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米空軍が最大級バンカーバスター爆弾を追加製造発注。狙いは当然あの国か。

いかにも緊張緩和してしまったような錯覚が韓国にありますが、米国はちゃんと準備しています。ただし北朝鮮だけの想定ではなく、イランがここにきて注目をあつめそうですねえ。


USAF Orders More Upgraded Massive Ordnance Penetrator Bombs Amid Tensions with North Korea 北朝鮮と緊張高まる中、USAFが地中貫通爆弾を追加発注


The improved 33,000 pound bunker busters would be a key part of any "bloody nose" strike on the reclusive communist country.

33千ポンド改良型バンカーバスターが「鼻血」作戦に投入されるはずだ


BY JOSEPH TREVITHICK FEBRUARY 9, 2018
USAF
空軍は最大級の通常爆弾GBU-57/B大規模地中貫通爆弾MOPをボーイング21百万ドルで製造させる。大型バンカーバスターは北朝鮮攻撃で必須装備となり弾道ミサイルや核兵器製造能力の破壊を目的で限定作戦に投入されるはずだ。地下施設を有するイランや中国も投入可能性のある場所だ。
 空軍は契約交付を2018年2月8日に政府契約情報を伝えるFedBizOppsで公表し、ペンタゴンも報道声明で同日に発表した。公表資料では何発製造するのか不明だがボーイングが同社セントルイス施設で完成させ2020年7月31日が納入期限だと分かる。2011年度契約では28百万ドルで33千ポンド爆弾8発を製造した。ただしここには各種付属部品およびB-2スピリット爆撃機の後方爆弾倉改装費用も含む。同爆弾を投下できるのはB-2のみだ。
 今回の契約交付が最新のMOPであるGBU-57D/Bの製造なのは間違いなく、単価も異なる。2018年1月にブルームバーグがいち早く同型爆弾が運用部隊に配備されたと伝えている。
USAF
2007年、MOPモックアップの前で記念撮影した米空軍と契約企業関係者。

 空軍はMOPについて口を閉ざしがちだが、2015年の別契約からGBU-57D/Bが改良型信管を使っていることがわかる。この点はバンカーバスター爆弾では重要だ。
 信管が早く機能しすぎたり、逆に機能しないと期待する効果が得られない。地下深くの建造物は衝撃に耐える構造で強化コンクリートなどの防御が何層も施され貫通攻撃は容易ではない。
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Contract title suggests that there have now been at least four different variants of the Massive Ordnance Penetrator
 軍は2017年から2千ポンド級バンカーバスターBLU-137/B新型を発注している。旧型BLU-109シリーズと比較すると信管性能が向上している。
 だが小型爆弾では強化コンクリートは4-6フィートしか突破できない。公表資料ではMOP本体は投下距離の10倍以上の地下に潜り強化施設を狙うとあり、さらに高性能の信管が必要となる。空軍がボーイングに信頼度の高い装置を引き続き求めていると考えるのが妥当だろう。
DOD VIA GLOBALSECURITY.ORG

MOP初期段階での貫通性能を示した図。現時点の装備にそのまま当てはまるかは不明。

 ペンタゴンの運用試験評価部門による報告によれば、空軍は新型信管他部品を高性能脅威反応-IV(ETR-IV) 兵器として選定し、ホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)でのテスト結果が好評だったことから採用したとある。2017年5月にB-2爆撃機の三機がGBU-57/B改修型を投下したと報告書にある。
 ただし空軍がMOPの何発を近代改修したかは不明だし、そもそも空軍が何発を装備しているかも不明だ。
USAF VIA PHASE ZERO
GBU-57/B初期型を説明している空軍公表資料

 2011年以降でGBU-57/B各種は少なくとも20発が空軍に納入されている。ただしここから数発は試験用に投下ずみだ。
 いずれにせよ調達数を増やすのは米国が北朝鮮と緊張を高める中で理にかなう。米軍が北朝鮮に限定的な「鼻血」攻撃を実行して核・ミサイル能力を無効にする可能性が論じられている。
「ミサイル施設とミサイルは別のもの」と統合参謀本部副議長ポール・セルヴァ空軍大将 General Paul Selva が2018年1月30日に説明している。「ミサイル発射係の兵舎を吹っ飛ばして仕事できなくする」
 大将は米軍が通常兵器だけで北朝鮮の軍事インフラの「大部分」を破壊できると述べている。北朝鮮にトンネルや地下施設が大規模構築されていることは広く知られ、ミサイルや核攻撃を攻撃から守っているので小型バンカーバスター爆弾の2千ポンド級BLU-109や-137では対応は困難で4,500ポンド級GBU-28/Bの役目が重要となる。
DOD

 米国に核兵器を使わずに金正恩はじめ北朝鮮政権の動きを止める手段がMOPで実現する。指導部が逃げ込む地下施設の破壊が可能になるからだ。米韓両国は北朝鮮トップの「斬首」攻撃に言及している。
 北朝鮮防空体制が旧式化しているとはいえ、高密度で非ステルス機には現実の脅威になっている。そのため限定攻撃か否かは問わずB-2がMOPを搭載して第一波攻撃に投入されるのは確実だ。

USAF
2007年、MOPモックアップでB-2爆弾倉への搭載をチェックした


 MOPが空軍兵装で重要度になっているのは確実で、北朝鮮と同様にトランプ政権は特にイランの弾道ミサイルや核開発に強硬な態度を示している。
 MOP導入の最初の動機はイランがウラン濃縮施設を地下深くに建造し米、イスラエルの先制攻撃を逃れようとしたことだった。イラン政府は地下施設を拡張しミサイルも地下に格納している。
 中国も中核施設を地下に構築し奇襲攻撃を逃れようとしている。人民解放軍のロケット軍だけでも合計3千マイルに及ぶ地下トンネル網があり、国営放送は「地下の長城」と名付けた。中国海軍は海南島に大規模潜水艦地下基地を構築している。2017年7月にストラットフォーが発表した衛星画像で中国が取得したジブチ基地に大型地下施設があることが判明した。

 こうした標的を念頭に空軍がボーイングとMOP追加生産で適度の備蓄量を確保し、いかなる危機にも対応しつつ試験も並行実施するのは賢明な選択と言えよう。■

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