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主張 プーチンとウクライナの交渉は不可能。プーチンの退陣、ロシア軍のウクライナ領撤退があってこそ対話が可能。外交交渉に注力すべきとの主張が間違っている理由。

  

Ukraine Russia

Russian President Putin. Image Credit: Creative Commons.

クライナはロシアと「対話」できるのか?プーチンの目的はウクライナの消滅にあるようだ。

1944年のヨーロッパで、連合国指導者が次のように言ったと想像してほしい。「平和を築くためユダヤ人とドイツ人が同じテーブルで作業を行わなければならない。議論と交渉の終わりは、ユダヤ人とドイツ人が決める。否定することでも、互いを排除することでも、屈辱を与えることであってもならない」。

この提案では失敗する運命にあるとほとんどの人が同意するのではないだろうか。アドルフ・ヒトラーとユダヤ人社会の代表が、どうやって何かを話し合えるというのか。ヒトラーはユダヤ人を絶滅させると決意しており、ユダヤ人は生き延びたいと願っている。このゼロサムコンディションでは、心の交流は不可能だ。

ユダヤ人をウクライナに、ドイツ人をロシアに置き換えれば、5月9日にフランスのマクロン大統領のストラスブール発言になる。ロシアがウクライナで行っている大量虐殺は、ホロコーストほど破壊力はないものの、戦争が始まり3カ月しか経っていない現時点で、交渉の論理は同じである。ユダヤ人がドイツ人と交渉できるのは、ドイツ人が反ユダヤ主義とナチズムを敗北させ、謝罪し、放棄した後であるように、ウクライナもロシアと交渉できるのは、ロシアが反ウクライナ主義とナチズムを敗北させ、謝罪し、放棄した後なのだ。

それが実現しない限り、プーチンのロシアは、ウクライナとウクライナ人を破壊し、ソビエト・ロシアがかつて支配した各国に版図を拡大しようとする、ならず者ファシスト国家のままだろう。モスクワ市議会の副議長が最近述べている。ロシアはエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、モルドバ、カザフスタンを「脱ナチス化」しなければならない。

ロシアの政策立案者は、ウクライナは人為的な構築物であり、ウクライナ人は存在しないと繰り返し発言している。ある下院議員は、「ウクライナという概念そのものを存在させてはならない」と宣言している。「ウクライナ人という概念も存在すべきではない」。同議員は自分の意見が「過激」と言うが、実は今日のロシアで主流である。したがって、啓蒙主義の「教育出版社」は、ある編集者の言葉を借りれば、「ウクライナが存在しないかのように見せなければならない」ので、テキストからウクライナやキーウの言及を削除するように従業員に命じている。数週間前だが、ロシアの広報担当者は、ウクライナの国家抹殺の詳細な青写真を提案していた。

ロシア軍は、殺害、強姦、略奪を奔放に行い、その過程で戦争犯罪多数を犯している。同時に、ロシア人はウクライナの文化遺産200近くを破壊し、略奪している。18世紀のウクライナの哲学者フリホリ・スコヴォローダの博物館は5月初旬に砲撃され、数日後、メリトピルの博物館から古代スキタイの金の宝石と芸術品が盗まれた。

マリピルではウクライナ市民数万人が死亡し、その他ウクライナの村、町、都市で数千人が死亡している。何十万人が「民族浄化」され、ロシアに強制送還された。何千人もの子供たちが誘拐された。

今日のロシアの行動は、1930年代初頭にモスクワが行った反ウクライナキャンペーンとなんら変わらないものだ。キャンペーンは、ジェノサイドの言葉を作ったポーランド系ユダヤ人の学者ラファエル・レムキンの定義にあてはまる。当時も今も、モスクワはウクライナを物理的に破壊するだけでなく、「伝統、民間伝承、音楽、国語、文学、民族精神」の破壊を目指している。モスクワの計画が成功すれば、レムキンの言葉を借りれば、「ウクライナは死んだも同然になる。 

プーチンのロシアがウクライナで大量虐殺を目ざしているのを考えれば、ウクライナ人とロシア人が何を話し合えるのだろうか?マクロン大統領や西側諸国はプーチンと何を話し合えるのだろうか?ウクライナ人を何人殺すのかについて?ウクライナの都市に発射するミサイルの数について?大虐殺のペースについて?ゲットーの建設についてだろうか。

ヒトラーと同様に、プーチンが敗北し、ロシアが脱ナチス化されなければ、ロシアとウクライナ、さらに西側の間で合理的な対話など不可能だ。だからといって、外交をやめるわけにはいかない。奇跡は起きるものだ。また、敗北はロシアの崩壊や破滅を意味するものでもない。しかし、最低でもロシア軍のウクライナからの撤退、そして、より重要になるのが、プーチンの退陣が必要だ。

西側諸国は幻想を抱いてはならない。プーチンのロシアは世界平和の脅威であり続け、ウクライナや他の旧ソビエト諸国との新たな戦争は不可避だろう。欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長が「ロシアは今日、世界秩序への最大の直接的な脅威だ」と言ったのは全く正しい。

同委員長は、プーチンが権力を握る限り、今の状態が続くと付け加えていてもおかしくない。あるロシア人論客が言うように、プーチン本人が去った後でないとロシアでは「敗北を認め、和平を締結し、早期の改革に着手する」ことが可能にならない。■

Putin's Russia Has One Goal: To Ensure Ukraine Doesn't Exist - 19FortyFive

ByAlexander Motyl

 

Dr. Alexander Motyl is a professor of political science at Rutgers-Newark. A specialist on Ukraine, Russia, and the USSR, and on nationalism, revolutions, empires, and theory, he is the author of 10 books of nonfiction, including Pidsumky imperii (2009); Puti imperii (2004); Imperial Ends: The Decay, Collapse, and Revival of Empires (2001); Revolutions, Nations, Empires: Conceptual Limits and Theoretical Possibilities (1999); Dilemmas of Independence: Ukraine after Totalitarianism (1993); and The Turn to the Right: The Ideological Origins and Development of Ukrainian Nationalism, 1919–1929 (1980); the editor of 15 volumes, including The Encyclopedia of Nationalism (2000) and The Holodomor Reader (2012); and a contributor of dozens of articles to academic and policy journals, newspaper op-ed pages, and magazines. He also has a weekly blog, “Ukraine’s Orange Blues.”

 


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