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歴史に残る機体21 みにくいアヒルの子F-4はなぜ愛される機体になったのか

歴史に残る機体20 F-104の後継機として対照的な機体のファントムを導入した日本が最後まで同機を運用する国になったのはなんとも皮肉です。広く伸びる防空空域を有する日本にとってファントムは使い勝手がよかったのでしょうね。また改修を重ね当初の機体から相当変化したことも大きいですが、そういうところが盆栽に手を加えるような感じでいかにも日本的ではないでしょうか。

Why We Still Love the F-4 Phantom After 60 Years 
誕生60年たつF-4ファントムが未だに愛される理由とは


by Michael Peck
December 22, 2018  Topic: Security Region: Asia  Blog Brand: The Buzz Tags: F-4 PhantomU.S. Air ForceJapanese Air ForceSoviet AircraftMiG

F-4ファントムがなぜ世界中で愛されるのか。

美しい、優雅、美学といった表現と無縁だ。ファントムには「ライノ(サイ)」や「二重に醜い奴」とのあだ名がついた。航空力学原理の実証で稀有な存在とも言われる。「でっかいエンジンをつければレンガも空を飛べる」。


ファントムは高性能機で1958年の初飛行ですぐに世界記録を塗り替えた。だが当時は高性能米製戦闘機各種が空を飛んでいた。F-101、F-102、 F-104、 F-105、F-106やF-111といった具合だ。だが今や各機は書籍の写真でしか見られない。

ファントムは合計5,195機が12カ国の空軍部隊で供用された。とはいえ冷戦時の敵国の成功作の半分にもおよばない。MiG-21(NATOコードネーム、フィッシュベッド)とはヴィエトナム、中東の上空で対決した。

F-4の出自は米海軍向け艦載迎撃機で空母を狙うソ連爆撃機をレーダー誘導ミサイルで撃破する役割だった。F-35同様にF-4は空軍の主力戦闘機となり、海兵隊でも同様だった。米空軍の調達機数は海軍の三倍近い。
ただファントムの欠点を上げればキリがない。複座で機体重量15トンの「鉛製そり」は操縦性が悪かった。双発の大型J-79エンジンは黒煙を吐き、ファントムが飛ぶ場所はすぐわかった。構想時点で空対空ミサイルが優勢となり機関銃は時代遅れの認識があったため、F-4には機銃が搭載されず北ヴィエトナムの敏捷なMiG相手のドッグファイトで何度も悔しい思いをした。
欠点が多いことからファントムがワースト10機材のリストに入ることもあった。だが「空飛ぶレンガ」への愛着も深く、航空自衛隊の航空ショーでF-4の退役前飛行展示でそれがわかる。世界各地からファントムのファンが集結したのだ。
ファントムの魅力なんと言ってもその柔軟性だ。1970年代初頭に機関砲一門が搭載され、MiG相手の空戦技法をパイロットが習得していた。同機は真の多任務機になった。迎撃機、制空戦闘機、偵察機、ワイルド・ウィーゼル防空体制制圧機として。その一部は偶然によるものだ。操縦したパイロットは、アメリカ人、イスラエル人、イラン人ともに十分訓練を受けて柔軟に戦術を選択できたので、相手のアラブ人、ヴィエトナム人、たまにソ連のMiGパイロットよりすぐれていた。また西側機材の例に漏れずソ連製機体よりすぐれた電子装備を搭載していた。
とはいえ愛情に合理性は無縁であり、理屈つきならばそれは愛情ではない。ファントムが愛されてきた理由は成功した機材だったからではなく、もともと成功作をめざしていかったからだと思う。人類は数々の破壊手段を作ってきたがジェット戦闘機は中でも美的に一番洗練された手段と言える。F-16のこじんまりとした優雅さ、ミラージュ5の美しい対照的形状が一例だ。ファントムはあたかも象に翼をつけたごとくである。だがアンデルセンのみにくいアヒルの子ではないがファントムは自らの不評を逆転させたのだ。■



Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook .

Image: Flickr.

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