US Army
米陸軍が久しぶりに軽戦車を採用した。これは機動防護火力車両として知られ、軽歩兵に装甲火力支援を提供する。
冷戦以来初めて、米陸軍は新型軽戦車を取得し、実戦配備するこ。本日、ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズが機動性保護火力(MPF)プログラムMobile Protected Firepower programの競作に勝利し、最大11億4000万ドルの契約を交付すると陸軍が発表した。
今回のMPF契約は、96台の初期低速生産発注に対応するもの。陸軍は、MPFの初期ロット26台で、2023年12月に一号車を引き渡し、2025年までに最初の部隊が完全装備できるよう期待している。陸軍は合計504両の新型軽戦車を購入する計画で、大部分が2035年末までに納入される。この数字に、ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ(GDLS)が試験用に供給ずみの試作車が含まれているかどうかは不明。
General Dynamics Land Systems (GDLS)のMPF(Mobile Protected Firepower)プログラム競作への参加車両 GDLS
GDLSのMPFは、この秋ワシントンDCで開催される米国陸軍協会の年次総会で正式名称が発表される予定ですが、同社のグリフィン IIがベースになっています。主武装は105mm砲で、デモ車両の120mm砲と異なり、M1エイブラムス戦車を流用した砲塔に搭載される。火器管制システムは、M1A2のSEPv3(System Enhanced Package Version 3)を流用している。
グリフィンIIは、オーストリア・スペインのASCOD装甲車シリーズから派生したもので、英国陸軍で問題となったエイジャックス歩兵戦闘車のベースにもなっている。また、GDLSは、ブラッドレー戦闘車の後継車両を目指す陸軍のOMFV(Optionally Manned Fighting Vehicle)計画に、グリフィンIIIを候補として提示している。
陸軍の調達・兵站・技術担当ダグ・ブッシュ次官補Doug Bushは、「MPFプログラムは、兵士のタッチポイントを利用した競争的で迅速なプロトタイプ完成という陸軍の要求に正面から応えたものです」と声明で述べています。「MPFは、調達部門と要求部門が協力して、4年弱で(中間層取得ラピッドプロトタイピング)フェーズを完了し、このシステムを生産に移行させた、ベンチマークとなるプログラムだ。
陸軍の地上戦闘システム担当プログラム主幹グレン・ディーン陸軍准将Brig. Gen. Glenn Deanは、Breaking Defenseによると、本日早朝のラウンドテーブルで、「我々が意図していた全てを達成した」と記者団に語った。「競合2社は競争力がありました」。
MPFプログラムは2015年始まり、陸軍は2018年にGDLSとBAE Systemsの二社にしぼりこんだ。BAE Systemsのエントリーは、1980年代に別プログラムで陸軍向けに開発されたが1996年にキャンセルされたM8ビューフォード Armored Gun System(AGS)軽戦車をベースにしていた。
BAE SystemsのMPF試作車 BAE Systems
M8は、ベトナム戦争時代に製造された最後の軽戦車M551A1シェリダンの後継として開発され、主武装に152mm砲とミサイルランチャーという複雑すぎる装備としていた。1997年に最後のM551A1が現役を退いたが、大規模訓練で敵の模擬車両として使用されるため、2003年まで少数のシェリダンが残されていた。
テスト中のM8 ビューフォード Armored Gun System (AGS) during testing. US Army
M551A1シェリダンが1990年砂漠の嵐作戦でサウジアラビアに展開した US Army
BAE Systemsは、初期のプロトタイプを陸軍に納入するのに大変苦労したと伝えられている。Janes' は、今年3月に 同社がMPF競合から脱落したと伝えていた。
陸軍の現在の計画では、新型MPFの大部分は4個大隊に分散配置される。各部隊は、現在、軽戦術車(ハンヴィーから統合軽戦術車(JLTV)に置き換えられつつある)しか持たない陸軍の歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)に装甲火力を追加し、50口径M2機関銃、40mmMk19自動擲弾筒、TOW対戦車ミサイルで機動火力支援を行う。
訓練でTOWミサイルで武装した陸軍ハンビー。 US Army
Breaking Defenseによると、「答えは名前の中にある」と、次世代戦闘車両クロスファンクショナルチームのディレクター、ロス・コフマン陸軍少将Maj. Gen. Ross Coffmanは、これらの車両の主要な任務は何かという質問に対して、記者団に語ったという。「軽歩兵部隊に機動性と保護された火力を与え、...戦場の障害物(軽装甲車や要塞など)を除去し、歩兵の男女が確実に目標に到達できるようにします」。
これらの車両がどのように配備され、採用されるかは、まだわからないようだ。MPFの設計では、軽量とは相対的なもので、約38トン*とされる。歩兵戦闘車M2A4ブラッドレーより2トンほど軽いだけで、M551A1より20トンも重い。もちろん、70トン超の陸軍の最新型M1戦車に比べれば、大幅に軽いのだが。
*注 10式戦車は44トンといわれる。
陸軍は当初、MPFを、空輸だけでなく空中投下も可能なシェリダンの後継車両として説明していた。その後、新型MPFの戦場へのパラシュート降下可能の要件は取り下げられた。空軍のC-17AグローブマスターIII貨物機1機で、前方地点の滑走路に飛ばす場合、一度に2機搭載できる。
陸軍空挺部隊で新型軽戦車を受け取る部隊は不明である。しかし、本日公開された前回のテストでは、MPFが第82空挺師団の旗を掲げている写真が掲載されている(下写真)。
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今回のMPF選定は、ロシアのウクライナ侵攻を契機に、戦車や重装甲車両の将来像が改めて議論される中で行われた。MPFプログラム自体は、2014年にロシアがウクライナのクリミア地方を占領し、その後同国東部のドンバス地方で分離主義者を支援したのを受けて、陸軍、さらに米軍全体がより通常戦への備えを強化する方向へ、幅広くシフトする一環で浮上したものだ。
とはいえ、M551A1が戦闘任務から引退し四半世紀が経ち、直接の後継車両がないまま、陸軍は新型軽戦車の調達を開始した。■
The Army Just Selected Its First Light Tank In Decades | The Drive
BYJOSEPH TREVITHICKJUN 28, 2022 9:08 PM
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