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米空軍は巡航ミサイル防衛の解決策に超高速弾を導入しようとしている。
米空軍は2023年度予算要求で、巡航ミサイル撃墜用の自走砲で試作品製作と試験を実施する資金を要求している。同兵器は、米海軍が開発断念したレイルガン用に開発された弾薬を使用し、前線基地防衛装備となる可能性があると空軍は説明している。しかし、巡航ミサイルが米国内に脅威をもたらす懸念があることから、他の用途もあり得る。
空軍の2023年度予算案では、「C-130で輸送/配備可能な超速地上兵器システム(HGWS)プロトタイプ」の製造を含む、さまざまな「ライフサイクルプロトタイピング」に約89.1百万ドルを要求している。このうち、どの程度がHGWSに使われるかは不明だ。
「ライフサイクル試作装備」として超速地上兵器システムの詳細が空軍の2023年度予算要求文書に見られる。. USAF
USAF
空軍予算書によると、「既存の統合サービス戦闘管理システムにシステムを統合し、実弾射撃実験として、巡航ミサイルへの効果をテストする」作業が、HGWSプロジェクトの2023会計年度の目標だ。「HGWS試作型は、遠征作戦の有効性を理解するために遠隔地に迅速に展開する」。
2023年度予算案は、HGWSでの空軍要求で具体的な詳細を提供していない。しかし、同兵器の基本的な説明は、空軍研究本部(AFRL)が昨年、航空宇宙軍協会の年次会議で発表した「Multi-Domain Artillery Cannon」(MDAC)基地防衛システムの構想とほぼ同じものだ。同会議でAFRLは、MDACが作戦シナリオでどう使用されるかを描いたCGビデオも公開した。
同ビデオでは、6x6の車輪付きシャーシに搭載されたC-130で輸送可能な大口径砲であること以外に、MDACの詳細は示されていない。その他、「高発射速度」や「高銃口速度」といった極めて一般的な能力を言及している。
ここで想定する車両は、自走式155mm榴弾砲と大筋で類似した構成だ。特にスウェーデンのアーチャーを彷彿とさせる基本形で、BAEシステムズのボフォース部門によれば、設置から4発を発射し、再び移動するまで74秒を要するという。
このことを考えると、AFRLが2021年の航空宇宙軍協会の会議で、MDACが発射する弾丸の例として、BAE Systemsがもともと海軍の電磁レイルガンや5インチ海軍砲、155mm榴弾砲に使用するため開発した超速発射体(HVP)の模型を展示したことが興味深い。海軍は昨年、レイルガン計画と関連するHVP開発をすべてキャンセルした。
空軍が巡航ミサイル迎撃のためHVPを発射す高性能自動装填装置付き移動式155mm榴弾砲を検討していることには意味がある。空軍は米陸軍と協力し、2020年のテストで、この組み合わせの能力を実証していた。その際、陸軍の追尾式自走155mm榴弾砲XM1299のプロトタイプが、HVPで亜音速巡航ミサイルの代用となったBQM-167標的無人機を撃墜していた。
「戦車が巡航ミサイルを撃ち落とすなんてすごい」と、自走榴弾砲がBQM-167迎撃に成功したことについて、当時空軍の獲得・技術・兵站担当次官補だったウィル・ローパーは、テスト後に、「まさにビデオゲーム、SFの世界だ」と語っている。「弾丸が十分に利口であれば可能となる。このシステムで使用する弾丸は、例外的に利口だ」(ローパー)。
原理的には、HGWS/MDAC構想は、地対空ミサイルのような、これまでの巡航ミサイル防衛能力と比較して、大きな利点を提供する。HVPは、地対空ミサイルより交戦単価が低く、21発弾倉を使えば、HGWS/MDAC車両1台で、地上型ミサイル発射台より多くの弾を準備できる可能性がある。
ターゲット捕捉と照準が、空軍予算書にある不特定の「戦闘管理システム」ネットワークを介してHGWS/MDAC車両がリンクするセンサーで完全に処理されれば、同兵器は、過酷地でも比較的簡単かつ迅速に展開および採用できる可能性がある。空軍の先進戦闘管理システム(ABMS)構想の一環で開発中のネットワーク機能は、2020年試験でXM1299プロトタイプ榴弾砲に照準情報を提供した。また、陸軍が航空・ミサイル防衛に特化した統合戦闘指揮システム(IBCS)ネットワークで行っている作業を活用する可能性もある。
HGSW/MDACは、巡航ミサイル以外にも、各種無人機を含む、既存および新たな脅威からの基地防衛に役立つ可能性がある。
米海軍がHVPの説明資料を準備していた。ここでは艦船で広範囲の対空脅威に対応する以外に地上目標もHVPを既存の5インチ砲で発射するとしていた。HGWSとMDACは多任務能力で共通している。 USN
HVP 弾は3種類ある Joseph Trevithick
CBSニュース記者にHVP弾を説明するマシュー・クランダー中将(当時)。 2014. Credit: USN
Credit: BAE Systems
HVP/GLGPは各種火砲による運用を想定し、電磁レイルガンも含む Credit: USN
これらの能力はすべて、巡航ミサイルや弾道ミサイルによる基地への脅威のため、空軍含む米軍が特に取り組む遠征・分散戦の作戦概念の支援で極めて重要になる。同時に、分散型基地は独自では脅威を完全に排除するのに十分ではなく、遠隔地や過酷地点でも、将来の大規模紛争では多層的防御が必要となる予想がある。HGSW/MADCは防御の一要素に過ぎず、空軍は既に、相手を完全に欺く新能力など、他の各種の関連した手段に取り組んでいることが知られている。
空軍の2023年度予算案では、「基地防衛実験-NASAMSとHGWS」の言及があるなど、将来の多層的防衛に空軍が関心を示している。NASAMSはNorwegianやNational Advanced Surface to Air Missile Systemの略で、AIM-120 Advanced Medium-Range Air-to-Air Missile(AMRAAM)を地上から発射するのを含む地対空ミサイルシステムである。
2020年、空軍は陸軍とNASAMS試験を実施し、低空巡航ミサイルの代用としたBQM-167に対して交戦範囲の拡大を実証した。この地対空ミサイルシステムは、ワシントンD.C.首都圏の防衛にのみ運用されている。
HGWS試作型とNASAMSを組み合わせたテストは、火砲ベースのシステムが遠征基地防衛以外の用途にも使われる可能性を示している。米国への巡航ミサイル脅威が再認識される中で、そ軍事施設や重要インフラを守るため何が必要かが議論されている。北方軍(NORTHCOM)の2023年度予算案では、国内巡航ミサイル防衛アーキテクチャの実証に50百万ドル超の追加投入を求めている。
AIM-120ミサイルをNASAMSで発射する想像図 Kongsberg Defense
NORTHCOMと北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の責任者であるグレン・ヴァンハーク空軍大将Gen. Glen VanHerckは、月曜日の防衛ライターグループのイベントで、テストで想定する内容について尋ねられ、「業界、ミサイル防衛庁、各軍に、任務達成似必要な能力を自由に考えてもらいたい」と答えた。彼はさらに、「非運動性」オプションにも興味があると発言した。
また、「巡航ミサイル防衛の成功には、運動論的な最終局面での撃破以外に複数の方法がある」「電磁波やその他の非誘導的手段で、局地防衛を超えた、広域防御や限定的な地域防衛が可能になるかもしれない」と語った。
ヴァンヘルク大将はさらに、巡航ミサイル防衛の方程式として、敵攻撃抑止の重要性を強調した。
空軍の2023年度予算要求では、HGWS/MDACの中核コンセプトの実証の継続に関心があることが明らかになった。このような兵器を実際にどう使用する想定なのか、どのように大規模な航空・ミサイル防衛のエコシステムに適合させるのか、詳細が今後明らかになるだろう。
UPDATE: 9:05 PM EST—
記事掲載後に、読者から、国防総省の2023年度予算要求にHGWS関連項目が追加されているとのご指摘をいただいた。国防長官官房の戦略能力局(SCO)は、"Advanced Innovative Technologies "と呼ぶポートフォリオの一部として、HGWS開発を支援するため151百万ドルを要求している。また、SCOは2021会計年度と2022会計年度に3百万ドルと20百万ドルのHGWS研究開発資金を受け取ったと記されている。
項目には、SCOの2022会計年度におけるHGWSプログラムの目標として、「移行作業に関連するレーダー、砲、射撃方向、発射体のエンジニアリングおよび製造開発(EMD)活動を支援する」ことを挙げているが、目標が達成されたかは書かれていない。
2023年度の目標として「HGWSプロジェクトは、移行作業に向けた技術・製造開発(EMD)フェーズの開始を支援する」と記されている。■
Railgun Ammo-Firing Cannon Being Eyed By Air Force For Cruise Missile Defense (Updated).
BY
MAY 1, 2022 6:02 PM
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