F-35が日本では注目されがちですが、中国が数の武器で向かってくるとすれば、センサーをF-35にまかせても片を付けるのは「ミサイルトラック」の新型F-15でしょう。米空軍のF-15新造調達は航空自衛隊にも驚きを持って受け止められているのではないでしょうか。実現すればF-15は1980年代から2050年代までと異例に長く供用される戦闘機になりそうですね。さて、日本はどうしますか。
USAF's Next Budget Request Will Include New F-15X Advanced Eagle Fighter Jets: Report 米空軍の次期予算案にF-15X高性能イーグル戦闘機が盛り込まれそう
We revealed the existence of the F-15X concept last July and now it seems like it may become a line-item in the upcoming 2020 defense budget. F-15Xコンセプトが2020年度国防予算で予算品目になりそうだ。
We revealed the existence of the F-15X concept last July and now it seems like it may become a line-item in the upcoming 2020 defense budget. F-15Xコンセプトが2020年度国防予算で予算品目になりそうだ。
BY TYLER ROGOWAYDECEMBER 21, 2018
http://www.thedrive.com/the-war-zone/25636/usafs-next-budget-request-will-include-new-f-15x-advanced-eagle-fighter-jets-report
今年7月にボーイングのF-15X高性能イーグル構想を初めてお伝えしたが、その後同社はUSAFと交渉していたようだ。米国に残るF-15C/D機材と交代して調達される可能性がでてきた。C/D型の大多数は州軍航空隊が運用中だ。USAFはF-15Xにどこか冷たい態度だったがブルームバーグ記事によれば大きく変りそうだ。
F-15Xは単座だがその後登場した技術革新を取り入れる。F-15ストライクイーグルを原型にした最新のサウジアラビア向けF-15SA、カタール向けF-15QAが生まれている。F-15Xの機体寿命は20千時間と長く、最新式センサー、飛行制御装備、エイビオニクスを搭載し今後長く供用され、現行のF-15C/Dより大幅に低い運行コストを実現するので10年間運用で節減効果を十分に生むとしている。
ブルームバーグ・ガヴァメントのロクサーナ・ティロン記者がUSAFが「12億ドルでボーイングF-15X計12機」の調達を2020年度予算に盛り込むと伝えた。記事ではF-15X導入はペンタゴン内部の高官からの圧力で、USAF自体の要求ではないとある。

BOEING
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予算要求の公表まで変化はありうる。だが今回のブルームバーグ記事は当方が見聞きしている内容と一致しておりペンタゴン内部の支持があることを記している。具体的な調達形態は不明で十数機で終わるのか追加調達や他の採用国が続くか不明だ。
こちらの情報源ではボーイングはF-15Xの売り込みでUSAFを再びイーグル供用部隊にしたいと熱心になっているという。派生型開発の開発費を低く抑えるあるいは徴収しない、機体単価の保証、さらに供用期間中の費用までボーイングが請け負っていると言われる。ボーイングがここまで熱を入れるのはUH-1更新機材案件、海軍のMQ-25スティングレイ無人給油機案件、さらにT-X次期練習機の契約受注と同じ様相だ。
F-15XはF-35に真っ向から対抗するのではなく、USAFに財務作戦両面で魅力的な「プラグアンドプレイ」方式の選択肢をF-15C/D型後継機として提供する。C/D型は235機残っており、今後も第一線運用を続ければ高額な改修作業が必要となる。

USAF
USAFもF-15C/Dの今後を検討してきたが、大幅性能改修も実施してきた。構造面と技術で大幅手直しをしているがいかんせん機体は製造後30余年が経過している。一挙に全機を退役させ、F-16をアクティブ電子スカンアレイ(AESA)レーダー換装して使う選択肢もあるが、物議を醸すことになりかねない。F-15Xが性能、予算両面で非常に魅力的な選択肢となるのはUSAFが保有するイーグル向けインフラがそのまま使えるからだ。
現実の任務を見ると本土防空や航空主権維持任務など多くでF-35の低視認性は無用の長物だ。大型戦闘機ならではのメリットが活かせる戦闘任務は多く、長距離飛行可能で大量装備を運べるのでステルス機のペイロードが制限され飛行距離も短いのと対照的だ。イスラエルも同じ結論に達したようである。F-15Xが真骨頂を発揮できる余地がUSAFにある。

USAF
F-15XはF-35Aの対抗馬の意図はないがF-35の裏に控える特殊利権を考えると話は違ってくる。戦術機にDoD予算を大量に割り当てればF-35の追加調達予算が犠牲になると考えると脅威と受け止められかねない。
だがなんと言っても今回の記事は当方の見聞を裏付けてくれる。F-15Xはペンタゴン企画立案部門でしっかり生きており、その実現ニーズが今や明白になったのだ。最終予算案を見ないとF-15X調達が正式決定にならないが、イーグルがセントルイスの生産ラインから生産され米戦闘機部隊にふたたび供給される可能性がここ数年で一番高くなってきたと言えよう。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com
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