ボーイングがF-15EX事業の進捗状況を報道陣に公開
Image: Boeing rendering of a digital model of an F-15
はじめに
ボーイングのF-15EX事業は国防予算の行方がスッキリしない中でも同社が進めているようです。デジタル製造技術が進展してきたことで機体は同じでも製造工程はガラリと変わりそうですね。その効果が本当に宣伝文句通りなのか注視したいところです。National Defense 記事をご紹介します。
JUST IN: Boeing Says F-15EX Initiative Progressing Despite Budget Impasse
11/22/2019
By Jon Harper
ボーイングはF-15EX試験機合計2機の2020年末納入に向け作業を続けているが、議会で成立の目処がついていない予算を意識している。
2020会計年度の国防再出法案は未通過のままのため、ペンタゴン始め連邦政府は10月1日からは継続予算決議(CR)で機能中だ。ただし継続措置のためF-15EXはじめ新規事業が抑制されるのが国防総省に悩みのたねとなっている。
空軍は今後5年で同型機80機を調達予定で、最終的に144機にする。
「全機分の契約が下ればいいのですが、歳出法案が決議されないと実現しません」とボーイング・ディフェンス・スペース・セキュリティ副社長プラット・クマールが11月18日セントルイス本社で記者団に語っている。「現在は状況把握に努めており、当社はCRとは別に先行して投資支出しており、契約交付を見越した動きを展開してます」
議会は予想通り別の継続予算決議を採択し、12月20日まで2019会計年度と同等の予算執行が可能となった。
「継続措置が長引けば当社にはテスト機材の納入でプレッシャーになります」(クマール)同社は3月での契約交付を期待し、9ヶ月以内に2機を納入したいという。
EXは現行のF-15から相当の性能向上型となる。高性能コックピットシステムとして大型ディスプレイ、フライ・バイ・ワイヤによる空力特性の改良、9Gに耐える性能、完全統合型電子装備・アクティブ電子スキャンアレイレーダーによる残存性改良、空対空ミサイル最大12本、空対地兵装15本搭載による威力の向上、ミッションシステム改良としてコアプロセッサーII、作戦飛行プログラム9.1X一式を搭載するとボーイングでF-15EX事業を統括するローリー・シュナイダーがプレゼンしてくれた。
「EXはカタール発注のF-15Eをさらに強化し、空軍が期待する近代化改修すべてを完全に統合した機体」になるという。
またオープン・ミッションシステムの採用で新技術が実用化されればすぐに搭載できるとも説明。
システムアップグレードにより「量産一号機も再集合機と同一の性能になる」という。
空軍は新型び空中発射型極超音速兵器の開発中で、マッハ5超かつ高度の飛翔制御能力で敵防空体制に対応させる。
「F-15EXはこれから登場する新兵器の運用で効果を発揮します。ペイロードはずばぬけた規模で今後登場する極超音速兵器はじめ各種多数を搭載できます』(クマール)
ボーイングはデジタルモデリング技術や高度生産技術を駆使し、機体製造工程そのものを変えようとしている。F-15の場合は同社はデジタル機体構造digital airframeと呼ぶ方法を推進している。
新技術はF-15の主翼、機首、前方中央の機体に投入されている。フットプリント(投入資源量)、作業工数が大幅に削減され、他方で製造品質が向上しているとクマールは説明。主翼ではフットプリントは50%減、工数は70%減という。
この技術は機体前方部分にも投入され、さらに機体後部の生産にも応用するという。
「その結果として完全デジタル機体構造が実現し、製造が容易かつ安価でありながら高品質が実現します。新技術導入が今までより迅速になる効果が生まれます。兵装庫の再設計が不要となるためです」(クマール)
他方でボーイングとしては議会が2020年度予算を通過させれば、すぐにでも契約交付を受けたいところだ。予算が成立すれば空軍は提案要求(RFP)を交付し、ボーイングが予算割当の前に回答を提出する手はずだ。一連の作業には相当の書類作成が必要となる。
「空軍とは今年春からずっと密接に作業を進めており、最終RFPが交付されればすぐに対応できる準備ができています」とシュナイダーは述べている。。
国防支出のとりまとめをおこなう議会委員会、小委員会はF-15EX関連予算を2020年度歳出認可法案に盛り込んでいるが、成立していない。現時点で保証はまったくないとクマールも指摘。
「予算法案にそのまま残ることについて極めて楽観視しています。ただし、成立するまではリスクが有るのは事実です」(クマール)
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