USAF Sees Five-Year Window To Invent A New Fighter Aircraft Industry 今後五年間で戦闘機産業の再構築を狙うUSAF
まるでアップルがiPhone各種を製造するように高性能戦闘機各種を迅速に製造したいとする米空軍だが、極秘の次世代航空優勢(NGAD)事業での立案方法を変えることが第一の関門となる。
これまで3年をかけて空軍はロッキード・マーティンF-22の後継機種を2030年までに実現する方法を検討してきた。当初は侵攻制空戦闘機として構想された機種は次世代F-X戦闘機として各種の新技術を搭載するものとして適応サイクルエンジンから高性能兵装や新型センサーを搭載する構想だった。
その後、2年間の期間延長が認められ代替策検討をしてきたが、2018年央に結論の目処がつくと、空軍はアプローチを変更することにした。新戦略ではNGAD事業に計上した132億ドルのほぼ半分を使う。F-Xをゼロから開発するのではなく、現行のロッキードF-35A、ボーイングF-15EXなど既存機種の改修を含めることにした。.
「新しい方法を試す好機と言える。第5世代機向けの生産が佳境に入っており、第4世代機にも多額の予算で近代化改修が進んでいるからだ」と話すのは空軍で調達、技術、補給活動を総括するウィル・ローパー次官補だ。
「つまり新方法を五カ年に渡り試す好機で、Xプレーン一機種二機種の製造と1000機規模の大量生産の中間で新機材を準備できるかを試したい」とローパーは新NGAD戦略についてAviation Week取材で答えている。
ローパー発言から極秘NGAD事業で大きな転換が昨年に発生していたことが伺える。米空軍には五カ年予算執行の形で民間産業界に新しいビジネスモデルを示したいとの意向があり、敵側も同等の技術を有する前提の航空戦の新時代には最適の方法と言える。
この動きを支えるのが新設された高性能機材事業統括室Program Executive Office for Advanced Aircraft である。同室は10月2日に発足したばかりだ。同室をまとめるのはデイル・ホワイト大佐で以前はノースロップ・グラマンB-21爆撃機開発を迅速戦力開発室で担当していた。
ローパーが思い描くNGAD像は従来の機材調達方法と大きく異なり、単一の主契約企業に機材のライフサイクル全部にわたり責任を負わせ初回契約交付から実践能力の付与まで最低でも10年、15年にわたり契約義務を負うとするものだ。
ローパーが考える理想的なNGADの姿はこれまでの西側戦闘機開発と一線を画すもので、むしろ家電製品の開発に似ている。アップル製品では数年で陳腐化するよう設定されたiPhoneを顧客が購入し、その後は高性能版の新型に買い替えているではないかとローパーは指摘する。戦闘機事業に置き換えると、3,500時間の飛行時間で空軍は機材を10年間程度で更新している。
「次の機種の準備ができれば旧式機材は第一線から退けたい。iPhoneと似ている。新型があるのに旧型iPhoneを手元においておく理由はないはず」
今後五年間で空軍はデジタル技術でハードウェアに対応し、ソフトウェアに対しては共通OS方式でNGAD機材ファミリーに対応したいとする。
めざすところは新規企業の参入を促しながら、既存メーカーの特化設計部門たるロッキードのスカンクワークスやボーイングのファントムワークス、ノースロップ・グラマンのスケールドコンポジッツの実力を併用していくことにある。
「月間数機程度の製造能力がある企業が参入してくるのでは。今後製造の機会が頻繁に生まれるからだ。そうなればクールな設計や抜きん出た性能の機材が実現するだろう」とローパーは見ている。■
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