軍の運用がいよいよ単独ではなく国の枠を超えた形になってきました。これができるのはヨーロッパだけなのでしょうか。そうは思えません。
New French C-130J Not A Blow To Europe’s A400M
フランスのC-130J導入はヨーロッパ大でのA400M導入に水を差すものではない
フランス向けC-130J-30一号機受領式

編集人より フランス軍やNATOはじめヨーロッパの防衛問題全般をムリエル・デラポルテが記事にしてくれることになった。デラポルテはフランスの戦略や装備導入に詳しく、ワシントンとパリを往復しながらフランス語防衛専門誌Opérationnelsで編集長をしている。
「われら二国はともに最良の成果を追い求め、自由を希求し共通の意思と行動を追い求めている。C-130Jはその体現だ」フランス国防相フローレンス・パルリ、1月19日オルレアン-ビシー航空基地にて
フランス国内の観点では米国製軍用輸送機を新たに導入することは異例な事態に見える。A400Mの失敗を認めるからだ。だが今回のC-130J導入で仏独共同部隊が2021年にエヴロAFBに設置することなり、マグロン大統領とメルケル首相のめざす真のヨーロッパ防衛体制の夢の実現に一歩近づくことになる。
The A400M in low speed tests
またフランス市場で最短の軍事装備調達になった。FMS契約からC-130J-30初号機の納入までわずか二年間というのは記録となった。C-130J-30初号機は昨年12月にロッキード・マーティンのマリエッタ工場(ジョージア)で引き渡されていた。
契約では機材支援、予備部品、二年間保守管理遺体に米国内での10か月パイロットとロードマスター訓練も含む。特にロードマスター訓練が重要だ。
今回の実現を築いたのは前仏防衛相ジャン-イブ・ル・ドリアンとドイツ国防相ウルスラ・フォン・デア・レイアンが2016年4月に取り交わした合意で、その後仏独二国間協力合意が軍部間で2017年10月に取り交わされた。内容は両国で部隊を合同運用し経費を負担するものだ。フランスはC-130J4機を2019年までに調達し、ドイツも同年までに同型機6機を導入する。IOC初期作戦能力獲得は2021年、FOC完全作戦能力獲得は2024年予定。
経費負担は50百万ユーロ(61百万ドル)でそれぞれスタートし、エブロで新型機運用に必要なインフラの構築にとりかかった。ドイツ側人員が規模未定だが同基地に到着後に機材整備支援にも広げる。
フランス国内でのドイツ軍隊員の展開はこれが初めてではなくタイガーヘリコプター乗員養成で仏独陸軍航空要員養成スクールが南仏にあるが、今回は機材の共有を超えたねらいがある。訓練にとどまらず両国混成の乗務員による共同運用をめざす。
両国の軍組織にはそれぞれの経緯があり以前ならこのような構想は冷笑されるのが関の山だったが、二つのトレンドから構想が実現度を高めている。
- 欧州空輸司令部(EATC)がアインドホーヴェンに2010年に設置され実績を上げている。C-130で各国が飛行時間を融通する制度で参加国が増えてきた。
- A400Mをめぐりフランス、ドイツ間で経費分担が進み、飛行乗員の訓練がフランスで、補給支援や整備員訓練がドイツで行われている。
A400Mがフルに機能を発揮する段階になる中でC-130Jでかつてのトランザール(C-160)の精神が復活するかが見どころだ。トランザールはフランス-ドイツ共同開発で1959年にはじまり、名称はドイツ語の“TRANSporter ALLianz” とフランス語“TRANSporteur ALLiance”からとったものだ。C-130J導入の理由もトランザールがドイツで2021年、フランスで2023年にそれぞれ退役するためだ。
ただし両国がC-130J-30を今回採用した理由はほかにもある。
フランス空軍では同機を以下のミッションに投入するとしている。
- CSAR、TRAP、人質・災害退避、救難.
- 兵力投射、空輸、海外展開
- 補給、退避、人員物資の投下、地上給油
KC-130Jが加わればフランス軍のヘリコプターも空中給油を米国の助けを借りずに実行できるようになる。A400Mでこの機能を期待されていたがまだ実現できない。
それぞれ長所がある機材が複数型式あれば軍事作戦上有利になり、厳しい条件での要求にこたえやすくなる。フランス空軍はサハラ-サヘル地区でここ数年作戦を展開しており、シリアやイラクでも対ゲリラ戦に従事している。A400Mならオルレアンからチャドまで30トンを6時間で搬送できるが、C-130H-30では7トン8時間だ。C-130J-30は10.5トンを7時間で運べる。■
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