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日本が開発中のXLUUV(超大型無人水中装備)に注目、岩国海洋環境試験評価サテライトを一部メディアに公開した防衛装備庁

 


Naval Newsが防衛装備庁に特別に招待され、開発中の大型UUVの見学を許されたとのことで記事が出ましたのでご紹介します。日本はこれまで無人装備の研究で先進諸国より遅れていたのですが、ここに来て研究投資が急ピッチで拡大しているようです。その成果はこれから形になって出てくるでしょう。


Japan UUV

Japan UUV

Japan's new XLUUV. Picture by Yoshihiro Inaba.


日本の新型XLUUV潜水艦ドローンを初公開

日本のATLA(防衛装備庁)は、超大型無人潜水機(XLUUV)をNaval Newsに公開した。この印象的な潜水ドローンは現在、研究開発(R&D)段階にある。


2023年12月、ATLAはほぼ独占的なアクセス(Naval Newsともう1つの日本の防衛関連報道機関のみが招待された)で、XLUUVを見せるために岩国海洋環境試験評価サテライト(IMETS)に我々を迎えた。この施設は山口県にあり、UUVの試験・開発に使用されている。


「長期耐久型UUV」と名付けられた新型UUVは、DSEIジャパン2023で初めて公開されたXLUUVの実験機だ。このUUVは三菱重工業(MHI)によって建造され、ATLAの艦艇装備研究所が開発している。少子高齢化が進む日本では、有人装備の運用がますます難しくなる。特に潜水艦乗組員の育成が難しくなり、艦艇数の維持が困難になる可能性がある。そこで日本は現在、将来の水中防衛力を補完する手段として、UUVの研究開発を加速させている。



Japan UUV

Japan’s new XLUUV. Picture by Yoshihiro Inaba.


日本のUUV


UUVはモジュール式で、制御システムを搭載する「ヘッド部」、動力源を搭載する「エナジー部」、推進システムを搭載する「テール部」で構成される。これが基本構成で、さまざまな機器を搭載できるペイロードモジュールを組み合わせることで、各種ミッションをこなす。


「長期耐久型」の名の通り、このUUVは長期間の自律運用を想定しており、基本構成(全長10メートル)なら3~4ノットで1週間の連続運用を達成している。しかし、これはマイルストーンに過ぎず、ATLAはさらに長期間の連続運用を目指している。UUVはリチウムイオンバッテリーを動力源としているが、ATLAは現在、より長い航続距離を達成するために、液体/固体燃料バッテリー、AIP、ディーゼル電気エンジンの使用を検討している。


Japan UUV

Japan UUV

この水槽では、高性能シミュレータと音響機器によって実際の海洋環境を再現する。UUVをこの水槽に入れ、海流、水温、塩分などの海洋環境や水中音響をシミュレーションし、様々なデータを蓄積することで、制御ロジックの構築や他のセンサーの開発に役立てる。写真は筆者撮影。


さらに、センサー/通信ノードなどの重量ペイロードを搭載する「水中機器設置モジュール」、各種海洋調査機器を搭載する「海洋観測モジュール」、ドローンなどを水面に打ち上げる「水面打上げモジュール」、効果的なMDA(Maritime Domain Awareness)を実施するための「海洋監視モジュール」などのペイロードモジュールも研究されている。


このXLUUVで最も重要な点は自律性である。水中では電波を受信できないため、艦艇や陸上からUUVを制御するのは難しい。そのため、自律運用が不可欠である。まず、UUVは慣性航法システム(INS)とドップラー流速ログ(DVL)を組み合わせて位置を知る。さらに、水中と水上の状況を把握するために、パッシブソナーで船のスクリュー音などを検知し、浮上時の最終チェックにアクティブソナーを使う。


そして、自律運航のために最も重要な制御ロジック、つまり知能の部分については、巨大な試験設備で研究が進められている。山口県には、2021年に建設された「岩国海洋環境試験評価サテライト(IMETS)」という試験施設がある。IMETSには長さ30m、幅35m、深さ11mの巨大水槽があり、高性能のシミュレータや音響機器によって実際の海洋環境が再現される。UUVをこの水槽に入れ、海流、水温、塩分などの海洋環境や水中音響をシミュレートし、さまざまなデータを蓄積することで、制御ロジックの構築や他のセンサーの開発に役立てている。


このUUVはあくまでテストベッドであり、このまま海上自衛隊が運用するわけではない。実は現在、この長期運用型UUVで得られたデータを用いて、「UUV制御技術」の研究が進められている。これは、指揮UUVが別のUUVを制御する技術を開発するもので、ソナーなどを使った目標の自動探知・識別も目指している。2023年度から研究を開始した。


また、この「長期耐久型UUV」では、モジュールやソフトウェアなどの標準化を進め、オープンアーキテクチャを実現している。これは、官民両用技術でUUV技術を強化することを目的としている。つまり、このUUVは日本全体のUUV技術の向上も目指している。■


Our First Look at Japan's New XLUUV Submarine Drone - Naval News

Yoshihiro Inaba  05 May 2024


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