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主張 核近代化に合わせ指揮統制通信の近代化更新も忘れてはならない

基本設計が1960年代の核兵器用の指揮統制通信能力が今も有効なのはそれだけ当時としてはずば抜けた水準の装備として重点投資されたきたためでしょう。その投資で今も一応は機能しているものの、今後を考えると不安だというのが今回の主張の論旨だと思います。核の傘の下に依然としてとどまる日本としても無視できない話です。要求水準の違いがありますが、日本の民生技術も何らかの貢献ができるのではないでしょうか。


Aviation Week & Space Technology

Opinion: The Challenge Of 21st Century Nuclear Command-and-Control 21世紀にふさわしい核兵器の指揮統制機能の確立が課題だ

Feb 14, 2019Bill LaPlante | Aviation Week & Space Technology


E-4Bは緊急時に移動式統制通信センターとなり大統領あるいはペンタゴン上層部による緊急戦争命令を下す場所となる。 Credit: U.S. Air Force


れなりの年齢の方なら1960年代を思い出してほしい。当時のテレビと言えば小型白黒画面で電話にはコードがつき回転ダイヤル方式だった。インターネットなどSF小説の世界の話だった。
その中で国家指導部向けの核戦争時指揮統制通信(NC3)装備は最高技術の結晶と見られていた。
冷戦終結で核兵器が二次的存在になると核を下支えしてきたNC3装備の地位はさらに縮小した。
NC3は極めて重要で、大統領は核危機の中でも自軍と連絡を維持できる。装備には警戒衛星、レーダー、通信衛星、航空を含む。NC3とは核三本柱のICBM、ミサイル原潜、核搭載爆撃機を結び戦時ミッションを実施させる要素だ。米国の核兵力では安全で信頼性の高い通信が国家最高指導部と核部隊の間に確立されていることが必須条件だ。
だがNC3はこれだけ重要な要素にもかかわらず、技術の進歩にペースをあわせていない。どうみても旧式化している。2017年時点でも8インチのフロッピーディスク(1970年代製)を使っていた。NC3が機能することは疑いないが三本柱近代化の中で1960年代技術で21世紀の核兵器運用をする事自体が問題だ。
1980年代から通常部隊が優先される状態で核兵器はNC3含み後回しにされ、予算面では人件費ばかりが増える状況だった。
米国の核抑止力が萎縮する中でロシアや中国は待ってくれなかった。両国とも核装備を意欲的に近代化し、米国の弱みにつけ込む策を狙ってきた。両国の戦力が進展する中で核抑止力の維持は一層困難になっている。
2018年度の国家防衛戦略委員会報告書によれば「米国は次の戦争では受容できない規模の死傷者や重要施設喪失を覚悟せねばならない。中国やロシアが相手の戦闘で勝利は容易でなく敗戦もありうる。米国の軍事力の実態から見て2方面以上で同時に戦う状況では敵戦力に圧倒される危険がある」という。
そこで米国は核運搬装備の抜本的近代化に取り組み、新世代爆撃機、潜水艦、ICBM、空中発射ミサイルの開発が始まっている。三本柱への投資は相当規模となり将来のNC3装備で各部隊をつなぐ。
ただし電子装備中心のNC3は米空軍のB-21爆撃機や海軍のコロンビア級後継潜水艦のような大型で目に見える案件に比べ政治的に魅力がなくセクシーでもない。だが指揮統制通信機能が確保されなければ爆撃機乗員や潜水艦乗組員は任務を達成できないのはあきらかだ。
ではどうするのか。米空軍大将ジョン・ハイテン戦略軍司令官がNC3を「最大の懸念材料」と呼び、NC3アーキテクチャアは「簡単に更改できない」と議会で述べたのはシステムがそれだけ堅牢で、弾力性あり、かつ旧式化しているためだろう。
近代化には政策、調達、運用部隊、情報機関の連携調整が必要だ。最初に総合的で統合されたNC3戦略の構築の必要がある。
戦略的に考えると次の4つの目標に向け同時に動くことが死活的に重要だ。


  • 弾力性あるNC3機能を維持し現在の脅威に対応できること
  • 21世紀の課題に答えられるべく近代化すること
  • 次世代のNC3アーキテクチャアへ備え作業すること
  • NC3が各同盟国提携国とも支障なく作動し米国の核の傘の有効性を維持すること


核抑止力は我が国防衛の基盤である。核保有国間で1945年以来一度も大規模戦闘が展開されていないのは偶然の結果ではない。とはいえ抑止力を有効に保つためには命令あれば正しく作動する核兵器が必要だ。NC3は抑止力維持の要素であるものの肝心のNC3が老朽化し、もろくなり、有事に正しく作動しない危険が増えている。このためジム・マティス前国防長官が「我が国の核抑止力運搬装備の近代化は核指揮統制機能も含め国防総省の最優先事項になっている」とまで述べたのだ。
上に述べた目標4つの作業は必須である。我が国の将来と安全がそこにかかっている。■

Bill LaPlante is a senior vice president and general manager of national security sector programs at Mitre, a not-for-profit systems engineering company. The views expressed are not necessarily those of Aviation Week.

コメント

  1. 国家指導部向けの核戦争時指揮統制通信(NC3)装備が今だに8インチのフロッピーディスクで動作させるシロモノなんですか。。。BasicやMS-DOSで動作するPCより古い世代ですね。DECのミニコンが一斉を風靡していた頃かな?今まで放っとかれたのは、幸いにしてこの物騒な物を使う必要性がほとんど無かったからとはいえ、何十兆円の軍事使っている米国が今更慌てだしたのは、今まで非対称戦という弱小国やゲリラばかり相手に無双して悦に入っていた面もありそうですね。
    今はスパイ衛星が非常に高性能になり、かつ、ネットワークのハッキングが当たり前の時代ですから、核抑止力運搬装備や核指揮統制機能の装備、通信手段をどうするかは、非常に悩みそうですね。ヘタに脆弱な核指揮統制を構築しようものなら、ハッキングされて大惨事ですし、核兵器の運搬を隠密に行うのも大変な苦労をすることになると思われます。本当は長い時間をかけて、堅牢なシステム構成を検討し、構築しなければいけなかった案件ですね。
    中国が想像以上の速度で脅威になっていることといい、安易な平和主義の代償は、日本も含めて大きそうです。

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