2016年10月9日日曜日

まだまだ現役、B-52の現状と今後の改修の方向性


まだまだB-52は供用されそうですね。エンジン換装が実現すれば一層その効果を発揮するでしょう。良い投資だったことになりますね。

The National Interest


Why America's Enemies Still Fear the B-52 Bomber

October 2, 2016


9月26日、大統領候補討論会でドナルド・トランプはヒラリー・クリントンから核戦力について聞かれこう答えた。

「ロシアの戦力増強で装備は近代化している。それに対し米国は新型装備配備が遅れている。
「先日の晩にB-52が飛んでいるを見たが皆さんの父親より古い機体で祖父の世代が操縦していた。このようにほかの国に追いついていない」

つまりB-52は老朽機で米空軍が世界から特にロシアから大幅に遅れを取っていると言いたかったのだろう。

でも本当に古い機体なのでは?

B-52ストラトフォートレスの初飛行は1952年で生産は1962年まで続いた。現在運用中のB-52H合計76機より高齢のパイロットは皆無に近い。トランプ発言は「祖父」というところまでは正確であり、B-52乗員の中には三世代続けて同機に搭乗員という家族がすくなくとも一組存在する。

その機体が今でも有益なのかが疑問となっているわけだ。

BUFFのニックネームが付くB-52は当初は核爆弾を上空から投下してソ連を攻撃するのが役目だった。だが地対空ミサイル、空対空ミサイルの登場で想定した任務は1960年代末に自殺行為となり、今でも同じだ。

では何に使うのか、米空軍がまだ運用しているのはなぜか。

B-52は湾岸戦争以降ほぼすべての戦役に投入されている。その理由は何か。

B-52には二つの大きな利点がある。大量の爆弾、ミサイルを搭載できること、遠距離に運べることだ。空中給油なしでも8,800マイルを飛べる。また性能向上用のスペースは機内に豊富にある。

同機は爆弾、ミサイルの長距離配達トラックということか。

防空体制を整備されあt標的にはどうするか。AGM-86空中発射式巡航ミサイルを最大20発を搭載する。核・非核両用の同ミサイルはスタンドオフ攻撃用だ。

だが高価な巡航ミサイルをB-52は発射していない。敵対勢力のタリバンやISISに強力な防空体制がくB-52は高高度を上空飛行できるからだ。

B-52はGPS方式のJDAM誘導爆弾12発あるいはGBUレーザー誘導爆弾を4から10発積んで戦闘地区上空で待機し、近接航空支援の要請を待つことがある。もちろんジェット戦闘機でも同じ仕事はできるが、戦闘機は上空飛行待機時間も限られる。アフガニスタンのタリバン討伐作戦を開始した2001年当時はB-52やB-1が米本土から飛来し爆撃していた。当時は近隣に米空軍が運用できる基地がなかったためだ。現在もB-52はタリバン、ISISを相手に作戦を展開している。

ISISへ絨毯爆撃していると聞いたが

絨毯爆撃では数百から数先発の非誘導型爆弾を投下し標的を爆撃する。無差別攻撃となりそのショック効果は大きい。B-52はこのために最適な機材で500ポンドから750ポンド爆弾なら51発を搭載できる。あるいはクラスター爆弾なら40発となる。イラク軍が砂漠地帯に陣取った1991年の湾岸戦争で低レベル絨毯爆撃を行っている。

ただし今日の空軍は絨毯爆撃には関心がない。空軍が同機を投入するの高密度目標だけだが敵側にそれだけの標的がないのが普通だ。付随被害も発生するので民間人居住区の近隣で実施できない。

BUFFは他にどんな任務に役立つの?

長距離飛行性能は海洋上空の監視飛行に最適だ。南シナ海の広大さと中国が覇権を狙っていることを想起してもらいたい。

B-52には海軍用機材が搭載するセンサーはないが、一部機材にライトニング、ドラゴンズアイの水上監視用レーダーポッド二種類が搭載され水上艦船の識別に使える。また別にAGM-184ハープーン対艦ミサイル8発搭載用に改修された機材もあり、160マイルの射程を誇る。このため水上戦闘でもB-52は威力を発揮できる。

ミサイルトラックとしてのB-52をもう一歩進めて空飛ぶ弾薬庫とする構想もある。その場合対空ミサイルも搭載するだろう。

戦闘機では空対空ミサイル搭載数に限りがある。特にステルス戦闘機でこの傾向が強い。そうなると数の上で優勢な敵との対決で不利だ。そこでステルス戦闘機の特性を活かし、アクティブ電子スキャンアレイレーダーにより接近してくる敵を探知させ、データリンクとネットワーク技術でデータを友軍機に送らせる。「弾薬庫」機としてB-52やB-1に長距離空対空ミサイルを多数の搭載させる構想がある。

現時点では理論にすぎず、制約もある。だがペンタゴンは構想を真剣に検討している。

ミサイル以外にB-52をどう活用できるだろうか。力の誇示で目立つ機材だ。弾道ミサイルとの比較では航空機は核兵器運搬手段として脆弱性が避けられない。だが地上配備、海中配備のミサイルはその存在が見えにくく、、一方でB-52は危険地帯近くへ飛ぶことができる。上空飛行で明白な力のメッセージを伝えることが可能だ。

B-52が南シナ海上空や核実験直後の北朝鮮付近を飛行する様子を伝えるニュースを耳にしただろう。ロシアのTu-95ベア爆撃機がイングランドやカリフォーニア沖合を飛行して嫌がらせをするようなものだが、B-52の上空飛行の方が政治的に大きな意味を有する。

だが機体の金属部品が疲労しないのか。また旧式エイビオニクスやエンジンはどうするのか。

その点は考慮ずみで心配は不要だ。空軍はB-52は2040年までの飛行供用は可能としさらに延長の可能性もあるとしている。B-52の設計が堅固かつ保守的であるのが理由で、その後登場した高性能機よりストレスへの許容範囲が高い。空軍は大規模投資でB-52の飛行性能を維持向上している。

だが搭載エイビオニクスは旧式だ。ニューヨーク・タイムズは油圧系統と配線が旧式でコンピュータも故障が多い旧型のまま機内に搭載されていると指摘している。

そこで空軍は11億ドルでBUFFにCONECTエイビオニクス改修を加え新型ディスプレイ、通信装置、データリンクによるネットワークを導入する。また兵装庫改修で誘導爆弾を追加搭載させる。現在はJDAMなら8発搭載可能だが、小型空中発射おとり(MALD)ミサイルも搭載し敵防空体制を混乱させる他、レーダージャミング装置も搭載する。

B-52のTF-33ターボファンエンジンは効率が劣る。一時間3,000ガロンの燃料を必要とする。そこ空軍はエンジン換装で整備コストともに経済性の向上を検討しているが予算がない。そこで浮上してきたのが民間会社に保守整備を信用払いで委託し、新エンジン換装で浮いた運用経費で費用を賄う支払い方法だ。

欠点はあるものの、B-52は今でもしっかりした仕事をしており、空軍も評価しているのは明白だ。ただし古ければすべてよし、というものでもない。

2015年にB-52一機を事故で喪失した空軍は13百万ドルで有名な航空機の墓場(アリゾナ州)からB-52H一機を代わりに復帰させた。13百万ドルで新型爆撃機は調達不可能だ。(なお、墓場にはB-52Hがあと12機温存されている。)

後継機種はないの?

空軍にはより近代的な爆撃機が二機種ある。B-2スピリット・ステルス爆撃機とB-1ランサーだ。だが両機種ともB-52の後継機種とはみなされていない。

B-2スピリットはステルス機で敵防空網の突破が期待されている。高度能力を持つ敵国に十分有効だが、20機しかない。運行は条件に作用され、飛行整備経費は一時間135千ドルとB-52のほぼ二倍だ。経費とともに搭載燃料・兵装量が少ないこともあり、爆弾トラックとして比較的安全な空域で毎日運用することは考えにくいし、海上監視機としても使いにくい。ただしステルス性能が効果を出すがステルスが外交的な力の誇示の目的には適さないことは明らかだ。

B-1BランサーはB-52と同様の効果が期待できる機体だ。搭載兵装量はより大きく、速度は25%も早く、レーダー探知も困難だ。だが今日の防空体制能力ではステルス機も探知されない保証はなく、迎撃を回避する速度も不足している。そこでB-52より性能が高いとは言え、空軍は同機を防空体制が整った空域に送りたくないはずだ。

そうなるとB-1(愛称ボーンズ)はレーザー誘導弾や巡航ミサイルを遠方から発射することとなり、B-52と同様になる。

B-1Bは高性能だが運用経費は一時間60千ドルとB-52より10千ドルも安い。ただし同機も63機と機材数が少ない。B-52がB-1の不足を補うことのか、爆撃ミッションを中止するのかとなり、このためB-52が今年はじめにISIS戦に投入されたのだ。
だがB-52に未来はあるのだろうか。空軍からB-21レイダーの調達を進めると今年発表が出た。これまで長距離打撃爆撃機と呼ばれていた機体だ。B-21はステルス機でB-2スピリットと形状が似ている。

B-21の設計思想は長距離爆撃機で遠隔地に飛び、敵防空レーダーに探知されずに飛行させることにある。中国、ロシアの低帯域レーダーはステルス機の探知にも有効と言われる。機体はB-2よりやや小さくなるだろう。

B-21の機体価格は5億ドルを超えるとされ、空軍としても新技術に真剣に対応しているというだろうが、ペンタゴンは最終価格でこっそりと交渉中と言われる。

ロシアには「最新性能」があるのか?

ロシアは三機種の爆撃機を運用中だ。高速のTu-22M3バックファイヤー、もっと高速のTu-160ブラックジャック、Tu-95ベアで冷戦時の機体設計だ。ただし、ステルス性能はなく、B-2や今後登場するB-21に匹敵する機材はない。

可変翼Tu-22M3はB-1より速度が70%も早いが兵装と燃料の搭載量を犠牲にしている。スピードが防御策にならないことは実証済みで2008年にジョージアで地対空ミサイルで一機撃墜されている。

巨大なTu-160は可変翼式でマッハ2とB-1よりはるかに高速だが兵装搭載量はほぼ同じだ。極めて高価な機体で製造、維持は大変だ。ロシアは16機を保有しているが大部分は飛行可能な状態にない。B-1同様にレーダー断面積は小さいが、敵防空網の突破は期待できない。

そこでTu-95SMとTu-142ベアがある。ロシア版B-52と言える機体で原型のベアは初飛行が1952年でB-52とほぼ同じ任務に投入されている。またうまく任務を実施している。だが何と言ってもプロペラ推進は低速で騒音がすざまじく、兵装搭載量はB-52の半分程度だ。

そうなると一定数の機材が運用されている唯一の重爆撃機は中国のH-6の120機で、冷戦時のTu-16を改修したものだが、飛行距離・兵装搭載量ともにB-52とは比較にならない。

ではトランプの言う「新能力」とは爆撃機以外のことを指しているのだろうか。ロシアにはたしかに新兵器が多数あるが、空の上で追いつくのに必死だ。Su-35はまだ生産が低調だがF-15より優位だといわれている。だがF-15は1976年初飛行で、Su-35はF-22ラプターには追随できない。

またT-50ステルス戦闘機の開発がある。現在の発注数は12機でラプターの一割にも満たない。米国にはラプターに加えやや性能が劣るがF-35も加わる。

地上兵力技術でロシアが進歩しているのは間違いなく、T-14アルマタ戦車には100両の発注がある。だが今のところはT-72戦車改良型数千両が主力で、米軍が1991年の湾岸戦争で粉砕した戦車の改良型だ。

一方でロシアのミサイルには畏怖させるものあり、これから登場するジルコン水上発射ミサイル、S-400地対空ミサイル、イスカンダル短距離弾道ミサイルが要注意だ。特に後者はロシアが航空機による効果に期待できない中で依存を高めそうだ。またロシアも米国同様に大陸間弾道ミサイルによる核戦力を保持している。

ロシアがここ数年で軍事力を増強しているのは明らかで、経済の停滞とは対照的だ。ただし、米国が2016年に投じた国防予算は597百万ドルに対しロシアは87百万ドルで7対1の差がある。多くの場合にロシアが有望な新技術を開発していても実際には十分な配備をする予算がないというのが実情だ。

そうなると…

B-52の愛称BUFFは「デカくて不格好な太っちょ野郎」という意味だ。

だが外観で判断してはならない。B-52にはセクシーさもステルス性能もなく、敵防空網突破やSAM回避はできないかもしれないが、地球の反対側に大量の兵装を投下することができ、ISISやタリバンの本拠地を壊滅することは可能だし、苦戦する地上部隊の援護にもかけつける。

新型機も同じ任務に投入できるし、より高性能機材も登場するだろう。だがB-52はこの時点でも後継機の必要がないほどの活躍をしている。古くても信頼性が高くしっかり仕事をこなす機体を廃棄する必要はない。■

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: A B-52H Stratofortress takes off after being taken out of long-term storage at Davis-Monthan Air Force Base, Arizona. Flickr/U.S. Air Force

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