スキップしてメイン コンテンツに移動

★ステルス戦闘機にはステルス給油機が必要だ。ではその実現方法は?






Stealth Can't Fix This Problem: The 1 Challenge the F-22 and F-35 Can't Seem to Shake ステルスで解決できない問題とは。解決手段はあるのか。


by Sebastien Roblin
Key Point: Another problem with the short range of stealth and non-stealth fighters alike is the need to deploy them airbases or aircraft carriers well within range of an adversary’s ballistic and cruise missiles.
December 21, 2018  Topic: Security Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-35MilitaryTechnologyWorld.


国は巨額予算でステルスの戦闘機、爆撃機、巡航ミサイルを開発し、ステルスのスパイ無人機まで作った。ではステルス給油機は予算の無駄使いになるだろうか。
ステルス給油機構想は常軌を逸するものではない。F-35やF-22ステルス戦闘機は21世紀の航空戦力の要だが、航続距離が不足する。
一見するとF-35の後続距離800マイルは既存機種のスーパーホーネットやF-16と比べ劣っていない。だが非ステルス機は燃料タンクを主翼下につけ戦闘に向かうが、F-35が主翼下に装備をぶらせげればレーダー断面積の利点を自ら失うことになる。
ステルス、非ステルス問わず戦闘機の短距離性能から別の問題もある。敵の弾道ミサイル、巡航ミサイルの射程範囲内の基地や空母から運用する必要があることだ。第二次大戦終結以来の戦闘で高性能戦闘機といえども地上では格好の標的にしかならないことを示している。(空母艦上でも同様)大国同士の戦闘ではミサイルの雨が前方基地を襲うのは必至で、何機が無傷で残るか誰が考えても明らかだ。
幸い米戦闘機は空中給油を受けられる。だが旅客機が原型の給油機は敵戦闘機の活動範囲から遠く離れる必要がある。またロシア製R-37のような長距離ミサイルにも脆弱だ。(同ミサイルは射程250マイル)ロシア、中国のステルス戦闘機は少数だが集中配備し米軍支援機材を狙うだろう。給油機が叩き落とされれば太平洋上で帰投する燃料が足りなくなる。
ステルス機の任務が敵空域侵攻にあることを考えるとジレンマとなる。最新の地対空ミサイルの例にS-400があり、現在でも機動性の劣る機材を250マイルまで標的にしている。つまり現行の給油機各型は数百マイル後方で待機を迫られるが、その地点でもレーダーに捕捉され敵戦闘機から攻撃を受ける可能性がある。
そこでレーダー断面積の少ない給油機が解決策となる。ただしステルス戦闘機並みの低探知性は不要だ。

KC-Zがここで登場する。
米空軍はボーイング767原型のKC-46Aペガサス179機の調達を目指しKC-135、KC-10の400機は順次退役させる。航空機動軍団は比較的既存機種に近いKC-Yを2024年以降導入してからステルス給油機のKC-Z調達に移る予定だった。
ただし2016年にカールトン・エヴァートハート大将がKC-Yは取りやめ、KC-46改修型の追加調達を優先しKC-Z導入を早めることにしたとDefense Newsに述べていた。
すでにKC-Zでは各種提案が出ており、映画アベンジャーズに登場する機体そっくりの異様な機体もある。
2018年6月、ライト・パターソン空軍基地内に本拠を構える空軍研究所が「高性能空中給油機」構想をAIAA総会の席上で発表した。
ロッキードもステルス給油機構想を「高性能給油機コンセプト」(写真下)として発表しており、スターウォーズに登場してもおかしくない形状だ。ロッキードは全翼機形状でステルスを前面に打ち出し高バイパス比ターボファンを主翼上に装着しレーダー断面積を減らすとしていた。


ただし、純粋の全翼機形状でなく、空軍が先に発表していた「ブレンデッドウィンボディ」(BWB)給油機構想にヒントを受けた。BWB機は主翼と胴体が一体化されている。「ハイブリッドウィングボディ」としても知られ、純然たる全翼機ではないのは胴体部と尾部にフィンがつくためだ。
全翼機の主翼曲線は揚力を得るのに効率が高く、機体に鋭敏な角度がつかないためレーダー断面積は小さい。ただし給油機は輸送機としても使われるのでステルス給油機でも貨物搭載用の空間や荷物扉が必要だ。そのため純然たる全翼機では不十分となり、ハイブリッド形状に落ち着いた。
ステルス貨物機の利点に敵背後への特殊部隊投入がある。また接近阻止領域拒否の下にある前方基地に物資補給ができる。とはいえ貨物輸送用のステルス給油機が完全な全翼機形状給油機よりステルス性能が劣るのはやむを得ない。
ステルス給油機の調達価格を抑えるためステルス戦闘機、爆撃機のレーダー波吸収剤(RAM)に注目する必要がある。RAMで運用経費が上昇し、小型ステルス戦闘機でも整備は大変だ。ステルス給油機の機体が大きく飛行時間も年間数千時間と大幅に長いため経費は大幅に増えてしまう。費用対効果が高いRAMが登場しないと、B-2爆撃機の運行費用毎時169千ドルの再来になる。
空軍には将来の給油機の生存性を高めるべくアクティブ防御装備を搭載しミサイルを撃墜する構想もある。そう、レーザーだ。次世代レーダージャマーを敵レーダーの周波数に自動対応させれば、レーダー捕捉が困難になる。また高度の自律運用で乗員数を減らし給油時間を短時間で可能にできないかも模索されよう。

ただし、航空機動軍団はもっと革新的なステルスKC-Z提案も歓迎するとし、海軍のMQ-25にならい小型ステルス無人給油機の採用も検討している。■

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...