いいな、オズボーン氏はフォートワース工場を視察できたんですね。F-35についてはいろいろ言いたいこともありますが、量産がペースに乗ってきたのは認めざるを得ません。西側の防衛を今後30年に渡り支える機材ですから問題は早期のうちに解決してもらいたいものです。もう一つはソフトウェアのアップグレード等でいつまで、どこまでF-35が威力を保持できるかですね。その意味では機体生産は一部にすぎず、長い目で活躍ぶりを注視する必要があると思います。
I Went to an F-35 Stealth Fighter 'Factory': Here's What I Saw F-35生産工場視察で目に入ってきたもの
An amazing site. 驚くべき場所だ
by Kris Osborn
テキサス州フォートワースにて---機体胴体部品、エンジン、その他各種パイプ、電子部品、エイビオニクスがここ狭しと積み重なるロッキード・マーティンのフォートワース工場はさながら小都市の趣があり、技術要員多数が寄ってたかって機体の生産の各段階に取り組んでいる。
主翼が垂直に吊るされ、パイプや各種ワイヤが機内内部にはりめぐらされ、小型部品多数が接続を待つ。一マイルも伸びる組立ラインに作業員、技術要員が忙しく出入りしている。ほぼ完成した機体は薄い緑色の外観だ。「ほぼ完成の」機体は気温湿度を管理したハンガーに運ばれ最終塗装の灰色を施される。
製造工程を見ていると各型の違いが嫌でも目に入る。F-35Cが一番大きく翼幅が伸び、尾翼も拡大しており空母着艦に備えている。F-35Aには25mm機関砲がステルス性を考慮して機体に一体化しているのがわかる。F-35Bは開発陣によれば価格、技術内容ともに一番上をいく機体だ。
F-35Bでは「リフトファン」が機体中央の前方、パイロットのすぐ後ろにつき垂直方向で強力な推力を生むのが特徴だ。
リフトファンが下方方向に推力を生み「ホバリング」や垂直着陸が可能となる。F-35Bは胴体上部に四角いドアがパイロット後方、リフトファン上にあり下方への空気の流れを最大化する。技術陣によれば推力は音速飛行が可能なほど大きく四段階で実現するという。エアダクトが機首両側にありエンジンに空気を送り込む。空気は圧縮されてからガス点火されることで制御された形の燃焼を発生させ、炎は後方へ排出される。ここで生まれた力により速力、機体制御、加速が実現する。
F-35Bのエンジンはロールスロイス製で説明資料によれば「STOVL実現のためが機体上部の空気の流れに垂直方向にリフトファン部品が作動する」とあり、同社によればリフトファンは向かい風最大288mphに有効だという。
F-35のステルス技術
ステルスは低視認性の意味で特殊な製造技術がすべてといってよい。詳しい技術内容は当然ながら安全保障上の理由から非公開だが公開情報でF-35のステルスを説明している資料から詳細な特徴が垣間見える。
機体外部は縫い目がなく外部構造は敵レーダーに見つけにくくなっており極秘の複合材料でレーダー波を吸収する。兵装は内部搭載で敵探知を逃れる。ステルス塗装では表面に電磁波を反射する機能がよく言及されている。
カーボン素材がステルスに有効なのはよく知られている。2016年にスミソニアン航空宇宙博物館が発表した論文では2008年にノースロップ・グラマン技術陣が1943年製のドイツのホルテン229試作機にステルス性能の原型があったのか検証したとある。同機は技術問題に苦しみテスト飛行も失敗し戦闘に投入されなかったが機体に用いた接着剤、木製素材他と「全翼機」型式がステルスだったのではと多くが考えるのは当然だ。調査の結果、カーボン状の素材が見つかり「スミソニアン博物館所蔵のホルテン229を調査したところカーボンブラックあるいはチャコールに近い物質が接着剤で混合され前縁部分に塗布されていた」とある。
F-35にどんな素材が組み合わされているか不明だが、低視認性、残存製、軽量化の一方で速力と操縦性を両立するための考慮があるのは間違いない。機体表面がなめらかなのも工学技術の応用だろう。
「ヒンジ、ボルト、ファスナー、パネルはそれぞれ密閉されておりステルスが実現している」とロッキード・マーティン所属のF-35パイロットのビリー・フリンがWarror Mavenに語っている。
敵レーダーの電子信号が反響して戻るには特定の構造が必要だ。機体表面がその特徴と別の構造ならば電磁的に信号を返さない。返ってくる信号がなければレーダーは対象機の姿を把握できない。電子信号やレーダー発信は光速での移動が知られている。光速は一定速度なので移動距離が把握できコンピュータは距離を正確に計算し対象の形状や速力も把握できる。
「レーダー、アンテナや燃料タンクといった突出部は全部隠しています。これで探知されずに弱みを握られません」(フリン)
フリンの説明ではF-35のステルス技術の源泉は湾岸戦争に投入されたF-117ナイトホークだという。「F-117でアンテナを機体に埋め込む技術を実用化しF-22にも応用されている」という。
F-35のセンサーは機体表面に一体化されており、その分敵レーダーで探知が難しいとフリンはいう。
熱排出の特徴を減らすことがステルスで重要だ。実現方法は各種あり、エンジンを機体内部に埋め込み熱排出を減らすこともある。F-35では小型冷却チューブが主翼下から胴体に走りエイビオニクスや電装装備の排熱を放散する設計だ。これでオーバーヒートを回避し温度管理も行う。温度管理もステルス性能の維持に役立つ。パイプ内を移動する燃料でも冷却効果が生まれると技術陣は説明している。
「ステルス性能を最大限生かし敵防空網を突破する。第四世代機は外側を飛ぶだけだがこちらは内部に入り近接航空支援任務を実施できる」とフリンは述べ、「センサー機能により小火器の有効範囲の外を飛べる」という。
ロッキードはこれまで360機以上を納入し、世界各地の16箇所の基地に機材が展開している。生産規模は米国や各国の需要の伸びに呼応して拡大しているとロッキードのF-35担当開発責任者エドワード・スミスがWarror Maven取材で説明してくれた。
スミスによれば当初のパートナー8カ国に日本、韓国、イスラエル、ベルギーが加わり製造開発が続いているという。「A型で機体単価80百万ドル未満にする目標へ着実に向かっている」(スミス)■
Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.
This first appeared in Warrior Maven here.
今後のステルスの発展の方向性としては、内部の熱の冷却に使った冷媒の熱をどのように処理して、機体周囲の空気との温度差を減らし、赤外線探知距離を低減させるのかが最大の課題になるのでは無いか?と思います。原理的に、発生した熱を分散させて放射熱を下げることは出来ても、完全に無くすことはできませんからね。
返信削除それと、気流、所謂、飛行機雲の発生を極力減らす機体形状の検討、光学迷彩の機体の表面処理の検討でしょうか。思いつきですが、書き出してみました。