ウクライナから強力なロシア海軍艦艇を更に一隻黒海でウクライナ対艦ミサイルの餌食にしたとの主張が出てきた。
ウクライナ当局は、ロシア海軍の最新鋭フリゲート艦「アドミラル・マカロフ」(Admiral Grigorovich)を、ウクライナの対艦ミサイルで撃破したと主張している。ウクライナの主張は、確認がとれていないが、同艦はウクライナ沿岸から約20マイルのスネーク島付近を航行中に攻撃を受け、炎上したとある。ロシア海軍のラプター級哨戒艦2隻がウクライナ無人機で破壊されたとする場所の近くである。
ウクライナ大統領の公式補佐官アントン・ゲラシチェンコAnton Gerashchenkoは、ロシア情報源を引用し、アドミラル・マカロフをウクライナのネプチューン対艦ミサイルが攻撃したとテレグラム・ページで報告した。ウクライナ軍と米国防当局が、4月14日にロシア海軍のプロジェクト1164スラバ級巡洋艦モスクワを沈没させた兵器と同じ装備品だ。ロシアは同艦は火災の後に沈没したとしている。
ウクライナによれば、アドミラル・マカロフで火災が発生中とある。フリゲート艦とする未検証画像がソーシャルメディアに出回り始めたが、信憑性に疑問がある。
映像に映る艦船は、大まかにはアドミラル・グリゴロヴィッチ級、少なくともその派生型クリヴァク級に似ている。しかし、懐疑的な意見が多く、加工または合成された映像との指摘もある。ウクライナが主張の裏付けに改ざん映像を使用したことは以前もある。
ウクライナ国防省は戦闘用フライトシミュレーションゲームの映像を空戦映像として使用した例がある。今回、炎に包まれた軍艦を映した映像の制作にも、CGの使用の可能性が指摘されている。
一方、黒海の当該地域は、英国空軍のRC-135Wリベット・ジョイントなどの監視対象になっているとの指摘もある。同情報収集機は、通常より海岸近くで活動していたようだ。RQ-4グローバルホーク情報収集・監視・偵察用ドローンが同海域の上空で定期的に目撃されている。
本日未明、ウクライナ軍参謀本部のFacebookページで、作戦開始以来破壊してきたロシア装備品のリストに、正体不明の船舶1隻が追加されている。集計では、破壊された艦艇の数が10隻から11隻に増えている。しかし、同軍はこれまでも、何の証拠も示さずにロシア艦を撃沈したと主張してきたことを想起すべきだ。
その他ウクライナのメディアでは、ロシア軍がヘリコプターと救助船を派遣し、乗組員救助に向かったと報道しているが、これも未確認だ。黒海でのヘリコプター活動は珍しいことではない。
一方、クレムリンからは、ウクライナの主張を部分的に否定する発言があった。RIA Novostiによると、ドミトリー・ペスコフDmitry Peskov報道官は記者団に対し、「そのような情報はない」と述べたという。
黒海のスネーク島の位置。Google Earth
アドミラル・マカロフは、黒海で活動中とされるアドミラル・グリゴロービッチ級フリゲート2隻の1隻で、以前の映像を見ると、黒海の戦略的港湾都市オデーサへの砲撃に関与していたようだ。
アドミラル・グリゴロヴィッチ級フリゲート艦は、制式名称がプロジェクト11356として知られ、攻撃、対水上戦、対潜戦、対空戦をこなす。陸上攻撃ミサイル「カリブル」と対艦巡航ミサイル「クルブ」用の8セル垂直発射装置、中距離地対空ミサイル「シュティル1」用の12セル発射装置2基を備える。近接防御では、カシュタン複合砲・ミサイルシステムを2基搭載する。
今回の事件ではウクライナ軍がスネーク島付近でTB2を運用していることが重要な意味を持つ。武装無人機が同島でロシア地上配備防空システムを攻撃しているようだ。また、TB2がモスクワ沈没に関与し、追尾や照準情報の提供まで行っていたとする未確認情報もある。
また、アドミラル・マカロフへの攻撃が、モスクワの位置情報で米国防総省がウクライナと共有していたと確認があった翌日であるのが注目される。ただし米政府高官は、同艦攻撃の決定はあくまでもウクライナのみだったと述べている。■
Ukraine Says It Destroyed Another Ship As Rumors Swirl Of Russian Warship On Fire
Ukrainian officials claim that another high-profile Russian warship has fallen prey to Ukrainian anti-ship missiles in the Black Sea.
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MAY 6, 2022 12:49 PM
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