ロシア軍は電子妨害戦術に長けており、ウクライナ戦でもその効果を発揮しています。当初は安全と言われたスターリンクも今では妨害の対象となっており、ウクライナ軍に不利な状況が生まれているようです。Business Insiderの記事からご紹介しましょう。
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ロシアの妨害電波により、米国が供給したHIMARSロケットランチャーは "全く効果がない"としたウクライナの極秘兵器評価書をワシントン・ポストが入手した。妨害電波はスターリンクにも影響を与え、ウクライナに深刻な通信問題となっている
米国が供給したHIMARSロケットランチャーがロシアの電子妨害システムの前に効果を喪失した状態になっている。
ワシントン・ポストが入手したウクライナの極秘兵器評価書によると、ウクライナは標的の問題から、米国が供与した多くの兵器の使用を中止、もしくは縮小せざるを得なくなっているという。
報告書は、エクスカリバーGPS誘導砲弾や高機動砲兵ロケットシステム(HIMARS)などの武器について言及している。
さらにニューヨーク・タイムズによれば、今月初め、ロシア軍はスターリンクの妨害に成功し、ウクライナの前線部隊に深刻な問題を引き起こした。
「エクスカリバーは可能性を失っている。『一発必中』兵器としての評判は地に落ちた」。
最大50マイルまでロケット弾を発射できるHIMARSシステムは、戦争初期にはウクライナの生命線として歓迎されたが、今では戦場で脅威ではなくなっている、とウクライナ軍関係者はポスト紙に語った。
「ロシア軍は電子戦を展開し、衛星信号を無効化し、HIMARSは全く効かなくなった。ロシアの妨害電波は、ミサイルを標的から50フィート(約1.5メートル)以上外す原因になる」という。
米国が供給した滑空爆弾もロシアの妨害電波の結果、標的を外し続けていることが報告で明らかになった。
英国のストームシャドウ・ミサイルや米陸軍戦術ミサイル・システム(ATACMS)含むその他システムは、ロシアの妨害電波の影響をはるかに受けにくい。
ジャミングは、比較的安価なソフトウェアで数万ドル相当の弾薬を無効にできるため、非常に安価な戦術と『ディフェンス・ワン』は報じている。
ロシアの妨害システムは地上から作動し、武器が衛星と通信するのを妨げる「コーン」を投射する。衛星はミサイルを標的に誘導する役目がある。
ロシアは「電子戦の使用を拡大し続けている」と、匿名の米政府高官はポスト紙に語った。「そして我々は進化を続け、ウクライナに効果的な能力を持たせようとしている」。
しかし、中東で特殊作戦を指揮した退役米陸軍中将のマイク・ナガタ氏は、アメリカは電子戦能力で「遅れをとったままだ」と述べたと『ディフェンス・ワン』は報じた。
フロリダ州タンパで開催されたSOFウィークで、ナガタは「私の判断では、米国のあるべき姿と現在の姿のギャップは、あまりにも多くの場所で拡大し続けている」と述べた。彼は、電子戦における優位性を取り戻すため、アメリカはもっと創造的になるべきだと訴えた。
ウクライナでのロシアの電子妨害はイーロン・マスクのスターリンク・サービスも標的にしている。開戦以来、ウクライナ軍はスペースXのスターリンク衛星インターネットサービスを通信と攻撃の調整に利用してきた。
ウクライナ軍第92突撃旅団によると、ロシア軍が北部国境を越えてハリコフに向けて大規模な攻撃を開始した際、スターリンクの速度が極端に遅くなったという。「攻撃の1日前、スターリンクはシャットダウンした。「超、超スローになった。我々は電子戦に負けている」。■
US-supplied HIMARS 'completely ineffective' against superior Russian jamming technology, report says
Cameron Manley May 25, 2024, 9:02 PM JST
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