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第6世代ステルス戦闘機は実現できるのか。期待と危惧、新技術の採用が鍵、財政は大丈夫化?



The 1 Thing That Could Crush a Sixth-Generation Stealth Fighter

And it has nothing to do with an F-35, F-22, Russia or China.
September 14, 2019  Topic: Security  Region: World  Blog Brand: The Buzz  Tags: Sixth-Generation FighterMilitaryWarF-35Defense

6世代有人戦闘機の新規開発に乗り出す動きが数カ国で見られる。第5世代機のF-35ライトニングや中国のJ-20の後継機としてだ。
ロシアと日本は迎撃機に焦点を当てており、日本は三菱F-3、ロシアはMiG-41だ。フランス、ドイツは次世代戦闘機を将来型戦闘航空機システム(FCAS)の一部として開発しようとし、英国にはテンペストがある。各機は2030年代ないし2040年代の供用をめざしている。
これに対し米空軍では次世代航空優勢(NGAD)構想があり前身は侵攻制空戦闘機としてB-21ステルス爆撃機に随行し敵領空に侵入する構想だった。
米海軍にはFA-XXがあり、艦隊防空迎撃機に最適化するようで、F-35Cを攻撃任務の中心とするようだ。
2019年初頭に中国航空産業企業も第6世代機開発に乗り出したとの報道がでた。
だが「第6世代ジェット機」とは理論上の存在だ。期待される性能特徴は以下に要約できる。速力と航続距離の重視とともに、レーダー非探知性も重要で、指向性エナジー兵器を搭載し、AIが補助し、無人運用への切り替えも可能、ネットワーク化したセンサー、進化した電子戦装備、さらに無人機編隊の統制も行う。
だが専門家や業界筋と話すと、以上がすべて実現すると見る向きは少ない。少なくとも有人機としては。理由として予算が莫大になることがあり、政治的決断が必要なこともある。他方で無人機ならずっと安価に上記が実現できると指摘してくれた。
F-35戦闘機では開発に二十年以上、開発予算数百億ドルのが使われた挙げく技術面で遅延が発生し、予算超過となり、政治面でも問題となった。それでもF-35は比較的導入しやすい価格で収まっている。ペンタゴンは同じ道はたどりたくないはずだ。
無人機メーカーのクレイトスがヴァルキリー「忠実なるウィングマン」の売り込みを開始し、機体単価はわずか2-3百万ドルと「消耗品扱い」になるとしている。言い換えれば戦闘で数機喪失しても受け入れられる範囲になる。戦闘機のような外見の同無人航空システム(UASs)は一機85百万ドルのF-35Aより性能が劣り脆弱性も高いが、虎の子のステルス機の一機分の予算で20機、30機が手に入る。
2019年9月にタイラー・ロゴウェイがThe Driveに寄せた記事で空軍が有人ジェット戦闘機を断念し無人機に切り替える方針に変更するのではと述べていた。記事全文を読む価値があるが次の二節が特に鍵となる。
「無尾翼、ステルス、長距離飛行可能な戦術機を多くの人が第6世代戦闘機と表現し、空軍構想の中心としてきた....そのような機材を製造する財政支出の現実を見れば、開発の長期化は必至で実現できなくなる可能性もある
「次世代制空機構想は進化し、無人運用が基本で必要な場合のみ有人操縦可能とする構想になり、強力なネットワークを組み合わせ準自律型運用になっている」
空軍は有人機に役目が無くなると見ているわけではない。Air Force MagazineではB-21ステルス爆撃機あるいは同様の機体で制空任務をこなす構想を紹介しており、「母機」として長距離空対空ミサイルを発射し、消耗品扱いの無人機も運用する構想という。確かに長距離UASを多用する戦闘では指揮統制のリンク確保が課題だ。
もう一つ浮上してきたのは「単一用途」の無人機を数百万ドル程度の単価で調達し、最初から帰還しない前提で戦闘投入する構想だ。一見、正気の沙汰ではないように聞こえるが、ペンタゴンが発射してきたトマホーク巡航ミサイルの単価が1.4百万ドルと聞くと納得するだろう。
技術の進展でこれまで明確に区別されてきた境界線が不明確になっている。「戦闘機」「無人機」「ミサイル」が例で同じ形になりつつある。
米空軍がコース変更しても、その他国の空軍部隊も同じ結論にたどり着くだろうか。ヨーロッパでは各国政府、航空企業が第6世代戦闘機事業に政治的な投資を投入する姿勢を堅持しており、すでにモックアップ段階は終了しているようだ
そこでヨーロッパの航空専門家二名に意見を聞いてみた。有人第6世代戦闘機は実現するか。
フランスの季刊誌Opérationnels SLDSの編集者ミュリエル・デラポルテは慎重ながら楽観的だ。
「工程表と予算ともに現段階ではっきりしていない。仏独共同開発のFCASで進展があても、新規性能内容の実現など部分的対応になるのは明らかだ。高度技術の実現も含め政治的な意思決定に依存する。ドイツの国防予算の実勢を見ると十分な水準とは言い難いが国内選挙の結果で変更もありうる。スペインを加えるのは政治面で追い風となるが財政的にもヨーロッパの国防予算の増額傾向もあり、よい傾向となるだろう」
つまり欧州大陸の政治潮流がFCAS事業を推進するというのだ。費用が高額になっても。
「フランス国内ではこれまでの軍事力退潮の流れを止めなくてはとの機運が政治面で高まっており、新ド・ゴール主義で国家主権を見直しつつ次世代航空宇宙産業の主導権を維持したいとしている。第6世代機であろうがなかろうが、第一歩は『次世代』としてラファール戦闘機の改修を進めることで、同機は本来NGF(次世代戦闘機)をリードするべき機体であり、操縦性、ステルス、データ融合に重点を置く機体だ」
デラポルテの主張ではFCASが素晴らしい機体になり、ネットワーク戦で無人機多数を運用する機体にどうしてもする必要はない。FCASとテンペストはともに各種無人機と平行開発されており、ステルスUASではタラニス、nEUROnの二機種がテストに成功している。
「将来の空軍含む部隊は単独作戦行動しないことが認識され。『各種システムのシステム』をつなぐことと各装備単位より戦闘クラウドが基本となることから技術革新の推進が認識され、フランスというよりヨーロッパで宇宙、AI, 電子戦等が重視されている」
「したがって先を見通す視点が必要です。ハイテクへの予算投入は増え、人員や工程面で部隊の見直しが始まっています。完全な形が見えるまで2050年代2060年代までかかるでしょうが、方向性は決まっています。次世代のスタートは今日のラファールF4やフェニックスMRTTにあるのです」
フェニックスMRTTとはA330旅客機を原型とした長距離給油機で監視機および指揮統制機としても使える機材で有人機無人機の利用効果を引き上げる効果が期待される。
クルジツォフ・クスカ博士はポーランドの航空専門家でJane’sはじめ国防関連刊行物へ寄稿しているが経済状況に関しやや悲観的なようだ。
「経済の減速はグローバル規模で明らかで、住宅市場や自動車産業で減速が始まっています。第6世代戦闘機についての質問への答えですが、まず経済の健全性を見ると景気後退は始まっていておかしくない状況と思います。2030年から2040年まで続くでしょう。つまり2030年代に経済危機の到来は必至で同時に解決を迫られそうです。そんな中で第6世代機に予算を重点投入できるでしょうか。一部事業は生き残るかもしれませんが、ヨーロッパで高性能戦闘機を2機種同時開発する余裕があるでしょうか」
クスカは天井知らずのジェット戦闘機開発経費への締付けから空軍部隊の規模で成約が出てくるとの見解も示した。
「観点を変えれば世代が変わるたびに空軍部隊の規模は縮小しています。第6世代機がこの傾向を破るのか、それとも維持するのか。戦闘には一定の機数を投入する必要があります。そうなると無人機は自然な選択でしょう。5G通信革命が見えつつあり、多くの面で変化を生むでしょう。高性能AIも実現しそうです。量子コンピューターは夢ではありません。すべてをパイロットにつなげば第6世代機で無人機多数を運用するのが自然な流れになるでしょう」
クスカが高性能な新型機が高価になり導入できなくなる矛盾が生まれると指摘するのは皮肉な話だ。「このような状況では十分な予算がないと戦費調達できず高性能機材の開発も維持できなくなります」
「将来予測は困難とは言え第5世代機からの進化はどうしても必要でしょう。結局のところ5+世代機に落ち着くかもしれません。ちょうど第6世代機の前に4+機があるのと同じ状況ですね」■
コメント: 戦闘機としての形態の枠組みにしばられたままの流れが多い中で米空軍が一番柔軟な発想をしている気がします。B-21という先行投資があるせいもありますが、B-21はLRS-Bでしたので第6世代戦闘機はB-21と機体を共有するLRS-Fになるのかもしれません。システムにも冗長性が持たせてあるはずなので今後の改良にも対応可能でしょう。翻り日本のF-3はどうか。やはり戦闘機の形状のままですね。それはいいといとしても新技術搭載の想定はどうなっているんでしょうか。気になるところです。

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