果たしてこの機体は採用される可能性があるでしょうか。米空軍はOA-Xでターボプロップ単発機を採用しそうですから、この機体はちょっと遅れて登場するわけですが。設計、製造がデジタルと言うのは初めての機体ですね。スコーピオンと言いこのブロンコIIといい新しい機体が出てくるのは活気があっていいですね。今後の動向に要注目です。Aviationstの記事からのご紹介です。
Here’s the New “Bronco II” Precision Strike Aircraft for Counterinsurgency/Irregular Warfare missions 新型「ブロンコII」登場、対テロ非正規戦ミッションに精密攻撃可能な機体
Feb 21 2018
南アフリカ製のAHRLAC(発達型高性能偵察軽量機)をもとにブロンコIIが米国で生まれる。
2月21日、ブロンコ・コンバットシステム(BCS)USAが新規企業としてブロンコII複座C4ISR兼精密攻撃機の立ち上げを発表した。同機の原型は南アフリカ初の国産ターボプロップAHRLAC(Advanced High-performance Reconnaissance and Surveillance Aircraft)(高性能偵察監視機)でパラマウントグループParamount GroupとエアロシュドAerosudが共同開発した。
同機の名称はOV-10ブロンコから来ている。1960年代に対ゲリラ戦(COIN)機として開発され、今日でも米特殊作戦軍団がイラクでISIS戦闘員の掃討に使用している機体だ。
BCS広報資料によればブロンコIIは「各種兵装、センサー、システムを搭載し長時間の滞空任務が可能。専用機材として他にない機体で推進式プロペラとオープンシステムのアーキテクチャを採用したことで今後登場する装備も広く利用しミッション柔軟度、適用度の新しい定義を実現する」とある
AHRLACは2011年9月に南アフリカでAerosudが初公開した。2014年7月に初飛行し、9月までに250時間の飛行を実施し、南アフリカ国境に配備されボツワナで作戦運用を視野に入れたテストも行っている。
2016年3月にボーイングが開発に加わり、パラマウントは同機の軍用型製造で提携した。
Defense Newsが当時以下伝えていた。
「ボーイングがミッションシステムを統合し、ISR機能とともに軽攻撃ミッションを安全かつ安定した形でAHRLACに実現させる。軍用仕様はムワリ(南アフリカ伝説の全能ですべてを見通す部族名)とも呼ばれる。機体単価は10百万ドル未満としていたが、ボーイング装備が搭載された機体の価格は不明」
本日発表のBCS資料ではボーイングの関連は言及がない。パラマウントグループ広報は当方の照会に返答していないので入手次第お伝えすることとする。
The Bronco II in a render with the Marines markings (BCS)
同社広報資料からブロンコIIの特徴を見てみよう。(太字筆者によるもの)
「パラマウントグループインターナショナル会長イヴォル・イチコウイッツは『本機で戦闘機材の定義が変わる。軽攻撃、ISR専用として一から設計した機体だ。民間農業機を軍用化したり訓練機を戦闘に転用するものではない。同機の各部は非対称戦の要求に答えるもので迅速な展開とハイブリッドISRや近接航空支援で他の機体ではもともと想定していなかった性能を実現する」
AHRLACがブロンコIIの原型機だが生産はすでに始まっている。同機生産は100%デジタル設計のためブロンコIIの米国生産は支障なく実施できるだろう。生産施設の構築は始まっており機体、ミッション装備ともに米国内で生産される。
イチコウイッツはさらに「ブロンコIIは米市場を前提に設計した。米装備を搭載した機体を米国で本格生産できることにワクワクしている」
ブロンコIIの搭載する交換式各種ミッションシステムベイ(IMSB)により容易に迅速に別の任務用に変更できる。高機能標的センサー、ネットワーク通信装置、精密兵器、電子防御装備、ミッション立案装備が自由に搭載できる。
同機は専用設計機でF3EA(探知・目標捕捉・利用・分析)システムで遠隔地でも長時間運用を最小限インフラで実施できる。ブロンコIIは同様のミッション用機材の数分の一の価格で調達可能でライフサイクルコストも同様だ。
フルクラムコンセプトLLCがウェポンシステムをブロンコIIに統合する。同社の共同オーナーで社長のスコット・リッチマンは「ブロンコIIはF3EA性能を最大限発揮する機体で、真の意味で多用途機でありリアルタイムC4ISR機能を軽攻撃機に最適な形で取り組んだ機体として米軍各部隊が求める要求に答えるもので米国向けには別の用途にもこたえられる。こんな画期的な性能を発揮できる機体を米国に実現することを当社が中心になってすばらしいこと」と述べている。
機体設計にあたったアエロスペース・ディヴェロップメント・コーポレーションのCEO、ポール・ポトジエター博士 Dr. Paul Potgieter は「この機体は完全新型機で次世代設計で最新CATIAやデジタル設計を多用して生産もデジタルで行う。製造工場も革新的な第四次産業革命の成果を活用してデジタル高速試作、レーザー3Dプリント技術、冶具不要の製造方式を採用する。
ブロンコ・コンバットシステムズは米国内企業として同機を米国内エンドユーザーに供給する目的で設立された。設立に加わったのはパラマウントグループUSA、フルクラムコンせプツLLCとADCで後者がAHRLACを設計した。ブロンココンバットシステムズはその他米国内企業とも共同事業を狙っている。
「ブロンコIIが迅速に配備可能な機体でその性能で米国内で恩恵を受ける関係先とともに当社にとっても興奮を覚える段階に来ています。サプライチェーンを統括する米国内企業各社との協議も進んでおり、ミッションソフトウェアやミッション訓練の分野でも同様です」
Image credit: BCS
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