海軍の組織、人員、装備、熟練度を考えると一人前の組織が生まれるのに数十年かかるとしても、現時点では米海軍がまだ優位ですが、それでも西太平洋で米海軍が勝利をおさめるのは容易ではないならば、あと30年たつとどうなるのでしょうか。それまでに中国経済が持てばの話ですが....
How China's Navy Is Preparing to Fight America if War Comes
中国海軍の対米戦準備はどこまで完了しているのか
Beijing has long struggled with unrealistic training not suitable for combat — now that’s changing.
これまで非現実的な訓練に明け暮れていた中国の状況は変わりつつある
人民解放軍海軍(PLAN)には実戦経験がなくグローバル規模で米海軍に挑戦しても勝つ希望は持てない。米海軍は技術以外の各方面でも中国を凌駕している。
米海軍人員は優れた訓練を受けており、その知見がはるかに実際的なので武力衝突の際に効果を発揮するはずである。
だがそれで完結するわけではない。中国はゆっくりだが着実に訓練方法を変えつつあり演習方法でも同じで米海軍より危険な状況に意図的に人員をさらすこともあり、従来のトップダウンかつ野暮ったい方法論に手を入れている。
言い方を変えれば中国は実戦の準備をしている。これは米国には心配となる話題で、中国との限定地域紛争に勝利できず、あるいは行き詰まる状態を米国は覚悟している。
以上の論調で米海軍のデイル・リーレイジ大佐が米海軍協会機関誌Proceedingsに寄稿している。大佐は太平洋艦隊の情報部長で、中国軍の実態に詳しい。
この10年間で「PLANの訓練範囲が広がり複雑性をましてきたのはPLANの任務、作戦、戦力の拡大と軌を一つにしている」と大佐は記し、「その中心がハイエンド海軍任務で外国海軍が中華人民共和国(PRC)の利害に反する動きに出た場合にこれを排除する。訓練はどこまで実施しても実戦には追いつかないが訓練で高度化と実践化を進めてPLANの技量は着実に上っている」
この論調に反論が多数があることはリーレイジも承知している。中国は続々と新型艦、新装備を導入しているが開戦となった場合にどう活用するのかはっきりしないところがある。
艦艇それぞれは複雑な機構で艦隊となると数十万人の人員が維持運用で必要となる。人間はともすれば偏見に走りがちでここから過ちが生まれる。戦争とは混乱であり予測不可能な現象のため各国軍は実証済みの戦術や手順で実際の戦闘に臨むことが多い。
特に海軍では最低で数十年かけないと肝心なときに機能する組織が生まれない。戦術に関する限り中国は米国の後塵を拝している。
例えば中国の指揮官は「臨機応変」で新技術を学びながら技量を整備する傾向が強いとリーレイジは記している。中国には潤沢な国防予算があり現代にふさわしい指揮統制の仕組みができたのに古臭い非効率的な方法に回帰することが多い。
「中国の軍事ライターは訓練が『形式主義』に走り見栄えの良い訓練を意識していると批判することが多い」と米陸軍中佐(退役)デニス・ブラスコが2015年に War on the Rocks で所感を述べていた。「PLAもこうした問題を改善しようとしており上層部は訓練自体に欠陥があることは認識している」
だが中国も改善している。リーレイジ大佐によれば中国政府も演習の「敵軍」部隊に艦船をより多く投入するようになってきたという。また実弾演習を重要視し、演習部隊に敵軍の規模や戦力は事前に教えなくなってきた。
確かに米海軍も同様の方法を一貫して採用しているが、それは米海軍がプロの組織で戦闘準備を絶やさない軍事組織であるためだ。中国の方法論は革命的とはいえないが米国と海上対決するのに必要だ。中国も電子戦分野で訓練強化が必要と認め、レーダー、無線交信、衛星誘導装備の妨害を狙いつつ自軍の防護を狙っている。
「こうした中国の軍事報道が正しければこちらの通信は使えなくなり、レーダーが肝心な場面で妨害されることになる。赤軍(友軍)はこれに対し対抗措置をとるか逆に打倒する能力整備に向かうだろう」
また中国海軍は演習でリスクを回避せず他国海軍の水準を上回る。共産党幹部は軍の訓練にも影響を与えており、勝利のためなら規則を破る指揮官を評価している。
「たとえば北海艦隊の掃海部隊が機雷の実弾を処理したとする。いかにも現実的にするためリスクを受け入れたとする」とリーレイジは述べている。「場合によるが部隊指揮官は演習自体の制約を破り勝利したと賞賛されるはずだ」
「PLANのほうが訓練でのリスク受容では米海軍より先を進んでいる」とリーレイジは指摘。「この考え方からリアリズムが生まれるが装備、人員双方で負担も生まれそうだ」
米海軍との相違点は訓練の知見や実戦で相当大きなものがある。中国がリアリズムを重視し優位に立つ可能性はあるし、少なくとも米国と肩を並べることは可能だろう。現代にふさわしい指揮命令統制機能の実現に向け中国は問題を解決していくはずだ。だがその効果は実際の開戦とならないとわかりようがない。
その効果を我々が思い知らされる機会が生まれないことを祈るばかりだ。■
This first appeared in WarIsBoring here.
Image: Reuters.
米国が対中国との戦いで自国を基準に考えるのは当然としても、安全保障条約を各国と結んでいるからには、それらの国への影響も考えて欲しいな。特に日本や台湾を含むアジア各国は直接の脅威を受けているのだから、実際に戦争が起きたときに何もする気が無ければ、早くそういって欲しい。日本は核武装を含め、米国の支援無しの軍備を整える必要があるのだから。
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