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米国で開発中の極秘機材5種類。近未来の航空優勢の維持を狙う期待の事業だ。

 

 

平洋における中国の脅威とヨーロッパにおけるロシアの侵略に対抗するべく、アメリカは現在、少なくとも新型機5種類を秘密裏に開発中だ。

新型マルチスタティック・ステルス対抗・レーダーと、さらに高度な統合防空システムが登場し、米空軍はF-22ラプターが早ければ2030年に近接戦闘空域での生存能力が不十分になると見ている。そのため、生存能力への懸念は明確だ。米国は、空を支配するため新しい攻撃・防御戦闘機材を敵対国より数多く必要とする。中国やロシアが開発を急ぐ新型ステルス戦闘機や爆撃機から領空を守る必要もある。

アメリカはステルス爆撃機プログラム二種類をある段階まで開発しており、同様に関連したステルス戦闘機プログラムも2つある。しかし、おそらく最も秘密めいたものは、3種類の戦闘任務をこなす設計された低視認性極超音速無人機に、デュアルサイクルスクラムジェットエンジンシステムを実用化する空軍研究本部の取り組みだ。

1) NGAD:無人機編隊を運用する構想

NGADステルス戦闘機の想像図

F-22ラプターは地上最高の性能を持つ戦闘機として広く知られるが、戦闘投入可能な機体は150機を割り、空の頂点に立つ同機は絶滅の危機に瀕している。そこで登場したのが、NGADプログラムだ。

その他新型戦闘機開発と異なり、NGADは単一機体を開発するのではなく、複数機体のシステム・ファミリー構成を目指し、敵空域の制圧を目的に、空戦、対地戦闘のマルチロール能力を持つ。

NGADは、コックピットの自動化とデータ融合という航空トレンドへさらに傾倒し、パイロットを飛行制御機能から解放し、支援無人機を指揮しながら、戦闘に集中できるようになる。確定ではないが、NGAD戦闘機は開発中のアダプティブサイクルエンジンで推力、燃費、熱管理で劇的な向上し、副産物として指向性エナジー兵器など先進システム用の発電容量も増加する。

NGADプログラムの実寸大技術実証機がすでに飛行しているだけでなく、複数記録を更新していると2020年発表された。ただし、技術実証機は試作機ではなく、外観は最終型の機体と別物かもしれないが、NGAD計画は全速力で進んでいるようだ。

NGADの予想価格は、1機約2億ドルになりそうだ。一方、支援無人機は、1130万ドル程度のクレイトスXQ-58バルキリーのような低コスト機から、F-35Aを上回る1億ドル程度の完全機能型無人ステルス戦闘機まで幅広くなる予想がある。F-22ラプターでは、突然の生産中止のため価格が上昇し、約33700万ドル(開発費を含めた場合)(2011年ドル価格)になっていた。現在は44,200万ドルだ。空軍は、F-221:1代替機としてNGAD戦闘機を購入しないと表明しており、NGADの導入機数は不明だ。

2) B-21レイダー:ステルス戦闘機も探知するレーダーもすり抜ける

USAF already has five B-21 Raider bombers in assembly - Air Data News

B-21レイダーの想像図 (Northrop Grumman)

ノースロップ・グラマンのステルス爆撃機B-2スピリットは、未来的な外観にもかかわらず、すでに四半世紀以上にわたり運用されている。中国とロシアがB-2競合機の開発を続ける中、同社はB-21レイダーでアメリカのリードを拡大しようとしている。

B-21は、ノースロップが得意とするB-2と同じ全翼機設計だが、かなり小型化し、B-26万ポンドに対し、3万ポンドの予想積載量で戦闘に望む。小型化しても、B-21は、アメリカの爆撃機に期待される核および通常弾がほぼすべて運用可能で、B-2より少なくとも「2世代先」のステルス技術を活用する。

ステルス戦闘機は低周波レーダーで探知されるが、B-2B-21の全翼機形状は、全レーダー周波数に極めて高いステルス性を持つとされる。このため、長距離爆撃機として紛争初期の激戦空域での攻撃作戦に適する。中国と戦争勃発の場合、まずステルス爆撃機部隊が中国沿岸を対艦ミサイルで攻撃してから、米空母が接近するのはほぼ間違いない。

従来の新型機事例と異なり、レイダーはミッション・システムをすべて搭載し運用できる状態でテスト飛行を開始する。初飛行から初期運用能力獲得までの期間を劇的に短縮できる。米空軍は2010年、新型ステルス爆撃機の機体価格上限を550百万ドルとした。インフレ調整後の予想単価は約729.25百万ドルとなる。ただし、研究開発費は1機あたり20億ドルと言われている。

3) F/A-XX: 米海軍の新型ステルス戦闘機は、NGADとシステムを共有しつつ、航続距離を大幅向上する

Amid heated aircraft carrier debate, the US Navy sees funding slashed for a  next-generation fighter

F/A-XX設計案. (Boeing)

開発ずみ機材を数十年にわたる空母任務に就かせようとした結果、F-35共用打撃戦闘機という悪夢の兵器が誕生したが、これにこりて米海軍の次期ステルス戦闘機は空母運用に特化し開発される。

F/A-XXの名称の新型機は、マルチロール能力を発揮し、空対空および空対地戦闘への期待があることを、「F/A」が示している。米海軍と空軍は、F/A-XXNGADプログラムと共通システムとし、より迅速に実戦投入できると期待している。また、技術成熟に合わせ頻繁に更新する想定で、モジュラー方式のソフトウェアおよびハードウェア・アーキテクチャの恩恵を受ける。

新型戦闘機計画で米国が優先するステルスとデータ融合以外に、海軍のF/A-XXではスーパーホーネットやF-35Cの航続距離を大幅に増加させる必要がある。中国の接近阻止範囲は沿岸から1000マイル程度だが、現行の海軍戦闘機の戦闘半径は650マイルしかない。つまり、米空母は中国に接近できない。

そこでF/A-XXは、燃料貯蔵量を増やし、NGADで搭載が想定されるアダプティブサイクルエンジンを活用し、能力ギャップに対処する。海軍は同機のコスト見積もりを発表していないが、NGADと同程度の価格になると思われる。

4) ウイングマン爆撃機:B-21レイダーと飛ぶ、高性能無人機・ステルス爆撃機になる

Everything we know about the Air Force's new drone stealth bomber effort -  Sandboxx

A rendering of a B-21 Raider Drone Wingman (Created by Alex Hollings)

今年初めの空軍協会シンポジウムで、フランク・ケンドール空軍長官は、激戦空域での深部侵攻攻撃能力を強化するため、B-21レイダーの前に無人ステルス爆撃機を飛ばす構想を検討中と明らかにした。

空軍が業界に提示した未公表の情報要求では、無人ステルス爆撃機には、最低4,000ポンドの積載量と戦闘半径1,500マイルがある。しかし支援手段としての目的を果たすためには同機にもB-21の航続距離に匹敵する性能が必要となる。

B-21レイダーの前方を飛ぶ、安価な無人ステルス爆撃機は大きな戦略的価値を提供する。レイダー搭乗員は、高リスク標的へ無人爆撃機を使用できる。あるいは、目標まで安全なルートを確保するため、防空システムへ交戦させることもできる。B-21の半分のコスト、F-353機分のコストで無人ステルス爆撃機を調達できる。

B-21B-2スピリットとB-1Bランサーの両機種を交代する予想のため、米国が次世代爆撃機の補完として、安価な無人機ステルス爆撃機の配備を検討するのは理にかなう。ただし、開発の初期段階にあり、空軍関係者はB-21のどのシステムをステルス無人機に移行するか、あるいは移行できないものを特定しようとしている。

5) メイヘム: 米空軍の極秘事業が、SR-72として実現するか

SR-72 Project Mayhem

SR-72 想像図 (Lockheed Martin)

国防総省の極超音速兵器プログラムの長いリストに隠れて、空軍研究本部はデュアルサイクル・スクラムジェット推進システムをメイヘムプログラムとして開発しているようだ。同計画はもともと大型スクラムジェットシステムの実用化を狙っていた。

メイヘムはミサイル計画と呼ばれるが、情報要求書(ROI)を見ると、攻撃作戦と情報・監視・偵察の2任務を遂行する、再使用可能な極超音速無人機を目標としているようだ。

正式名称は以前の消耗扱い極超音速空気吸込式マルチミッション実証機"Expendable Hypersonic Multi-Mission Air-Breathing Demonstrator" から極超音速マルチミッションISR攻撃機"Hypersonic Multi-mission ISR and Strike"に変わり、 "Multi-Mission Cruiser" とも呼ばれている。ミサイルではないことを強く示唆しており。「消耗品」の言葉の削除とあわせ「マルチミッション」の名称はメイヘムが世界初のデュアルモードまたはタービンベース複合サイクル(TBCC)極超音速推進システムを活用した再利用可能な自律型プラットフォームであることを示唆する。

(Wikimedia Commons)

言い換えれば、メイヘムは、亜音速から超音速、極超音速まで、全域で機能するタービンベースのスクラムジェットシステムを目指している。現行のラムジェットやスクラムジェットシステムは、超高速になるまで機能しない。

このコンセプトは、ロッキード・マーティンが計画中のマッハ3.5対応のSR-71ブラックバードの後継機、通称SR-72に関する長年の議論と恐ろしく似ている。2018年にロッキード副社長のジャック・オバニオンは、SR-72の実証機が飛行していると示唆し、フルサイズの推進システムが完成しておりテスト中と明言していた。「この機体は極超音速でも機敏に作動する」とオバニオンは2018年のSciTech Forumで観衆に語っていた。「確実なエンジン始動が可能です」。

マッハ5超の速度で安価な兵器を目標に発射する能力から、衛星カバー率が低下した場所での情報収集まで、戦略的に大きな影響を与える。極超音速ミサイル開発が世界中が進む懸念の一方で、空軍は極超音速航空機の開発競争に勝とうと密かに計画しているようだ。

5 secretive new warplanes the US is developing for the next big fight - Sandboxx

Alex Hollings | June 3, 2022

 

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.

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