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中国が海外販売をめざす99型戦車の実力とは

戦闘車両の世界は勉強中といったところですが、主砲でミサイル運用とか反応性装甲で敵弾の命中効果を減じるとか技術が相当進展しますね。中国製兵器は安価でそこそこの効果があるので途上国には魅力があるのでしょうね。実績が加わればいろいろな疑問も払しょくすると思いますが、世界に武器を売りつけるのが中国の狙いなのでしょうか。


China Is Selling a New Tank. Could It Beat the M1 Abrams in a Fight? 中国の新型戦車はM1エイブラムズに勝てるか




February 10, 2018


国の主力戦車ZTZ-99(99型)は輸出を意識した設計だ。輸出仕様はVT-4の呼称でタイ陸軍が採用している。VT-4はもともと輸出用にパキスタン、ウクライナが原産ノアルハリド戦車が原型としている。だがVT-4の実力はロシアのT-90S、米M1エイブラムズの輸出仕様あるいはレパード2と比べてどうなのか。

 VT-4のルーツは1990年代初頭開発のアルハリド戦車で、中国とパキスタンの技術が応用されているが、弱点はエンジンでドイツやウクライナからの導入を求めたが、結局ウクライナ製エンジンンを採用した。そのためVT-4では国産エンジンの実現をねらった。エンジン開発に成功したことでVT-4の販促資料では信頼性と性能水準を訴えている。
 タイがVT-4導入を決定したのはウクライナからT-84オプロット戦車が予定通り納入できなくなったためだ。当初はT-90SかT-84の選択を検討したが米国の外交圧力でT-84に落ち着いた。だがその後のウクライナの混乱と内戦でT-84納入は予定より低いペースになった。そのためT-84に代わる戦車選定が2016年に始まり候補は中国のVT-4とロシアのT-90MSだった。クーデターで生まれた新政権は中国に接近し、ロシアの影響は減少したためVT-4が選定された。とはいえ、T-90に輸出実績があった半面でVT-4は実績がなかった。タイがのVT-4採用は初の事例だった。
 VT-4は中国製125mmBT-4砲弾を搭載する。これはDTW125弾の輸出仕様でタングステン貫徹弾の中国製APFSDSの最終世代で射程2キロで700ミリ圧延鋼板を貫徹する。さらに輸出用新型弾がDTC125弾から開発中で同じ距離から750ミリを突破できるといわれる。125ミリ砲は標準口径だが、VT-4は120ミリ砲にも対応可能だ。さらに140ミリ砲が将来の中国軍向け主砲に検討されたが新型砲弾の開発とETC技術開発が先行し、今のところ棚上げされている。
 VT-4の砲弾自動装てん装置はT-72とほぼ同じで砲弾を砲塔の床面に水平方向に貯蔵し、ホイストで上部移動させる。タイ陸軍のVT-4はウクライナ製砲弾を利用できATGM(対戦車誘導ミサイル)も運用可能だ。VT-4でGLATGM(主砲発射対戦車ミサイル)は不要と想定したのは運動エネルギー利用の貫徹弾で途上国に十分と考えたためだが、タイ向けVT-4にはT-84導入で入手したミサイルの運用も可能になっている。VT-4のRHA装甲は500から600ミリと推定され、さらに爆発反応装甲は700-800ミリだろう。砲塔装甲のデータは極秘で導入国のみに開示される。その他VT-4の特徴としてレーザー照射警報装置があり、完全安定化で独立懸架の熱画像を車長に備えるのはロシア製戦車もまだ採用されていない特徴だ。
 タイ陸軍戦車部隊はVT-4のERAがオプロットより薄いと不満だ。オプロットのアクティブ防護を盛り込んだ設計は戦闘で効果が実証ずみだが、VT-4では効果は未検証である。ただし射撃演習でVT-4の射撃制御はオプロットより正確だと判明している。
 VT-4の性能は革命的とはいかないものの、(メーカーのNorincoはそう主張するが)価格のわりに充実した戦車であり、中国本土の製造元からのサポートも期待できる。残存性に関しては、砲弾の配置方法が同じなのでT-72やT-90と同様になる。主砲性能は砲弾が最新でないため米、中、ロの最新型とまではいかないが、最強装備を除けばほぼすべての戦車に対応できる。そのため予算が乏しい国向けにとってVT-4は訴求力のある製品となり、とくにロシア、ヨーロッパ、アメリカとのつながりがない国には「これで十分」な戦車だ。タイ陸軍が導入したスティングレイ軽戦車でも同じことがいえるが、今のところ同戦車を採用したのはタイだけだ。■
Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues.

Image: Wikimedia Commons

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