スキップしてメイン コンテンツに移動

もし戦わば⑧ 日本は中国の侵攻にこう対応する



沖縄では今日も防衛体制整備に反対する住民(沖縄以外の住民含む)がとんでもない行動をしているようですが、現実世界に背を向けているのはちょうど成田闘争に参加した人たちと同じではないでしょうか。法執行のため機動隊員が各地から派遣されているのも成田と同じですが、沖縄では30年間も辛抱強く待っている余裕はないはずです。国家などない方がいいなどと平気で言えるような人は中国や北朝鮮にぜひ旅行してもらいたいものです。

The National Interest


Japan's Master Plan to Defend Itself from China

October 23, 2016

  1. これまで日本の本土防衛方針は凍結されたままだった。冷戦時にはソ連が北方国土を侵攻する想定で強力な機甲部隊でソ連軍上陸を阻止し、空軍部隊で爆撃機を撃退し、海上部隊がシーレーンを確保し、米軍到着まで持ちこたえる想定だった。
  2. この防衛方針が冷戦終結でゆらめいたがゾンビのように生き残ったのはそれ以上によい案がなかったためだ。だが今や中国の軍事力が増強され北京が尖閣諸島の領有を堂々と主張するにいたり、日本も防衛部隊再編で南方での新しい脅威へ対応せざるを得なくなっている。
  3. 中国の軍事費は毎年10パーセント以上の増額を18年間続けた。2010年に突然中国が尖閣諸島の領有を主張すると中国の脅威が急浮上してきた。
  4. 「動的防衛案」と言われる方針は完全な方向転換で、北海道に代わり尖閣、琉球諸島が焦点となった。以前の構想では戦車中心の防衛体制をおく第七装甲師団が中心的存在だったが、今度は新編成の迅速展開揚陸部隊(旅団規模)が中心だ。
  5. この揚陸旅団が新防衛体制の中核で九州佐世保に駐とんし、日米の揚陸艦艇で迅速な移動を目指す。2017年に初期作戦能力を2千名規模で確立し、後に3千名に拡大される。
  6. 同旅団の核が西部方面普通化連隊という大隊規模の軽歩兵部隊で日本の揚陸作戦の知見を一手に握る部隊だ。同部隊は米海兵隊の揚陸作戦演習アイアンフィスト、ドーン・ブリッツに2000年以来参加しており、ゆっくりだが上陸作戦の知見を蓄えており有事に真価を発揮する存在となった。
  7. 同旅団の編成は揚陸歩兵大隊が3つ、それを支援する新型機動戦闘車両(8x8の車輪装甲車で105ミリ砲で機動火力を提供)が配備される。同旅団を運ぶのは三十両の強襲揚陸車両(AAV)で米海兵隊から購入し、BAEシステムズが改修したもので、同隊は米海兵隊の強襲揚陸中隊並の威力を発揮し、大隊全部を装甲車両で上陸できる。AAVは旧式だが新型揚陸戦闘車両が米国で整備されるまで選択肢は他にない。
  8. またV-22オスプレイが17機配備され、中隊規模の空中機動作戦が可能となる。飛行距離はKC-130給油機(6機)で延長できる。第1空挺団(千葉)はH-60中型輸送ヘリ、CH-47J大型輸送ヘリで移送され、AH-64J攻撃ヘリが必要に応じて支援する。
  9. 海上自衛隊も同旅団の支援体制を強化している。おおすみ級揚陸艦三隻が同旅団を車両と輸送する。甲板は航空対応可能で艦内にLCACホーヴァークラフト二隻を収容する。またAAVの発進も可能で各車両で18名の隊員を海岸線まで運ぶ。
  10. 各国で航空機動運用が揚陸作戦の鍵となるが、自衛隊も例外ではない。海上自衛隊はひゅうが級「ヘリコプター駆逐艦」でヘリコプター兵員輸送艦となる。2015年のドーン・ブリッツ演習ではひゅうががAH-64JおよびCH-47Jヘリを日本からカリフォーニアまで輸送し、洋上ヘリコプター基地となったが、2011年の大津波後の救援作戦でUSSロナルド・レーガンが果たしたのと同じ機能だ。ひゅうがはオスプレイの運用も可能だ。
  11. 動的防衛戦略では日本列島に沿って迅速に部隊を展開する必要がある。6,852を数える日本の島しょすべてで防御を固めるのは不可能だ。そこで監視哨やレーダー基地を南方諸島に展開する。早期警戒体制で侵攻の動きを探知するのだが、琉球諸島のうち陸上自衛隊が駐留するのは与那国、奄美大島、石垣、沖縄の四島だけで残りは事実上無防備だ。
  12. では有事に日本の防衛方針はどう機能するのだろうか。尖閣諸島は小さく居住に適さないといわれる。同地区の防衛には揚陸連隊が迅速に展開すべくオスプレイで上陸するだろう。もっと大規模な部隊は佐世保から20ノットで移動すると28時間で到着する。
  13. 敵対勢力が日本領土を実力占拠した場合は該当地の場所により対応方針が変わる。尖閣諸島に上陸された場合なら小隊規模でも艦艇の火力支援があれば奪回可能だが、琉球諸島となると居住民もあり、一個大隊あるいは揚陸旅団をまるまる派遣する必要が生まれる。
  14. 占領下の島しょは海上封鎖し守備隊への物資補給を阻止する。偵察部隊の上陸の前に海上自衛隊が5インチ砲射撃を行うはずだ。偵察部隊は米海兵隊から攻撃の指示訓練をカタリナ島で受けている。AH-64Jアパッチヘリがひゅうが級ヘリコプター駆逐艦から発進し陸上標的を狙うのは英軍のアパッチがHMSオーシャンから発進したリビア作戦と同一だ。
  15. 最後にAAV7を使って歩兵部隊がLCACが機動戦闘車両を移動させ敵の抵抗のない地点へ揚陸させると島に残る敵部隊との交戦が始まる。島の規模が大きいと支援空中機動強襲作戦が行われるだろう。
  16. 日本の動的防衛戦略は最小限の支出増による安全保証に特徴がある。新規旅団の編成では主力戦車は島しょ防衛には不適として多数を廃棄する。旅団編成では不要となった部隊から隊員を補充し、自衛隊全体で千名未満の増員となる見込みだ。その結果生まれるのは柔軟かつ迅速に展開できる部隊で将来の戦場に対応できる。■
Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
Image: A Japanese soldier with the Japan Ground Self-Defense Force conducts a beach raid as part of training for Exercise Iron Fist 2016. DVIDSHUB/Public domain



コメント

  1. となると必須条件として制海及び制空権を保有している必要があるけれども、中国はそれをどう封じに来るのか…

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ