The Sea Eagle: How America's F-15 Fighter Almost Became a Aircraft Carrier Jet
October 14, 2016
- 1980年代、90年代に米軍の航空戦力のシンボルとなる強力な機種は空軍のF-15制空戦闘機と海軍のF-14可変翼戦闘機で後者は映画トップガンで魅力的に描かれていた。
- だが事情が変わっていれば映画でトム・クルーズが操縦した機体F-15イーグルになっていたかもしれない。
- 米海軍はF-15の空母運用型をF-15Nまたの名を「シーイーグル」として検討していた。1971年のことでデニス・ジェンキンスの著作「マクダネル・ダグラスF-15イーグル、究極の大型戦闘機」で解説がある。
- シーイーグルには機体改修が必要だった。たとえば折りたたみ式主翼や着陸装置の強化だ。だがマクダネル・ダグラスの立場は「推力重量比や視界の優秀性でF-15は空母運用に最適化されていたはず」とジェンキンスは著している。
- 1970年代初頭にマクダネル・ダグラス(現ボーイング)は機体売り込みのチャンスがあった。F-14は1974年に導入されたがトラブルが多く、プラット&ホイットニーTF30エンジンの出力不足が批判の的となっていた。機体価格でも1988年ドル価値でF-14は38百万ドルだったが、空軍仕様F-15Aは28百万ドルだった。
- F-15NはF-14を速度、操縦性双方で上回り機体価格も安く実現できていたはずだ。だが艦載型は重量が3,000ポンド増えていただろう。さらにF-15Nでは当初サイドワインダーとスパローの空対空ミサイルと機関砲を搭載するはずだったが、海軍がソ連爆撃機の迎撃に期待していた長距離AIM-54フェニックスミサイルは搭載の想定がなかった。
- 海軍の戦闘機研究で別の課題も浮上した。F-15にフェニックスミサイルとAN/AWG-9長距離レーダーを搭載すると機体重量はF-15Aより10千ポンドも増え、トムキャットの性能より劣ることになる。マクダネルとフェニックスのメーカー、ヒューズはF-15(N-PHX)を考え出し、フェニックスミサイルはそのままでレーダーを空軍向けAN/APG-63の高性能版ですまそうとした。
- 上院の小委員会で海軍版F-15の審議が1973年3月に始まった。「その時点でF-14は問題だらけで、小委員会は代替策を求め、低コスト版(つまり装備を取り外した)F-14、F-15N、改修型F-4を検討した」とジェンキンスは著している。「イーグルトン上院議員がF-14とF-15の空中実証を提案したが結局これは実現しなかった」
- 結局のところ海軍はトムキャットを使いまわす方向に落ち着いた。だがシーイーグルはそこで終わったわけではない。上院公聴会から「第四海軍戦闘機研究部会が発足し、ここからF/A-18Aが生まれたのだ」(ジェンキンス)
- シーイーグルは有効な効果を実現していただろうか。現在のF-35にも通じる問題が見えてくる。一部で性能を犠牲にする必要があるのだ。事実、F-14は失敗に終わったF-111海軍空軍共用戦闘機構想から生まれている。F-15をF-14同様の空母運用迎撃機にするためには相当の設計変更が必要で海軍版F-15はF-14や通常のF-15より性能が劣る機体になっていただろう。
- そこで現実問題につながる。空軍と海軍は要求内容が異なるのが通例だ。1970年代に空軍は協力で高い操縦性を備えたドッグファイターでF-4ファントムがベトナム戦でMiG戦闘機に味合わされた苦労の再発は避けようとしていた。皮肉なことに空軍は一時期F-106迎撃戦闘機の後継機にF-14を検討していた。
- だが海軍が求める迎撃戦闘機はソ連爆撃機や対艦ミサイルの阻止が目的だった。このため高出力レーダーとともに大型長距離空対空ミサイルの搭載が必須だった。F-35と同様におなじ機体を異なるミッションに投入するのはそもそも無理な話だがこの点が認識されていなくなってしまう。
- そしてもちろん政治が絡んでいた。空軍と海軍は政治家が求めてきた場合にだけそれぞれの機材を導入する。シーイーグルはペンタゴンやホワイトハウスに有力な推進支持派がないため失敗する運命だっただろう。
- 幸いにも最終的に海軍と空軍はそれぞれ求める機材を調達し、機体統一はしなくてすんだ。
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