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★★次期制空戦闘機の姿は大型化、性能向上で現在の戦闘機概念を覆えす可能性

これまでもシンクタンクの想定で戦闘機が大型化するとの考えが示されていますが、米空軍内部でも同じ論調が生まれているようです。実現すれば第一次大戦から続く小型機=敏捷な空の駆逐者とのイメージが大幅に変わる可能性がありますね。一方で給油機等の支援機材の脆弱性が表面化してきました。頭の痛い話です。



War Is BoringWe go to war so you don’t have to

The F-22 Raptor’s Successor Will Be Bigger and Faster Than a Typical Fighter

The U.S. Air Force wants a plane with more range and a heavier payload in the 2030s

by DAVE MAJUMDAR
米空軍の次世代制空戦闘機が初期検討中で17年1月から18ヶ月かけ代替手段検討(AOA)を開始し、2030年代以降の空を制する新型機の性能内容を煮詰めていく。
  1. 2035年にはステルスF-22は機齢30年、F-15Cは供用開始50年以上になる。
  2. まだ空軍は次期制空戦闘機の性能で方針を決定していないが、上記を考えると空軍が侵攻制空戦闘機(PCA)と想定する機体はF-22やF-15では対応不能な脅威内容に対応する性能となるはずだ。
  3. 「将来登場しているはずの脅威内容は理解できています」と航空戦闘軍団で制空戦闘機中核機能開発チームを率いるトム・コグリトー大佐はNational Interest取材で答えている。
  4. 「現有の性能や今後導入予定の性能でどう対応するのか、もしギャップがあればそのときどんな新性能を開発して対抗すべきか検討しています」
  5. コグリトー大佐の説明ではPCAは将来の「各種性能ファミリー」の一要素となり、制空任務はその一部にすぎない。その他必要な機能に基地運営、兵站活動、通信、情報収集監視偵察、指揮統制があり、各種機体・兵装を既存並び新規開発装備を取り混ぜ実現していく。
  6. 空軍では制空任務は運動性兵器以外に非運動効果として電子攻撃やサイバー戦も想定していると大佐は説明。
  7. 基地運用や兵站活動はともすれば軽視されがちだが、近代航空戦では重要な要素で特にロシアの復活や中国の軍事力拡大の中で基地が長距離精密攻撃の対象になってきたことが懸念されている。
  8. その中で中国は一連の巡航ミサイル、弾道ミサイルを開発済みで西太平洋の米軍基地が狙われている。ロシアも長距離攻撃用のカリブル-NKやKh-101ステルス長距離巡航ミサイルを保有しており、米軍の欧州や中東地区基地が脅威を受ける可能性がある。
  9. 「各地から作戦活動を展開する必要があるのは明らかで基地の安全が必須だ。そうなると必要な場所より遠隔地から活動する能力が必要になってくる」(大佐)
  10. 米空軍は空中給油機の安全確保でも構想固めをしている最中で、将来の制空任務実現に必須とみているためだ。ロシア、中国ともに給油機を標的にして米主導の航空作戦を崩すことをを狙って来るのは必至と見ている。
  11. ロシア、中国ともに長距離空対空ミサイルで重要機材を攻撃することを想定している中で、米空軍は長期的にステルス給油機を開発するとしているが、中短期的には緊急対策として脅威軽減が必至としている。
  12. そこで米軍の対抗策として機材の後続距離、滞空時間を延長する事があるが問題は戦闘機の機体寸法に伴う制約条件だ。
  13. 「戦闘機は小型なため滞空時間に制限があることになりがちだが、根本から見直しこの問題に取り組む」とコグリトー大佐は述べる。
  14. 戦闘機の航続距離、滞空時間での制約は実際の作戦面でも明らかになっている。
  15. その例に2011年のリビア作戦があり、防空装備が旧式化していたにもかかわらず作戦が困難を極めたのは距離のせいだった。将来の機材も現有機同様の性能なら運用上大きな問題が再来する。
  16. 「リビアは難題でした。距離そのものが課題でした。イタリアから発進してシドラ湾まで3時間の飛行で、シドラ湾自体は1,100マイルの長さがあります。防空体制が想定より劣ることがわかったとは言え、戦闘機の速度を考えると遠隔地の距離そのものが課題となりました」
  17. そこで給油機の性能要求もPCA研究の一環で空軍は行っている。
  18. 「PCA要求性能の検討の一部として給油機問題も取り上げることになります。長距離機材があれば給油機部隊も縮小できるという人がいますが、反対に小型機運用で小型給油機を多数運用すれば有利になることもあれば不利になるかもしれません」(大佐)
  19. 戦闘機には他の問題もある。小型なためペイロードが限定されがちだ。現有のF-22やF-35が搭載する機内兵装量は少なく、将来の航空戦で制約条件となる。
  20. 「三時間四時間と飛んでも爆弾二発ミサイル二発しか搭載できず、基地へ戻るのではいかにも効率が悪い。そこでまたもや距離の制約条件が猛威を振るいます。でなければもっと長距離を飛んでミンションに必要な量の兵装を搭載しなくては」(大佐)
  21. そこで制約条件の解決策として将来登場するPCA機は大幅に大型機とすることがある。長距離を飛び大量の兵装を搭載するのだ。
  22. この距離、滞空時間、ペイロードの要求とステルス、電子戦能力、速度、操縦性他をバランスさせる必要があるが、空軍の求める性能内容には矛盾する要素がある。大型ステルス機で大ペイロードを搭載し長距離飛行させつつ鋭敏な操縦性をもたせるのは現状では技術的に大きな課題だ。
  23. とは言え新技術として適応型サイクルエンジンの開発はジェネラル・エレクトリックおよびプラット&ホイットニーで進みつつあり、上記の矛盾する性能内容の実現に一役買うだろう。
  24. 「可変サイクルエンジンが実現すれば機体は相当変わってくるはず」と見るのはジェフ・マーティン(ジェネラル・エレクトリック、第六世代戦闘機エンジンを担当)だ。
ハリウッド映画さながらのノースロップ・グラマンの考える第六世代戦闘機の姿。Northrop Grumman capture
  1. ステルスがPCAでも一定の役割を与えられるのは必至だが空軍は次世代制空戦闘機用に電子戦装備に重点を置いているのも明らかだ。
  2. 「2030年代以降で残存するためには電子攻撃能力が必至」とコグリトー大佐は述べる。PCAがステルス、電子攻撃、速度、残存性を筒減するのは確実だ。「バランスが必要です。残存性を図る対策はたくさんありますが」(大佐)
  3. 米空軍ではその他に指向性エネルギー兵器のような興味をそそられる装備も検討しているが、レーザーの可能性は認めるつつ技術がまだそこまで追いついていない。どこかの段階で空軍は開発中技術の搭載を断念すべきかの決断を迫られそうだ
  4. 「そこが新技術で悩ましくも魅力を感じるってんです」とコグリトー大佐は述べる。「選択肢は多くあり、新技術には将来の機体に波及する効果も期待でき、機体寸法の制約を解決する新しい可能性があります」
  5. 米空軍がPCA開発に乗り出す決定をすれば機材は2030年代中頃に運用開始できるはずだ。
  6. ロシア、中国等の潜在敵性勢力の能力が向上している中で現有米軍装備が脅威にさらされることが増えている。そうなると究極的に米軍は新型制空戦闘機を開発し航空優勢を維持する必要がある。
  7. 「敵性勢力が装備、運用双方で実力を伸ばしており、こちらも進歩ているとは言え、空対空戦の有り様は大きく変わってしまったとの認識です」とコグリトー大佐は述べた。



コメント

  1. これは何時ぞやの映画で見た無人戦闘機そのままのような…
    しかし結局は中距離空対空ミサイルの搭載可能な弾薬倉とステルス性、一定の旋回機動性が確保されていれば(これでも高い技術要求だが)問題無いのかもしれませんな。

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