは混乱であり予測不可能な現象のため各国軍は実証済みの戦術や手順で実際の戦闘に臨むことが多い。
特に海軍では最低で数十年かけないと肝心なときに機能する組織が生まれない。戦術に関する限り中国は米国の後塵を拝している。
例えば中国の指揮官は「臨機応変」で新技術を学びながら技量を整備する傾向が強いとリーレイジは記している。中国には潤沢な国防予算があり現代にふさわしい指揮統制の仕組みができたのに古臭い非効率的な方法に回帰することが多い。
「中国の軍事ライターは訓練が『形式主義』に走り見栄えの良い訓練を意識していると批判することが多い」と米陸軍中佐(退役)デニス・ブラスコが2015年に War on the Rocks で所感を述べていた。「PLAもこうした問題を改善しようとしており上層部は訓練自体に欠陥があることは認識している」
だが中国も改善している。リーレイジ大佐によれば中国政府も演習の「敵軍」部隊に艦船をより多く投入するようになってきたという。また実弾演習を重要視し、演習部隊に敵軍の規模や戦力は事前に教えなくなってきた。
確かに米海軍も同様の方法を一貫して採用しているが、それは米海軍がプロの組織で戦闘準備を絶やさない軍事組織であるためだ。中国の方法論は革命的とはいえないが米国と海上対決するのに必要だ。中国も電子戦分野で訓練強化が必要と認め、レーダー、無線交信、衛星誘導装備の妨害を狙いつつ自軍の防護を狙っている。
「こうした中国の軍事報道が正しければこちらの通信は使えなくなり、レーダーが肝心な場面で妨害されることになる。赤軍(友軍)はこれに対し対抗措置をとるか逆に打倒する能力整備に向かうだろう」
また中国海軍は演習でリスクを回避せず他国海軍の水準を上回る。共産党幹部は軍の訓練にも影響を与えており、勝利のためなら規則を破る指揮官を評価している。
「たとえば北海艦隊の掃海部隊が機雷の実弾を処理したとする。いかにも現実的にするためリスクを受け入れたとする」とリーレイジは述べている。「場合によるが部隊指揮官は演習自体の制約を破り勝利したと賞賛されるはずだ」
「PLANのほうが訓練でのリスク受容では米海軍より先を進んでいる」とリーレイジは指摘。「この考え方からリアリズムが生まれるが装備、人員双方で負担も生まれそうだ」
米海軍との相違点は訓練の知見や実戦で相当大きなものがある。中国がリアリズムを重視し優位に立つ可能性はあるし、少なくとも米国と肩を並べることは可能だろう。現代にふさわしい指揮命令統制機能の実現に向け中国は問題を解決していくはずだ。だがその効果は実際の開戦とならないとわかりようがない。
その効果を我々が思い知らされる機会が生まれないことを祈るばかりだ。■
This first appeared in WarIsBoring here.
Image: Reuters.


コメント

  1. 米国が対中国との戦いで自国を基準に考えるのは当然としても、安全保障条約を各国と結んでいるからには、それらの国への影響も考えて欲しいな。特に日本や台湾を含むアジア各国は直接の脅威を受けているのだから、実際に戦争が起きたときに何もする気が無ければ、早くそういって欲しい。日本は核武装を含め、米国の支援無しの軍備を整える必要があるのだから。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ