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2019年の予想(2)安全保障面ではどうか 中国、ロシアがやはり要注意


5 Big National Security Predictions for 2019 
2019年の国家安全保障問題で5つの予想
Trouble with Russia and China top the list.
ロシア、中国とのトラブルが上位に来る

by James Holmes
December 29, 2018  Topic: Security Blog Brand: The Buzz  Tags: Great Power CompetitionChinaRussiaCycle Of EscalationNaval Dominance


ィンストン・チャーチルがこう語っている。政治家の仕事は次に起こることを予見すること、起こらなかった理由を説明することと。ジョージ・オーウェルは一歩ふみこんで「不沈の軍事専門家」が軍事行動を大胆に予見しながら常に誤った予想をし、何回見方を誤っても「高給」を得ているとした。予測は控えめに徹するべきだろう。さもないと過去の戦役の亡霊に愚弄されるだけだ。


そんな気持ちで2019年の国家安全保障の5大トピックをお伝えする。


1. 中国の暴走は止まらない
中国の夢とは習近平が好んで言うセリフだ。正確には中国人民の支配が中国共産党の夢だ。党幹部はこの夢を追い求め、外交経済軍事面で支える。一帯一路(BRI)でインド太平洋地区に足場を維持する。現地国政府にはBRIでインフラ開発資金を供給し、合わせて海陸のシルクロードを再現する。東南アジアでは航行の自由原則をなし崩しとし、人工島を武装し、南シナ海全域に事実上のプレゼンスを確立した。さらに米海軍の航行の自由作戦に激しい反発姿勢を示している。夢の実現にむけたこうした行動を中国が自粛するとは到底考えられない。ただし国内が不安定化するとか地政学上の競争相手に手痛い仕打ちを受けた場合は別だ。

2.中国が限界に直面し始める
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一部の状況から中国の超大国化で減速の兆しが見える。経済不況を乗り切ろうと多大な債務に直面している。鄧小平時代の経済高成長はもはや期待できずめぼしい開発案件もない。また党は再教育施設や「社会信用」採点方式で党路線を少しでも外れる兆候を見せるものを罰する姿勢を明確にしている。ペロポネスの時代以降の政治家すべてが学んだように経済活力が国家戦略の土台だ。軍事力整備には資金が必要であり、戦場で軍の維持にも資金が不可欠だ。つまり中国の手持ち資金が減れば、中国政府も大胆な戦略を取れなくなる。一方で強圧的な社会統制を敷く必要があるのは党に自信がないあらわれである。一般市民が中国共産党の統制を受け入れなくなるのを恐れているのかもしれない。ただし国内の不安定な状況から中国が海外での軍事行動用の資源を国内に戻す可能性も出てくる。そうなることを期待したい。

3. 米国が真剣になる

トランプ政権による国防力整備の構図が米議会の勢力地図の変化で見えなくなってきた。それでもよい兆候が見られる。とくに兵器開発で。米空軍は新型長距離対艦ミサイルLRASMを来年にも爆撃機に導入する。これは空軍と陸軍が海洋戦に備える動きの現れだ。米海軍の艦載戦闘攻撃機もLRASMを搭載する。海軍は原子力潜水艦にハープーン対艦ミサイルの搭載を再開しており、魚雷のほぼ7倍の距離まで水上艦艇を攻撃する能力を実現した。ソフトウェア部門ではトマホーク巡航ミサイルを対艦ミサイルに転用する作業が続いており、これまでにない長距離打撃力の登場が期待される。その他もあり、オバマ政権で始まっていた事業がトランプ時代にも続き実現に近づいている。中国、ロシア、イランに対抗する装備品一式が実現するわけだ。これだけの強力な手段をワシントンにうまく使ってもらいたものだ。

4. 安全保障に本腰を入れるその他諸国
米国の同盟国や安全保障上の協力国も真剣だ。一例だがオーストラリア海軍がホバート級イージス艦の最終艦就役を準備中で同海軍は多様な戦闘への対応能力が増える。海上自衛隊では「ヘリコプター駆逐艦」でF-35ステルス戦闘機運用をしようとしており、F-35調達機数をほぼ三倍にする。インドは中国との国境地帯で攻撃に軸足をおいた抑止力の実現に向かい、中国のインフラ建設の大盤振る舞いでインドに対抗する地上攻勢が強まる危惧に対応する。その他の国でも超大国間の新たな競合地図に対応する動きがある。同盟国で自国防衛に力を入れれば米国との関係も平等に近づく。平等な同盟関係は冷戦時代の覇権上の関係よりも長持ちするはずだ。米国は同盟国の防衛に今後も信義を尽くすべきだが米国主導の同盟関係を対等の関係として捉え直すべきだろう。

5. ロシアは「青ベルト」海洋防衛を引き続き強化
ロシアでは長く陸地中心の海洋防衛体制をとってきた。また最新技術を防衛戦略に取り入れ敵艦隊や空軍力の侵入を阻んできた。その結果ソ連時代から「青ベルト防衛」と呼ぶ海上からの攻撃を阻む緩衝帯となった。青ベルトは海上装備、陸上装備の性能内で沖合へ展開できる。ケルチ海峡(ウクライナがアゾフ海へ展開するのを阻む要所)から黒海にまで「防衛体制」の整備もここに含まれる。ロシアは自国国境に隣接する地理空間の管理を常に希求してきた。海洋も例外ではない。西側諸国が優勢を維持するためにはこの青ベルト内で活動で有効な戦術や技術が必要だ。その反面、2019年はウクライナはじめとするロシアの隣国にとってアゾフ海沿岸を事実上ロシアが海上封鎖している状況から悩ましい事態が続く年になりそうだ。ユーラシアで古くからある海上、陸上での競合が新しい様相で復活する。
以上は筆者の気ままでばらばらの所見だ。軍事専門家が永遠に不沈の存在であれば良いと思う。■



James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College. His latest book, the second edition of Red Star over the Pacific , appeared this month. The views voiced here are his alone.

Image: Flickr.

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