(Photo by Sean Gallup/Getty Images)
ロシア軍に包囲された製鉄所内のウクライナ部隊にヘリコプターによる決死の支援が繰り返されていたと判明した。
ウクライナのヘリコプター隊が、占領下の港町マリウポリの戦闘の真っ只中に飛び込んで行ったという、信じられないほど大胆な補給任務の詳細が明らかになってきた。ウクライナのMi-8ヒップ・ヘリコプターは、一度に2機、時には4機で飛行し、マリウポリ周辺に集中するロシアの防空や敵機をものともせず、包囲されたアゾフスタル製鉄所の防衛軍に、必要物資と追加兵員を届けていた。
ウクライナ国防情報部長キリーロ・ブダノフ准将Brig. Gen. Kyrylo Budanovが、独占インタビューでThe War Zoneに語ったところによると、総勢16機のヘリコプターのうち、2機が撃墜された。
「特別作戦はウクライナ国防省の国防情報部が計画し、実行した」とブダノフ准将は言い、これまで公表されていない危険な任務の詳細を語った。
ウクライナ軍は3カ月近く、ロシア軍に包囲され、絶え間なく砲撃を受ける広大な製鉄所に潜伏していた。食料、水、医薬品、弾薬の在庫が不足し、重傷者の数が増えるにつれ、助けを求める声も絶望的になっていった。
ブダノフ准将は、通訳を介して「7回の任務があった」と言った。
補給任務に投入されたのと同型機のウクライナのMi-8ヒップ。Credit: Ukraine MoD
Mi-8は、アゾフスタルに武器、弾薬、医薬品、食糧、アゾフ連隊72名を輸送した。
ブダノフ准将は、「補給はすべて成功した」と述べたが、5日と7日の任務で、2機が撃墜されている。撃墜された1機の救助に来た3機目のヘリコプターも破壊されたとブダノフ准将は述べた。
死傷者数は明らかにしなかった。
ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は先週の演説で、新型貨物機An-225の製造を呼びかけた際、ヘリコプター搭乗員の勇敢さに言及した。
「武器から水まで、すべてを運ぶためにどれだけのパイロットが命を捧げたことか。そして、そこからどれだけの負傷者を運んだことか。これらの人々の多くが英雄的に死んだのだ」とゼレンスキーは言った。「英雄の記憶のためムリヤの製造は、国家として正しい立場だ」。
ウクライナ軍参謀本部のオレクシー・フロモフOleksiy Hromov副本部長は、「マリウポリに弾薬、通信、医薬品が繰り返し届けられた」と述べている。
しかし、これらの物資輸送は、「支援に関する情報が広まるまで可能だった」。その結果、敵は防空システムを強化したので、以後任務が難しくなり、負傷者を避難させる人員や機材が失われることになった という。
アゾフ連隊は先週、ついに降伏した。5月9日の時点でも、守備隊は外部の支援を求めていた。
ウクライナ国家警備隊少佐でアゾフ連隊の参謀長ボハダン・クロテビッチBohdan Krotevychは、製鉄所内からソーシャルメディアのメッセージアプリによる独占インタビューで、「ウクライナ政府に占領地を攻撃してもらう必要がある」と語っている。「我々には、世界各国の軍事的支援と、ロシアに対し新たな戦線の追加が必要だ」。さらにクロテビッチは勝ち目のない状況でも降伏はしないと伝えてきた。
包囲をうけるアゾフスタル製鉄所(ウクライナ軍の降伏前)via Twitter
ブダノフ准将によると、7回のヘリコプターによる支援は成功したが、重要港マリウポルでの最後の抵抗拠点となった製鉄工場をロシア占拠から食い止めるには十分でなかったという。
それでも、国防総省によれば、アゾフスタル防衛隊は長い間持ちこたえることによって、一時はロシア軍大隊戦術群12個を釘付けにでき、他の場所への展開を防いだ。ヘリコプター補給がなければ、包囲戦はもっと早く終わっていた可能性がある。
先週、ロシアは最後の防衛隊員をアゾフスタルからドンバス占領地に連れ出したと発表した。
ボハダン・クロテビッチの運命は不明である。
アゾフ連隊の参謀長ウクライナ国家警備隊の少佐、ボハダン・クロテヴィチ(アゾフスタール製鉄所内にて)。The War Zoneと共有した最後の写真(Bohdan Krotevych photo)
The War Zoneへあてた最後のメッセージは5月18日だった。「特別作戦が進行中だ」「詳細は言えないが......」。
その後のメッセージはない。■
Exclusive Details Of Ukraine’s Daring Helicopter Missions Into Russian-Occupied Mariupol
With Ukrainian troops besieged in a massive steel plant and under constant fire from Russian forces, helicopter crews sprung into action.
BY
MAY 25, 2022 6:54 PM
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。