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バイデン大統領初の東アジア歴訪の真の意味。東西2方面への同時対応は可能と同盟国へ伝える。

 

CHIP SOMODEVILLA/GETTY IMAGES

 

 

初の太平洋横断公式訪問は、中国への焦点は合わせたままだと各国指導者に理解させるのが目的だ。

 

 

ワイトハウス関係者は、バイデン政権は歩きながらガムを噛むことができる、とよく口にしている。ジョー・バイデン大統領のアジア歴訪が証明のチャンスとなる。

 

 

 バイデンの東京とソウル公式訪問は火曜日まで、ロシアのウクライナ戦を背景に行われる。ホワイトハウスは、米国が中国の長期的な戦略的挑戦に立ち向かいながら、ロシアの侵攻に対して世界を結集できることを、同盟国や敵対勢力を前に証明しようとするものと説明している。

 このバランス感覚は、アジア歴訪の前から始まっていた。木曜日、バイデンは、大統領として初のアジア歴訪のためにエアフォースワンに搭乗する1時間前、ホワイトハウスでフィンランドとスウェーデン両国の指導者と会談し、両国のNATO加盟申請を協議した。上院がウクライナ向け400億ドル援助を可決し、署名のため大統領に送ったとき、大統領はソウルに移動途中だった。

 ジェイク・サリバンJake Sullivan国家安全保障補佐官は水曜日に、「米国は、ロシアのウクライナ戦争への対応で自由世界をリードすると同時に、21世紀の未来の多くを定義する地域で、効果的で原則的な米国のリーダーシップと関与への道筋も示せることを明確に示す」と述べた。

 バイデン大統領は先週就任したばかりの韓国のユン・ソクヨル大統領と会談した後、昨年10月に就任した岸田文雄首相と会談する。また、日本、インド、オーストラリアの指導者との「クワッド」会合にも参加する。

 アメリカン・エンタープライズ研究所のザック・クーパーZack Cooper上級研究員は、「ホワイトハウスの立場からすれば、使命は相手と知り合うこと、ウクライナの進展があっても、アジアへの注目を減らすことはないと示すことだろう」と述べた。

 バイデン政権は「2022年国家防衛戦略」を3月に発表し、欧州の地域危機に対処する一方で、中国を米国の安全保障上の主要課題として残した。その後、米国は数十億ドルの武器支援を約束し、欧州での軍事プレゼンスを10万人規模に拡大し、軍事立案部門は戦いが数カ月から数年にわたり続くと予想している。

 木曜日、国防総省高官は、大統領歴訪は米国が両方の戦線を維持できると「証明する」と述べた。

 「ウクライナに注目が集まっているのは理解できる。だからといってインド太平洋の同盟国やパートナーとの協力、インド太平洋での航空・海軍活動をやめたわけでもない」(同高官)。

 米国は対空ミサイルのスティンガーと対戦車ミサイルのジャベリンをウクライナに送り、国防総省は装備の補充について防衛産業と会談したが、インド太平洋地域の兵器販売には影響しない、と同高官は述べている。

 バイデンは世界を活気づけ、ロシア侵攻への対応で、世界規模での制裁措置を推進し、武器輸送を促進し、NATOをキーウ支援で一致団結させた。中国が侵攻すればウクライナと同じ運命になると懸念する台湾を含むアジア諸国にとって、今回の結集を生んだ力は重要だ。

 戦略国際問題研究所のチャールズ・イーデルCharles Edel上級顧問は、木曜日に行われた下院外交委員会公聴会で、ウクライナ紛争がインド太平洋地域にどう影響をしているかについて語った。ウクライナをめぐり世界規模の連携を実現したことが「テンプレート」となり、今後の台湾危機にも応用できそうだという。

 一部専門家は、今回の歴訪でウクライナ戦争と同時にアジアで紛争が発生しても、同様に世界を巻き込むとバイデンが同盟国に明言すると予測している。

 戦略国際問題研究所のアジア担当上級副所長マイケル・グリーンMichael Greenは、今回の公式訪問を前にし、「特に台湾と日本が、米国が重大事態2つに同時対処できるか神経質になっている」「ウクライナとあわせ、突如台湾が危機に陥れば、同時対処できるのか。ヨーロッパとアジアにおける重大事態に同時に対処する能力について不安を呼ぶような大統領の発言が見られる」と指摘した。

 国家安全保障会議のような政府機関では短期的にはウクライナ紛争がインド太平洋から注目を集める可能性はある。しかし、戦後、ロシアが弱体化し、アメリカの関心が薄まれば、インド太平洋がより注目される、とクーパーは言う。

 「ロシアが弱体化し、NATOが強化されれば、米国はアジアにもっと目を向けられる」「アジアの観点からみれば長期的に有益だろう」。■

 

Biden's Asia Trip is 'Proof' That US Can Focus On Two Fronts At Once, Officials Argue - Defense One

By JACQUELINE FELDSCHER and TARA COPP

MAY 19, 2022

CHIP SOMODEVILLA/GETTY IMAGES

 


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