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トランプの第1期対中戦略は成功だった....第2期はどうなるのか。バイデン政権は何をしていたのか。

 




この地域と世界で中国の地政学的地位は、トランプによって開始されたワシントンの対抗戦略に苦しめられた


統領の外交政策上のレガシーは、現時点の批評によって定義されるのではなく、その当時の主要な大戦略的課題をどれだけ理解し、対処したかによって定義される。例えば、ハリー・トルーマンは、中国を共産主義者に「奪われた」ことや、北朝鮮の韓国侵攻を抑止できなかったことで、大きな批判を浴びた。しかし、全体としては、第一次冷戦を通じて米国の外交政策の指針となったソ連封じ込めの大戦略を受け入れたことで、先見の明のある政治家として評価されている。

 同様に、ドナルド・トランプはその外交政策の多くでの批判にもかかわらず、外交政策上の決定的な遺産は、新冷戦中に中国の軍事的・経済的拡張主義に対抗する大戦略を開始した。トランプは、現代の主要な外交問題を正しく理解していたのだ。

 バイデンはトランプの中国戦略の多くを引き継いでいるが、その全般的なトーンを間違えている。北京の膨張主義的野心に対抗する明確な政策を打ち出すのではなく、バイデン政権は競争政策と協力政策を混ぜ合わせようとした。これが誤りで、2024年の選挙結果にかかわらず、米国はトランプ政権の国家安全保障戦略(NSS)と国家防衛戦略(NDS)が示した原則に立ち返る必要がある。重要なのは、NSSが冷戦後のアメリカの政策で、ロバート・ゼーリック前国務副長官の言葉を借りれば、中国を潜在的なパートナーとして、また「国際システムの責任ある利害関係者」として扱うことを否定したことだ。これは、共産主義中国をその正体である「不倶戴天の敵対者」として認識するための重要な一歩であった。

 どちらの文書も、中国の台頭を、大国間競争の新時代における米国にとって最重要な地政学的課題と正しく診断している。アジアでは、トランプNSSは「中国はインド太平洋地域で米国に取って代わり、国家主導の経済モデルの範囲を拡大し、自国に有利なように地域を再編成しようとしている」と主張した。

 NDSの中国に関する表現はさらに強いトーンだ:中国は、軍事的近代化、影響力行使、略奪的経済活動を活用し、インド太平洋地域を自国に有利な形に再編成するよう周辺国に強要している。経済的、軍事的に台頭を続ける中国が、長期戦略によって力を主張する中、短期的にはインド太平洋地域の覇権を、将来的には世界的な優位を獲得し米国に置き換わることを目指し、軍事的近代化プログラムを追求し続けるだろう。

 言い換えれば、アメリカ国民と世界中の自由を愛する人々のために自由と平和と繁栄を保証する、アメリカ主導の国際システムに対する唯一かつ最も重要な脅威が中国なのである。アメリカの大戦略は、経済的、技術的、外交的、軍事的な力の各領域にわたり、北京の拡張主義的野心に対抗することに焦点を当てるべきである。

 この現実主義的な転換は、具体的な政策決定での変化を伴った。第一期トランプ政権はその4年間で、アジアとそれ以遠における中国の外交政策に対する深刻な懸念を反映した一連の措置を実施していた。

 国際貿易に関して、ワシントンは中国の悪質な慣行に目をつぶる戦略を放棄した。また、中国共産党の「メイド・イン・チャイナ2025」戦略計画に対抗するため政策を採用した。中国の戦略計画では、中国のハイテク企業に補助金を支給し、中国やその他の地域でアメリカや欧米の企業を駆逐することを目的としている。

 もうひとつの重要な動きは、米海軍とそのパートナーが南シナ海で実施している航行の自由作戦を継続するとともに、大規模な海上多国間演習リムパックへ中国海軍を招待しないことで、スプラトリー諸島で陸地の埋め立てと人工島の軍事化を続けている中国海軍を懲らしめたことだ。

 トランプ政権はまた、国防総省の関心を台湾シナリオに集中させ、地域の主要国(インド、日本、オーストラリア)だけでなく、ベトナムやフィリピンのような小規模だが意欲的な地域パートナーにも働きかけ、中国に向けた反覇権連合の外交舞台を整えた。

 このような政策と強硬な大戦略は、北京に対するワシントンの地政学的目標を推進することに成功したのだろうか。直接的な因果関係を立証するのは難しいが、この地域や世界における中国の地政学的な地位は、トランプ大統領が始めた対抗戦略に苦しめられたのは事実だ。

 トランプ大統領への批判勢力には、前大統領の政策が復活すれば中国が恩恵を受けると主張する者もいるが、習主席はむしろトランプ大統領の2期目を恐れている。ウォール・ストリート・ジャーナルが最近報じたように、中共指導部は、米中経済の切り離しをさらに進めるための新たな経済対策や、トランプ大統領による地政学的クーデターの可能性を懸念している。

 楽観的な戦略家や一部の政策立案者は、中国の経済力はすでに「ピーク」に達しており、したがってトランプの強硬な対抗戦略はもはや必要ないと考えているかもしれない。しかし、ジョージタウン大学のエヴァン・メデイロス教授が示したように、これは危険な妄想である。中国株式市場の最近の回復は、北京の継続的な経済力を示す1つのデータに過ぎない。また、中国の電気自動車産業の最近の成功は、西側の指導者が過小評価してはいけない技術的洗練の度合いを示している。中国の経済的・技術的な強さと、習近平国家主席が示すますます好戦的なレトリックを併せ考えると、ワシントンは強力な対抗的大戦略に立ち戻る必要がある。■


Dan Negrea is the Senior Director of the Atlantic Council’s Freedom and Prosperity Center. He served in leadership positions in the U.S. Department of State between 2018 and 2021. He is the co-author of  We Win They Lose: Republican Foreign Policy and the New Cold War.

Image: Muhammad Aamir Sumsum / Shutterstock.com


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by Dan Negrea Ionut Popescu 


May 21, 2024  Topic: Security  Region: Asia  Tags: Donald TrumpChinaJoe BidenGreat Power CompetitionNational Security StrategyXi Jinping


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