スキップしてメイン コンテンツに移動

トップガン:マーベリックに登場のダークスターはSR-72の存在を示唆するのか。ロッキードがダークスター製作に携わっていた。


Sandboxx Newsでは、『トップガン』に登場する極超音速航空機ダークスターの実物大モックアップ開発にロッキード・マーティンの伝説的なスカンクワークスが直接関与していたという話を伝えた。この記事は世界中で引用され、トップガンのプロデューサーとディレクター、ジェリー・ブラッカイマーとジョー・コシンスキーのインタビュー動画は、YouTubeだけで130万回以上の再生回数を記録している。



ロッキード・マーティンに同機に関し問い合わせたところ、同社は関与を認めたものの、スカンクワークスは秘密主義の評判にたがわず、ウィンクやうなずき程度にしか答えてくれなかった。


極超音速とは、マッハ5(時速3,838マイル)を超える速度の兵器や航空機を指す。極超音速ミサイルは、この速度と機動性で現在のミサイル防衛システムで迎撃は不可能と考えられている。


だが、ダークスターは架空の機体ではないかもしれず、ロッキード・マーティンはこのような航空機の開発に長い間取り組んできた。



トップガンに登場したダークスターはロッキード発表のSR-72想像図が原型なのか


Lockheed Martin SR-72 renderingLockheed Martin render of the SR-72.


『トップガン マーベリック』は36年たって制作された続編だが、ダークスターは、ロッキード・マーティンが開発した伝説のSR-71ブラックバードの後継機SR-72として期待されていた以前のレンダリング画像と酷似している。


当時、私たちはロッキード・マーティンがこの映画に関与していると知らなかった。しかし、垂直尾翼が1本から2本になったのを除けば、パラマウントが架空の航空機をデザインする際に、SR-72を念頭に置いていたと信じるに足る類似性がある。


Lockheed martin Darkstar toy and SR-72 rendering(上)ロッキード・マーティン発表のSR-72想像図、(下)『トップガン マーベリック』に登場したダークスターの玩具


問題は「トップガン」だ。マーベリックの舞台は架空の世界で、マーベリックのようなパイロットは、問題のある行動や安全規制の完全無視にもかかわらず、英雄として賞賛される。それだけでなく、ロッキード・マーティンのスカンク・ワークスは、ボーイングレイセオンと並び、再利用可能な極超音速航空機の開発に必要な専門知識を有すると考えられる数少ない企業として、空軍からリストアップされている。


さらに興味深いことに、ロッキード・マーティンは最近、映画のダークスターが活用したのと同じ種類の極超音速推進システムのテストに大きな成功を収めたと発表しており、マッハ10機の描写はSFというより、近未来を垣間見るような感じがある。


(Lockheed Martin)


国防総省予算を使った極超音速兵器プログラムの中でも、空軍研究本部(AFRL)の「メイヘム」は、一見するとミサイルに見えるかもしれないが、同プログラムは、極超音速飛行の聖杯の開発が目的だ。ただ、他の航空機と同様に離着陸できるデュアルサイクル・スクラムジェット推進システムを開発する。


スクラムジェット(超音速ラムジェット)は新技術ではない。何十年も前からテストされているが、今日までミサイルや航空機にスクラムジェットを実用化した国はない。超音速で噴射口に流れ込む空気の力でエンジン内の空気を圧縮し、燃料と混ぜて後方で爆発させて推進力を得る。ロッキード・マーティンによると、この取り組みにより、航空機をマッハ6、つまり時速4,600マイルを少し上回る速度まで持続的に推進できるという。


空軍が開発中の極超音速機は劇中のダークスターとそっくりなのか


(Lockheed Martin)



しかし、圧縮には高圧気流を必要とするため、離着陸時の低速では機能しない。そのため、現在テスト中の最新鋭のスクラムジェットでさえ、別の航空機で上空に運ぶ必要があり、ロケット発射してからスクラムジェットが始動する。


AFRの情報要求書(ROI)を見ると、メイヘムは乗員なしの再利用可能な極超音速無人機の実現をめざす可能性が高いと思われる。ROIでは、攻撃作戦と情報・監視・偵察(ISR)作戦という2種類の任務を遂行可能な無人機を要求している。言い換えれば、メイヘムは、通常のジェット機のように離着陸し、飛行の途中で極超音速を達成し維持できる航空機の実用化を目指している。さらにROIは、この新型機が搭載する2種類の兵装について、「地域効果ペイロード」と 「大型ユニットペイロード」と規定している。


しかし、メイヘムがめざすのは、スクラムジェットに切り替えるのに十分な高さと速度になるまで低速で機能できるデュアルサイクルエンジンだ。



NASA - How Scramjets WorkNASA発表の説明資料でわかるが、スクラムジェットには内部可動部品はないので効率は最高になるが、設計は極めて難易度が高い。



メイヘムの正式名称は最近、"Expendable Hypersonic Multi-Mission Air-Breathing Demonstrator" から "Hypersonic Multi-mission ISR and Strike" に変わり、"Multi-Mission Cruiser" とも言及されている。標的に向けて発射するだけのミサイルではないことを強く示唆している。「消耗品」という言葉の削除と「マルチ・ミッション」という名称は、メイヘムが世界初のデュアルモードまたはタービンベース複合サイクル(TBCC)極超音速推進システムを活用した再利用可能かつ自律運用可能な機体をめざしているのを示唆している。


前述したように、ロッキード・マーティンは空軍研究本部がこの課題を達成できると考えている数少ない企業の1つであるだけでなく、実際に数年前からダークスターに似た極超音速基SR-72の手がかりを残してきた。


ロッキード・マーティンは極超音速スクラムジェット運転に成功していた


2022年3月、国防高等研究計画局、エアロジェットロケットダインAerojet Rocketdyne、ロッキード・マーティンは、米露間の緊張を抑えるため翌月まで報告しなかったが、「Hypersonic Air-breathing Weapon Concept(HAWC)」の飛行実験に成功している。


同実験は、HAWC計画として実は2回目の成功であり、ロッキード・マーティンのスクラムジェットシステムとしては初のものであった。2021年9月の前回の成功もHAWCプログラムだったが、ノースロップ・グラマンのスクラムジェットを活用した。一連の成功は、米国が高速空気取入れ式推進システムを使用する兵器の実戦配備でリードしていることを示唆している。


米国は極超音速兵器を通常兵器に限定しているため、競合他社の抑止システムにない課題が多くある。核兵器は爆発半径が大きいので、低精度兵器でよい。通常弾頭の極超音速ミサイルは、標的を破壊するため要求される精度がはるかに高い。



HAWC missile renderingDARPAによるHAWC想像図


非核の極超音速兵器は戦略的価値がある一方で、非常に高価となるため、開発の意義に疑問を呈する声もある。極超音速兵器は防空能力を打ち負かせるが、同じ結果は低速、安価なシステムを大量使用することでも達成可能だ。敵の防空能力を圧倒すれば、トマホークのような亜音速巡航ミサイルでも、目標撃破が可能となる。


しかし、極超音速攻撃機があれば、迎撃を阻止できる。このような航空機は、低コストの通常兵器を投入した後、着陸し再武装して危険な場所からスクラム(噴射)できる。そうすれば、超音速の攻撃能力をすべて手に入れる上に、ピカピカのスクラムジェット機を標的にはりつける必要はない。


メイヘムは、より大きなペイロードを何度も飛ばすことができる、大型スクラムジェットの開発でロッキード・マーティンが大きく関与しているようだ。


ダークスターは映画だけの存在ではない?


lockheed martin darkstar(Lockheed Martin)


6月3日、ロッキード・マーティンのTwitterに、「ジム」とだけ名乗るスカンクワークスのコンセプトデザイナーが登場するダークスターに関する短い動画を投稿された。ジムは、自分が取り組んでいる「ほとんどのこと」について話せないと述べている。


30秒のビデオの最後の発言は、航空機設計の裏に真実があることを示唆しているのかもしれない。


「私の名前はジムです。ダークスター開発に携わり、ここロッキードマーティン・スカンクワークスで未来の構想を練っています」。


しかし、ジム発言を深読みされないように、ロッキード・マーティンのダークスターのウェブページは、ダークスターが実際の機密プログラムとDNAを共有している可能性について、多くを実行中と明言している。


「トップガンのマーベリックチームは、限界を超えたスピードに忠実に描こうとして、スカンク・ワークスが真っ先に呼ばれました。最速の航空機を開発してきたスカンク・ワークスの専門知識と航空宇宙の未来を定義する情熱とエネルギーがあれば、ダークスターは単なるフィクション以上のものになるはずだ......。現実となりうるのです...」(ロッキード・マーティンの「ダークスター」ウェブページ)


ウェブサイトでは、スカンク・ワークスがパラマウント社の制作チームに協力して、撮影用に実物大モックアップを製作したにもかかわらず、ダークスター自体は実在しない航空機と説明している。しかし、極超音速飛行が同社にとって重要分野だとも説明している。


「ダークスターは実在しないかもしれませんが、能力は本物です。極超音速技術、すなわち分速60マイル以上の飛行能力は、30年以上にわたる極超音速への投資と開発・試験の経験を活かし、当社チームが進化中の能力です」。


ヒントは数年前にあった

Darkstar Lockheed Martin(Lockheed Martin)


2018年に遡るが、ロッキード・マーティンの先行開発プログラム戦略・顧客要求担当副社長、ジャック・オバニオンJack O’Banionが、フロリダで開催された米国航空宇宙学会主催の「SciTech Forum」に登壇した。オバニオンは背後のスクリーンにSR-72のアーティスト・レンダリングを映し、あたかも同機がすでに存在し、試験で成功を収めているかのように語った。


「デジタル変革がなければ、この機体は作れなかった」と、オバニオンは2018年の聴衆に語った。「エンジンそのものを作れなかった。5年前に作ろうとしたら、溶けてしまっていただろう。しかし今は、エンジン素材に信じられないほどの高性能冷却システムを組み込んだエンジンをデジタルプリントしており、エンジンが日常運転を繰り返しても残っています」。


オバニオン発言は、SR-72が設計図上でしか存在しない航空機ではなく、ある程度のテストが行われた機体であると示しているように思えた。そして、その主張の証拠がある。


その1年前の2017年、Aviation Weekは、パームデールにある米空軍の42工場付近で、無人のサブスケールSR-72技術実証機と思われるものの飛行が目撃されていると報じた。スカンクワークスの拠点と同じ場所だ。Aviation Weekはロッキード・マーティンのオーランド・カルバルホOrlando Carvalho航空部門上級副社長に連絡を取った。


「具体的なことはお話できませんが、カリフォーニア州パームデールのスカンクワークスチームは、スピードへのコミットメントを倍増させているとだけ言わせてください」とAviation Weekに述べていた。


「極超音速はステルスに類似します。画期的な技術であり、ブラックバードの2~3倍の速度で飛行できるようになります...セキュリティ分類ガイダンス上では、速度はマッハ5以上としか言えません 」。


極超音速兵器に触れたプーチン演説の直後にロッキードはSR-72関連ウェブサイトを削除していた

lockheed darkstar SR-71 Blackbird2018年のロッキード・マーティンのSR-72のウェブページ。


ロッキード・マーティンは2013年にSR-72専用ページを開設し、2015年に更新した。同年、ポピュラー・サイエンスはこのプログラムをカバーストーリーにした。


2018年3月1日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、世界初の運用可能な極超音速兵器Kh47M2キンザルと、ロシアの核超音速ブーストグライド兵器アバンガルドの実戦投入計画を発表し、悪名高い演説とした。同演説が、極超音速兵器開発競争の始まりとされている。


キンザルは噂と違っていたが、プーチン発言は、世界中に、新兵器の能力に不安を抱かせることになった。


興味深いことに、プーチンがロシアの極超音速兵器を発表した直後、ロッキード・マーティンは自社ウェブサイトから極超音速航空機プログラムSR-72に関する記述をすべて削除した。しかし、Wayback Machine(古いウェブサイトを保存するインターネット・アーカイブ)を使えば、ページにアクセスできる。


削除されたSR-72のウェブサイトによると、ロッキードはスクラムジェットで飛ぶ航空機を2030年までに実用化可能と主張していた。そして、そのためエアロジェットロケットダインと協力中との記述が注目される。ロッキードが最近HAWCプログラム用のスクラムジェット試験を成功させたのと同じ会社だ。

「極超音速機は、高価で縁遠い存在ではありません。 実際、SR-72は2030年までに実用化されていてもおかしくありません。ロッキード・マーティン・スカンク・ワークス®はエアロジェット・ロケットダインと共同で、市販のタービンと超音速燃焼ラムジェット空気呼吸ジェットエンジンを統合し、静止状態からマッハ6まで航空機を駆動する方法を開発しました」と、ロッキードマーティンのウェブサイトは2018年に述べていた。


その結果、Aviation Week誌が「ブラックバードの息子」と呼んだSR-72は、高性能と手頃な価格のシステムレベルで最適化された統合エンジンと機体だ、とも説明した。


ダークスターは実在するのか

Lockheed Martin ダークスター render


ひとことで言えば、「ノー」だ。ダークスターはトップガンで特別にデザインされたフルサイズのモックアップだ。ジェリー・ブラッカイマーは、中国がスパイ衛星の向きを変えモックアップを間近で見られるようにした言っているが、ハリウッドの誇大広告かもしれない...あるいはダークスターは本物ではないが、それに似たものがあるかもしれない、との兆候かもしれない。


ダークスターとSR-72コンセプトの最も明らかな違いは、マーベリック自身だ。SR-72は、無人機として構想されてきた。極超音速飛行は人体の生理学上でも実現可能とはいえ、開発の際に現実的な課題がある。


SR-72 concept PACE2021年に空軍のProfession of Arms Center of Excellence (PACE)が公表した映像のスクリーンキャプチャ


商業・防衛用途で再利用可能な極超音速機の開発に取り組むハーマーズHermeusと話して分かったことは、極超音速飛行に固有のGフォースは、高いマッハ速度への遷移が緩やかなら、搭乗員に大きな問題にはならないだろう、ということだ。宇宙飛行士は、再突入時にマッハ25超となるが問題はない。最大のハードルは、高度10万フィート以上から時速4,000マイルを超えるスピードで放出されたときに、パイロットが生き延びる方法だろう。


また、パイロットを乗せれば、生命維持装置、制御装置、ディスプレイ、射出座席、コックピットキャノピーは重量増を生む。


しかし、もしロッキード・マーティンが空軍研究本部のメイヘムとしてSR-72のコンセプト研究を続けているとしたら、中国はダークスターを覗き見しようとしていたのかもしれない。結局のところ、ロッキード・マーティンが2018年から秘密裏にSR-72の作業を続けていたのなら、覗き見する価値がある。


SR-72はすでに存在しているかもしれないし......あるいは、まだパームデールのどこかの製図台上にしかないのかもしれない。いずれにせよ、ひとつだけ確かなことがある。ロッキード・マーティンのスカンク・ワークスは、映画作品上の極超音速飛行以上のものに目を向けているのだ。■


Is there a real secret aircraft behind Lockheed and Top Gun's Darkstar? - Sandboxx

Alex Hollings | June 6, 2022


Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.


 

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ