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歴史のIF(4) 朝鮮戦争が北朝鮮勝利で終わっていたら

歴史のIF(4)は北朝鮮が朝鮮戦争で勝利を収めた世界です。日本は当然反共の砦として今より早く強力な軍事態勢を整備していたでしょう。そのため経済成長が遅れたかもしれません。現実の金日成は米軍侵攻に恐れて逃げ回り中国義勇軍に失望を与えていたといいますからそもそも勝利を収める資質はなかったのでしょうね。



What If North Korea Had Won the Korean War?

北朝鮮が朝鮮戦争の勝者になっていたらどうなっていたか



February 2, 2018


1950年の夏、朝鮮人民軍(KPA)が朝鮮半島で国連軍敗退の一歩手前までいった。だが釜山防衛線が辛うじて守られ、北朝鮮(DPRK)の完全勝利は実現できず、マッカーサーによる戦況を一変させるインチョン上陸作戦が続いた。もし北朝鮮軍が優勢のままだったらどうなっていたか。朝鮮半島はどうなっていただろうか。
北朝鮮はこうしたら勝利できた
 北朝鮮勝利は次の三つのいずれかの場合だ。まず米国が不介入決定していれば、KPAは韓国軍を打ち破り釜山を陥落させただろう。これで戦争は終わったはずだ。二番目に米軍国連軍が展開後、KPAが釜山防衛線を破り防衛体制が崩壊したら米国は厳しい選択を迫られ、インチョン上陸作戦の実施が問われただろう。三番目に1950年11月の中国参戦で前進中の国連軍は大打撃を受けた。中国攻勢が国連軍を敗退させPLAが半島を征服した可能性だ。
 いずれの場合も平壌が朝鮮半島を支配していただろう。米軍が釜山で敗退していればDPRKと米国に遺恨が残り、中国介入が功を奏していれば平壌は中国依存度を高めていたはずだ。ただここでは同じ扱いとしDPRKの政治経済面でのその後の進展を仮定する。
政治面
 平壌主導で朝鮮半島が統一されたら今日どんな様相になっているだろうか。今日の韓国、北朝鮮のいずれとも異なっていたはずだ。
 統一朝鮮は国際経済参入を中国やヴィエトナムより有利に行えていたはずだ。日本統治下で朝鮮に産業化が始まり、インフラ整備も進んだ。平壌が短期間で戦勝していれば、北は米空爆から無傷だったはずだ。DPRKは社会主義ブロックの一員として経済開発を有利に開始できUSSRやPRCの支援を受けていたはずだ。
 だが統一社会主義朝鮮は冷戦末期の中国やヴィエトナムのように国際経済に参入できたか疑問が生じる。金一族はもともと独裁者の血筋だが中国、ヴィエトナムもかつては頑迷で変化は無理と思われていた。ただし両国は経済の自由を受け入れある程度まで政治的寛容さも受け入れたがDPRK人民はこの自由を享受することはなかっただろう。
 中国、ヴィエトナムにも独裁者が居座っていたが金一族にはない自由がある程度まであった。両国とも内戦の勝者で統一後は外敵にすぐ侵攻される恐れはなかった。両国は長期計画でグローバル経済への参画を検討する中で国内の経済統制を緩めた。ここから経済高成長が生まれたが、DPRKにはこの経験はない。
 DPRKは内向きの独裁体制になっていただろう。金日成も戦勝していれば中国やヴィエトナム並みに未来を見通した政策を柔軟にとっただろうが、そのためにはイデオロギー上の柔軟性と想像力が必要でいずれも本人に欠落していた。金日成が国際貿易・投資から自国を完全に閉ざしていた事態は十分考えられる。
国際社会への影響
 統一朝鮮は社会主義圏各国の軍事援助をあてにしていたはずだ。現実の北朝鮮は武器輸出大国だが金日成が統一に成功していたら現在以上の輸出国になっていただろう。ソ連圏との関係で金一族は戦勝をモスクワと北京に感謝してもモスクワへの恩義の方を強く感じていたはずだ。中国と近いことで金日成は逆にソ連傾斜を強めた。ただ中朝関係は中国-ヴィエトナムほど悪化しなかっただろう。
 平壌にはいつも敵が必要で、植民地化された歴史のある日本は近い位置にあり、米国支配下の日本はうってつけの敵国で自らの統治を正当化できたはずだ。DPRKによる日本侵攻はありそうもなかったが、冷戦時の行動様式でスパイ活動、小規模襲撃や拉致は頻発しただろう。
米国への影響
 米国に敗戦は簡単に受け入れられない。中国内戦で毛沢東が勝利するとマッカーシーが米政治面で大きな影響を与えた。ヴィエトナム戦争で勝利できそうもないと分かると社会不安が広がった。韓国消滅を防げなかった場合、米国への影響は甚大だっただろう。
 国内では1950年代はじめの反共ヒステリアが悪化しただろう。トルーマンは共和党から共産主義に「弱腰」すぎると攻撃されていたはずだ。アイゼンハワーは戦争が終結して共和党内で自らのアピールがなくなり、もっと過激な候補が選挙に勝利していれば冷戦は現実より危険な様相になっていただろう。
朝鮮敗戦で米国は東アジアで防衛困難地点で対応強化に向かっただろう。ヴィエトナムが例だ。米国はフランス支援を強め、場合によってはディエンビエンフーへ部隊を送っていたかもしれない。また台湾の蒋介石支援を強め、中国のチベット支配へも積極策をとっていただろう。
結論
 南朝鮮は1953年の休戦後に困難な道をたどり、独裁政治を数十年経験する苦労の末に経済繁栄を勝ち取った。今日の大韓民国は強い経済に裏付けされた民主政体で国際社会の一員だ。平壌が戦勝しても韓国の業績をそのまま実現できなかったはずだ。米国でも朝鮮戦争敗退は面倒な結果になっていたはずで、波及効果はアジア全体に広がっただろう。結局、朝鮮戦争は手詰まりのまま終了したが国連軍が金日成の勝利を阻んだことで世界がより良い場所になったのは疑う余地がない。
Robert Farley is a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat. Follow him on Twitter:@drfarls.

Image: Reuters

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