2016年10月31日月曜日

中国海警局の新型艦はフリゲート艦へ転換可能。日本も注意すべき存在


中国の海警局の存在はさんざん知れ渡っているでしょう。今回海軍仕様の艦艇が加わることで大きく存在意義が変わることを記事は指摘しているわけですが、尖閣でさんざん騒いでも海上自衛隊が出てこない=エスカレートさせる名目が立たない中国として同艦を尖閣に動員すれば線引が一気に難しくなりますね。


The National Interest


China's New Coast Guard Vessels Are Designed for Rapid Conversion into Navy Frigates

October 29, 2016


  1. 中国海警局China Coast Guard (CCG) はアジア太平洋地区の戦略を論じる際に真っ先に注目を集める組織で特に複雑な様相を示す南シナ海でその傾向が強い。米海軍情報部は同組織のカッターで編成する艦艇規模を世界最大と認定し、フィリピンと係争中のスカボロー環礁、ヴィエトナムとの間で発生したパラセル諸島沖の石油掘削施設案件でも姿を現した。大型化を続ける「白い船体」の同局所属カッターは中国の新海洋戦略の先兵と解釈されている。

  1. これまでの西側の解釈ではCCGは艦船の大きさ、行動範囲、通信能力、組織のいずれでも中国の国力を誇示し、近隣国の漁民を排除し、海上法執行(MLE) に当たる各国艦船を怖じ気つかせることが目的とされてきた。今回はさらに槍先を尖らせようとしている。新型カッター818型が艦番号46301をつけまもなくCCGへ配備される。注目されるのは同艦が人民解放軍海軍(PLAN)の054型フリゲートをMLE仕様にした点だ。054型は各種兵装・センサーを搭載し海軍アナリストが高く評価し、PLANは同型艦をアデン湾の海賊対策で多用している。

  1. 米側や西側アナリストが気づいていないのは同艦によりCCGが新しい水準の任務実施能力を獲得することで、特に武装面で注意が必要だ。もっと警戒すべきは新型艦が海軍予備兵力となり、比較的簡単に軍艦に転用できることだ。中国の海軍雑誌 Naval & Merchant Ships [舰船知识]の2016年8月号ではこの818型を詳細に解説しており、説明文では「有事には各艦に秘められた能力から迅速にフリゲート艦に転用できる」とある。解説によれば性能諸元は全長134メートル、全幅15メートル、排水量3,900トン、最高速度27ノットとある。武装は76ミリ主砲一門、30ミリ重機関砲2丁、高圧水発射砲4門、Z-9ヘリコプター一機だ。

  1. 同誌では第二次大戦中の米沿岸警備隊のカッターが同活躍した弧を解説しているのは偶然ではない。なお、同誌の発行元は中国船舶工業集団(CSSC)で今回登場した新型カッター818型の建造元でもある。

  1. もう一方の大手造船企業である中国船舶重工集団(CSIC)が刊行する雑誌Modern Ships [现代舰船で新型カッターの詳細がよくわかる。818型建造契約の交付が2013年12月で、主砲の火器管制システムは054A型と同一である。また同記事では退役提督尹卓 Yin Zhuoがフリゲート艦と共通仕様にする構想を提起したとある。2010年のことでミサイル、防空レーダー、電子対抗装置まで搭載した艦を海賊相手に派遣するのはコスト面で逆効果と主張したのだ。ここから軽武装で治安維持に派遣しつつ、フリゲート艦と船体を共有化する発想が生まれた。ただし艦前部に相当の空間が予備となっており「垂直発射システム(VLS)の搭載も可能」とある。艦内の配電系統は拡充可能で、対空監視レーダーを追加し、曳航ソナーを有事に追加すればよい。同様に30ミリ銃を撤去し、代わりに近接武装システムCIWSをつければよい。

  1. 五年以上前だが、筆者は別の出版物を目にしている。「最新の漁業法執行用カッターでは戦時に備えASWヘリコプター、ASW魚雷、曳航ソナーの搭載が想定されている」(CHINA BRIEF, Jamesetown Foundation) 。また筆者は中国MLE部隊の「忍び寄る軍事戦力化」を指摘してきた。いまやその過程は完成した感があり、非武装で組織化未成熟というこれまでの中国の沿岸警備部隊像はもはや過去のものだ。CCGは数ヶ月あれば真の海軍戦力に変身し、中国の海軍戦略の実現手段となるのだ。つまるところ、海上護衛艦対潜水艦の戦いの中で数量に物を言わせれば中国に有利な状況を生む。
  2. 一方で沿岸警備隊を海軍予備兵力として整備するのは中国が初めてではない。日米両国とも同じ発想を採用している。中国との海上緊張を紛争にエスカレートさせないため、米国や同盟国は「海上法秩序」を世界各地の海域に広げる際にCCGも巻き込もうとしており、重要な捜索救難演習に、また海洋環境保護措置に中国を参画させている。

著者ライル・J・ゴールドステインは米海軍大学校(ロードアイランド州ニューポート)で中国海事研究所(CMSI)所属の准教授をつとめている。本稿中に見られる評見あるいは分析は著者個人のものであり、米海軍あるいはその他米政府機関の見解ではない。
Image: People’s Liberation Army Navy type 054A frigate. Wikimedia Commons/Creative Commons/Simon Yang


0 件のコメント: