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ドイツ:憲法改正で大幅軍事費追加支出に目処がつく。だが、どう支出したらいいのか国防省が悩んでいる模様。

 

2022年5月10日、ドイツ・ミュンスター近郊のヴェッティナー・ハイデ演習でパンツァーハウビッツェ2000自走榴弾砲を整備するドイツ兵 (Morris MacMatzen/Getty Images)

 

 

イツの政権連立与党と野党幹部は、ロシアのウクライナ侵攻後の2月末にオラフ・ショルツ首相Olaf Scholzが提唱した1000億ユーロ(約1080億米ドル)の防衛基金を確保する憲法改正を承認するよう、所属議員に働きかけている。

 

 

 同基金は、装備や弾薬の不足を補うのが目的で、NATO合意の国内総生産2%を防衛費に充てる目標に向けドイツを軌道に乗せる鍵となる。ドイツ連邦議会が承認すれば、年間500億ユーロ強で凍結された軍事予算に今後数年間にわたる上乗せになる。

 追加支出は、新規債務を制限する政策と衝突するため、例外として認めるには3分の2の賛成が必要だ。社会民主党、自由民主党、緑の党による連立政権と野党キリスト教民主党の各政党は、週末に合意し、同提案の可決の可能性が高くなってきた。

 政府関係者は、7月上旬の夏期休暇の開始前に法改正を成立させたいとする。並行し、追加予算をどのように使うか、さらに重要なのは、いつ支出するかという優先順位付き調達希望リストを作成している。

 月曜日、3人の著名な社会民主党議員、ショルツ首相、クリスティーネ・ランブレヒトChristine Lambrecht国防相、ロルフ・ミュッツェニヒRolf Mützenich連邦議会議長が法改正への投票支持を議員に求める書簡を出した。

 ウクライナ戦争は、欧州の安全保障構造に大変化をもたらすと、書簡は主張した。「自由の中で生きるには、自由を守り抜く軍事力が必要と教えている」。

 政府が資金をどう使うべきか、ドイツで数カ月にわたる議論の的となってきた。国防省は、通常の国防予算より250億ユーロ追加され、年間総額750億ユーロにされても、能力強化につなげらないからだ。計算では、現在の経済見通しを考慮し、新資金を4年間にわたり均等支出し、毎年NATO目標に達する想定だ。

 Defense Newsが入手した社会民主党の書簡によると、党全体の妥協案は、目標達成に多少余裕を持たせている。計画は、5年間でGDPの2%という「平均的」な支出率を達成するもので、特にNATOでのドイツの責務に関連した投資を行う。

 書簡によると、弾薬の補充だけでも200億ユーロを要するとある。

 党の交渉担当者は、配分の詳細と関連する買収の開始時期を交渉してきた。妥協案では、2022年から始まる「重要な」複数年の調達投資で能力ギャップを埋めると想定している、と書簡は伝えている。

 ベルリンは、核シェアリングミッションでF-35を35機購入したい意向だ。また、ボーイングロッキード・マーチン両社からオファーが出ている新型大型輸送ヘリコプターも検討対象にある。

 EUの東欧諸国はドイツとフランスから離れつつある。かつてはEUの防衛政策の舵取り役だったドイツとフランスが各国のウクライナ向け武器供与政策に怒ったためだ。ロシアに近い欧州諸国は、テンポが遅すぎる一方で、プーチン大統領との会談を重視するのは見当違いと考えている。■

 

 

German government tees up $108 billion defense boost for a vote

By Sebastian Sprenger

 Jun 1, 04:35 AM

 

About Sebastian Sprenger

Sebastian Sprenger is Europe editor for Defense News, reporting on the state of the defense market in the region, and on U.S.-Europe cooperation and multinational investments in defense and global security. He previously served as managing editor for Defense News.

 


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