2026年7月13日月曜日

ホルムズ海峡の戦略的な意味は今後低下する―同海峡を経由しない原油輸送ルートの開発で複数のプロジェクトが進行中。イランが同海峡をてこにプレゼンスを誇示できる段階は今後減少する

 

世界はイランをめぐる石油地図を静かに書き換えつつある――テヘランの最大の武器は無価値になるかもしれない

The World Is Quietly Redrawing the Oil Map Around Iran — and Tehran’s Greatest Weapon May Soon Be Worthless

米国と湾岸諸国のパートナー国は、ホルムズ海峡を迂回する競争を繰り広げている。UAEはパイプラインの輸送能力を倍増させ、サウジアラビアは紅海ルートを拡張し、イラクはシリアを経由する地中海ルートを復活させている。「ホルムズからヒューストンへ」というトランプ政権の計画は、同海峡を通過する石油のうち最大半分を迂回させようとしている

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ルムズ海峡は、イラン政権にとって一貫して戦略的な地政学的武器であった。同水路は、世界の石油、ガス、液化天然ガス(LNG)の20%を輸送してきた

米国とイスラエルによる空爆作戦が開始されると、イランが同海峡を封鎖したことは、紛争を終結させるための米国との交渉において、イランに重要な交渉材料をもたらした。この措置は世界経済に甚大な影響を及ぼしたからである。

11月3日に米国で中間選挙が控えていることを考慮すればなおさらだ。原油価格や食料価格の高止まりが続けば、トランプ大統領に壊滅的な打撃となりかねない。

テヘランによる交渉上の切り札となった同海峡は、多くのアナリストによって、米国が「了解覚書(MoU)」に迅速に合意した重要な要因として挙げられた。同覚書の条件は、イランに極めて有利であると広く見なされている。

しかし、サイモン・ワトキンスが最近OilPrice.comで指摘したように、地域のエナジー地図を再構築する計画が進められており、今後数年間でイランによるホルムズ海峡への脅威は一層効果を失っていくことになるだろう。

イランの行動がホルムズ海峡の交通への依存度を低下させる

イランはこれまで通行料が存在しなかった同海峡で新たなペルシャ湾海峡庁(PGSA)を設立し、通行料を徴収することで、湾岸地域の産油国や世界経済威圧しようとしている。さらなる交渉が行われるまでの少なくとも60日間は海峡が開放されることになっていたにもかかわらず、イランは海峡のオマーン側を通過した3隻のタンカーに対して発砲した。

イラン側は、世界が自分たちの脅迫に屈すると期待しているが、彼らが「必要とあれば再び海峡を封鎖する」という意図を示している事実は、単に世界の他の国々に、イランの脅迫的試みに代わる代替手段への投資を促す結果となっている。

米国と湾岸諸国のパートナーは、オマーン海岸沿いに位置する「サザン・ハイウェイ」回廊を支援した。この措置は、通過中の石油タンカーの数を回復させるという点よりは、市場のパニックを和らげるという点で、わずかながら効果があった。

封鎖開始直後のピーク時には、同回廊を通じて週末ごとに約12隻の船舶が通過できたが、6月下旬には約119隻まで増加した。とはいえ、この水路の通常の週700隻という通過数には、依然として程遠い。

とはいえイランの行動は、ごく近い将来、ホルムズ海峡の重要性と価値を低下させるだけだろう。

ヴァージニア大学のグローバル・サプライチェーン専門家であるヴィディア・マニは、ニューヨーク・タイムズに対し、各国がリスクを軽減し備蓄を増やすために、再生可能エネルギーや中東以外の石油供給源への依存をさらに高めていくと予想していると語った。

ホルムズ海峡を迂回しイランの影響力を排除する

米国と同盟国・パートナー諸国は、ホルムズ海峡への世界的な依存度を低減し、イランが石油市場を混乱させる能力を弱めるため、パイプライン、輸出ターミナル、陸上貿易回廊の建設を加速させている。

アラブ首長国連邦(UAE)のハブシャン・フジャイラ・パイプラインは、アブダビ油田をオマーン湾のフジャイラ港に直接結ぶ全長360kmのパイプラインで、1日あたり180万バレルという最大輸送能力に達している。

UAEはまた、フジャイラへ新たなパイプラインを建設中であり、これにより2027年までに迂回輸送能力が2倍の1日あたり300万バレル以上に拡大する。

アブダビは、イランが将来的にホルムズ海峡の航行を遮断すると脅迫してくる可能性があると見込んでおり、イランの干渉を受けず自国の原油を円滑に輸送できるよう対策を講じている。

サウジアラビアの全長1,200kmに及ぶ「東西パイプライン」拡張計画は、同国東部の油田からアラビア半島を横断して紅海のヤンブー港まで原油を輸送するもので、輸送能力を1日あたり700万バレルに拡大する。

イラクからはトルコやシリアの港湾への新輸出ルートが開設され、ホルムズ海峡を迂回するように設計された「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」の整備も急ピッチで進められている。これにより、同海峡を通るコンテナ輸送量の60%が迂回する。

代替供給源(産油国)が生産を拡大している

狭くも極めて重要な水路を「武器」として利用することは、代替供給源の模索を招くだけであり、産油国は数多く存在する。米国、ブラジル、アルゼンチン、カナダ、カザフスタン、ヴェネズエラはすでに石油生産を拡大しており、中東の顧客がさらなる供給途絶のリスクを負うことなく、同地域を完全に迂回できるようにしている。

ワトキンスはさらに、南北アメリカ大陸が世界の石油生産量の32%を占めており、トランプ大統領のOPECへの反感が、同政権を石油産業を「ホルムズからヒューストンへ」と導く原動力となっていると付け加えた。

トランプ政権の計画は、既存のパイプライン、陸上ルート、および新規建設を活用し、短期的には同海峡を通過する1日あたり約20~21百万バレルの石油のうち、最大50%を迂回させることにある。

しかし、その他産油国での増産は、ホルムズ海峡を経由する原油への長期的な依存度に影響を及ぼすことになるだろう。

イランの影響力を抑制しようとする湾岸諸国

湾岸諸国は、イランとの永続的な平和の実現にいかなる幻想も抱いていない。イスラム共和国の歴史、権力掌握への執着、そして近隣諸国に対する好戦的な行動を鑑みれば、平和的共存の見通しは暗い。

湾岸諸国は、イランが課す通行料を拒否し、同水路を完全に迂回することで、ホルムズ海峡におけるイランの影響力を抑制している。

湾岸協力理事会(GCC)は、テヘランの支配と海洋上の影響力に対抗するため、的を絞った戦略を展開している。

バーレーン、クウェート、カタール、サウジアラビア、およびUAEは正式に拒否し、テヘランによる「ペルシャ湾海峡庁」の設立を認めず、国際船舶に対し、イランが指定した航路を無視するよう勧告している。

湾岸諸国は国連安全保障理事会に対し、イランに拿捕の停止、機雷の設置場所の開示、および商船の航行への干渉の停止を要求するよう強く働きかけている。

イラクとシリアは、ホルムズ海峡を迂回して、イラク油田から地中海へ原油を輸送するためのパイプライン網を構築する計画を推進している。

イラクのフアド・フセイン外相は先週、ダマスカスでシリアのアフマド・アル・シャラー大統領と会談し、エナジーインフラ分野での協力を拡大する計画を推進した。これには、歴史的な設計能力が1日あたり30万バレルである全長800キロメートルのキルクーク・バニヤス・パイプラインの復活プロジェクトも含まれている。

米国はイラクと協力し、大規模なバスラ・ハディサ・パイプラインを建設中だ。50億ドルを投じる全長700キロメートルの国内パイプラインは、イラク南部の油田からハディサまで延伸され、日量225万~250万バレルの輸送能力を持つことになる。

このパイプラインにより、イラクは南部の膨大な石油埋蔵量を、ホルムズ海峡を完全迂回して北部、さらには欧州やシリアへと直接輸送できるようになり、それだけでイランの影響力は無効化されることになる。

したがって、テヘランは短期的には船舶への攻撃や手数料の徴収といった強圧的な手段を通じて石油の流れを脅かしたとしても、その影響力はまもなく大部分が無効化される。そして、世界の石油の流れが再び阻害されることはなくなるだろう。■

著者について:スティーブ・バレストリエリ

スティーブ・バレストリエリは、国家安全保障コラムニストである。米陸軍特殊部隊の下士官および准尉を務めた。防衛問題に関する執筆に加え、PatsFans.comでNFLの取材も行っており、全米プロフットボール記者協会(PFWA)の会員でもある。彼の記事は、多くの軍事関連出版物で定期的に掲載されていた。

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