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中国経済のデススパイラルが始まった。経済の実態を強権政治・検閲では隠蔽できない。大陸に大混乱が発生し、世界は大迷惑を受けるのか。

  Chinese Economy.       REUTERS/Florence Lo/Illustration

中国経済 が大変な事態に入ってきた

ーロン・マスクは、「中国が米国の2倍、おそらく3倍の経済規模になり、世界は非常に不気味になる」とポッドキャスト「All-In with Chamath, Jason, Sacks & Friedberg」で、述べた。

一見、マスクは正しく見える。中国は急速にアメリカに追いついてきた。昨年、中国経済は8.1%成長し、国内総生産17兆4600億ドルを生み出した。アメリカ経済は23兆0000億ドルで、5.7%の成長率にとどまった。

マスクはアメリカを代表するビジョナリーだが、このビジョンは的外れだ。中国経済がアメリカを追い越すことは、少なくとも今世紀中には発生しない。

イーロン・マスクは、外挿法で予測をしている。たいていの場合外挿はうまくいくが、今回は違う。

なぜうまくいかないのか?

中国の経済、さらに国全体が、変曲点を通過中だ。最も基本的なのは人口動態だ。中国の人口は減少の一途だ。最も直接的な変曲点は経済で、中国は縮小傾向にある。しかし、中国は膨大な債務を返済するため成長が必要だ。

人口動態から見てみよう。西安交通大学の人口統計学者によると、中国は45年後に人口が半分になる。今世紀末には、中国は現在の3分の1程度の人口になる可能性がある。

中国は歴史上最も急激な人口減少に直面している。2015年の一人っ子政策から2021年の三人子政策への変更など、人口減少を回避しようと躍起だが、出生率は向上していない。

ここまで急激な人口低下は、中国経済がアメリカを抜いてトップになるには、人口減少が経済パフォーマンスを低下させる前、例えば10年以内に米国を抜く必要を意味する。しかし、今後10年の間に中国経済が崩壊する可能性の方が高い。

すでに苦境に立たされている。4月、経済は明らかに収縮を示した。工業生産高は前年同月比2.9%減。小売売上高は11.1%減。新車販売台数は47.6%減と急減した。

北京の「ダイナミック・ゼロ・COVID」政策による徹底的な締め付けにより、国民経済の中心である中国東部の大部分が実質的に停止している。交通量は港湾や空港の能力をはるかに下回り、河川やトラックの交通量は約40%減と大幅に減少している。

生産していないのに出荷はできない。工場は閉鎖されるか、苦境に立たされている。政治的に優遇されている企業でさえ、大打撃を受けている。上海にあるテスラのギガファクトリー3は、COVIDのロックダウンのため3週間閉鎖されている。現在、部品不足のため、わずか45%の生産能力で稼働している。

中国政府が誤った疾病管理政策を捨てれば、いずれは経済的なダメージを回復できる。しかし、前代未聞の債務超過から逃れることはできない。中国がどれほどの負債を抱えているかは誰も知らないが、国内総生産(GDP)の350%というのが妥当なところだろう。悪名高い「隠れ借金」があり、数字はもっと高いかもしれない。

負債がいくらあるにせよ、清算を迎えている。2008年の危機では、主に負債で賄われたインフラ投資で経済を過剰刺激することで、景気後退を回避した。今や、中国は負債を返すか、他の手段で事態を解決しなければならない。

多くの人は、対外債務は多くないので、危機は簡単に解決できると考えている。しかし、この種の危機は、歴史が示すように、解決が最も困難であり、海外の銀行家ではなく、国内関係者が苦しむ必要がある。中国政府は社会の安定を懸念して、清算を遅らせようとしている。つまり、この問題の解決は、はるかに長い時間がかかるということだ。

一方、負債を抱える不動産部門は修復不可能な状態だ。特に昨年9月から、不動産開発会社が支払いを怠り、債務不履行に陥っている。中国最大の不動産開発会社だった恒大集団は、3050億ドルという巨額債務を抱え、政府の全面支援を受けても、苦境に立たされている。当面は事実上救済されるが、中小デベロッパーは破綻している。現在第4位のデベロッパー融創Sunac Chinaは、債券支払いが滞り、他の債券支払いも見込めないと発表したばかりだ。

表面的には、この状況は対処できる。4月の主要70都市の新築住宅価格は前月比0.2%の下落にとどまった。しかし、市場は「凍結状態」、つまり、買い手と売り手の価格差が大きすぎて取引が成立しない状態だった。

J Capital ResearchのAnne Stevenson-Yangは、水曜日に "CBS Eye on the World "で、「価格崩壊はまだ起きていない」と述べた。「中国政府はデベロッパーにこっそり大量の資金を投入し、在庫を市場に出さず、30%、40%、50%の値下がりを防いでいる状態だ」。

政府介入で価格維持ができても、販売の強制はできない。先月の不動産販売額は前年同月比46.6%減で、2006年8月以来の大幅な落ち込みとなった。

デベロッパーは調整している。4月の床面積でみた新築着工件数は、前年同月比44.2%減となった。その結果、建設資材需要が激減した。

経済の先行きを占う上で不動産市場には、良い兆候と言えない。不動産がGDPに占める割合は25%から30%で中国人の家計資産の約70%は不動産に縛られている。中国では、マンションは資産ではなく、金融資産に相当するものとなっている。

このような中国の「お金」は、信頼が失われるにつれて価値を失う。3月に投資家が中国から引き揚げたポートフォリオ資産(株式と債券)は175億ドルという記録的な額だった。米国に本拠を置く国際金融研究所は、資金流出は中国に限られたものであり、新興国市場からの広範な逃避の一部ではない、と指摘した。引き揚げは、2月に明らかになった傾向を引き継いでおり、資本逃避は続いている。

米連邦準備制度理事会(FRB)が米国金利の引き上げを続ける一方で、中国の中央銀行である中国人民銀行は金利引き上げに対応できないため、この傾向は続くだろう。中国の金融当局は今、窮地に立たされている。経済活性化のため金利を下げざるを得ないが、資本逃避を悪化させる結果になる。

昨年は世界で最も強い通貨の一つであった人民元は、弱くなっており、3ヶ月で約7%下落している。先月は中国通貨にとって過去最悪の事態となった。

共産党には構造改革を実施する気がなく、最後の手段をとっている。「ロックダウンは、人々にこのことを知らせないようにし、人々が不満を持たないようにすることに関係している」と、『China Alone: The Emergence from and Potential Return to Isolation』の著者Stevenson-Yangは言う。「これは中国が典型的に行っていることで、実際に問題に対処するのではなく、情報を流出させないようにしている。そして、時間が経つにつれて、さらに同様のことをより多く行うようになるでしょう」。

北京は検閲に長けているが、経済で清算時期がやってくるのは止められない。中国はデススパイラルの恐怖が市場を支配し、最終的な危機が訪れる「後戻りできない地点」に急速に近づいている。■

The Chinese Economy Is In A Death Spiral

ByGordon ChangPublished3 hours ago

https://www.19fortyfive.com/2022/05/the-chinese-economy-is-in-a-death-spiral/

Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China and The Great U.S.-China Tech War. Follow him on Twitter @GordonGChang. Chang is also a Senior Editor for 1945.

コメント 巨大、強力と言われてきた構図が虚構だったと露呈すれば、一気に中国経済は奈落の底に落ち、21世紀最大の悲劇が展開するでしょう。さらにその影響は国外にも及びますし、持て余した軍事力を行使して一か八かの勝負に出る可能性も出てくるでしょう。欲望に火をつけてしまった社会に地獄が待っているのかはこれから判明します。

 

コメント

  1. ぼたんのちから2022年5月24日 1:15

    現在、人口の最も多い国は、インドであり、中国の人口は以前から減少している。労働人口の減少は何年も前から始まっており、高齢化が引き起こす問題は、これから深刻になる。
    中国全体の負債は、記事でGDP比350%と推定されているが、GDPは過剰な固定資産投資と水増しで膨らんでおり、実質的なGDPは現在の70~80%が妥当かもしれない。70%なら負債はGDP比500%と恐ろしい数値となる。
    まともな国ならば、これらの問題はそれぞれ危機的と評価するだろう。しかし、中国は、CCPが支配する異常な国であり、その強力な暴力的支配により、これらの問題を解決するかもしれない。
    人口減少は、強制的妊娠により解決し、高齢化問題は、高齢者の死亡率の高い武漢肺炎の活用等で「適正な」数値にし、負債は無かったことにする。これで問題の全ては解決する。
    不満を持つ者は、収容所に送り、様々な用途に活用し、それで社会も平穏になる。反乱を起こそうとする者は、弾圧し、埋めてしまう(中国は大昔から大量虐殺の際に、遺体を坑や谷に埋めてきた)。CCPにとって最も良い市民は、不満を言わない死者である。これで3期目を目指す習は、毛に続く終身指導者になれるかもしれない。
    このようなおぞましい想像にならないことを望むも、CCPの非人間的側面から見ると、可能性があることに戦慄を覚える。

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