2016年6月22日水曜日

仲裁裁定結果後の中国の動きに備えた準備を怠るな


6月から7月にかけてはかなり荒っぽい展開になりそうです。中国が国連海洋法条約を脱退する動きを早くも見せていますが、当の米国も批准していなかったのですね、これでは片手落ちです。次期大統領には何とか政治手腕を見せてもらいたいものです。

U.S., Partners Should Prepare For Chinese Reaction To Impending Territorial Dispute Arbitration

June 20, 2016 3:12 PM

A map of China's shifting definition of the so-called Nine-Dash Line. US State Dept. Image
いわゆる九段線を示す資料 US State Dept. Image

南シナ海領有をめぐる中国とフィリピンの対立で国際仲裁裁判所が司法判断を今月中に出すが、中国の反応に米国は備える必要があるとシンクタンクのパネル討論が指摘している。
  1. アンドリュー・シアラーは戦略国際問題研究所CSISのアジア太平洋安全保障問題で上級顧問で、裁定結果で中国不利となれば米国は今後半年間にわたり「抑止モード」に入る必要があると述べた。現在空母二隻が同海域に展開中であるのは良い選択であり今後は増強の必要があるとも述べ、他のパネリストも同意見だった。
  2. 「中国政府は大統領選挙で米国が関心をそらすと考えている」とし、いわゆる九段線の内側はすべて自国の領有との主張を通す絶好の機会と見ているとシアラーは述べた。延長1,000マイル超で中国本土から伸びる九段線を中国政府は歴史上の経緯があり、70年間以上にわたり主張してきたとする。
  3. USSジョン・C・ステニス(CVN-74)、USSロナルド・レーガン(CVN-76)の二隻の空母を中心とする打撃群ふたつが問題の地点に近い場所に展開していることが重要と指摘したのはエイミー・シアライト(CSIS東南アジア研究部長)で、もし中国がスカボロー礁の埋め立て工事と軍事拠点化を先に進めれば同地点が今回の仲裁裁定の争点そのものであることもあり「簡単な解決方法はない」と見ている。同礁はマニラから200マイル未満の近さにあり、最も豊かな漁場でもある。中国海軍は同礁を2013年に実力占拠している。
  4. 「同地の持つ意味は大きい」は中国だけでなく、米国やアジア太平洋地域全体二も同様だと指摘する。シアライトは元国防総省勤務でスカボロー礁の軍事拠点化で中国は「戦略三角形」の基地設営を完成し、「兵力投射能力が大幅に上がる」という。
  5. スカボロー礁に空軍基地ができると中国は防空識別圏を設定し、海上交通も南シナ海ほぼ全域で管制するようになると述べたのはCSIS東南アジア研究部門で顧問を務めるアーネスト・バウアーだ。では米国、日本、韓国などに加え欧州の同盟各国や東南アジア連合内の協力国各国が中国が裁定結果を受け付けない場合にどう対応するかはまだ見えてこない。
  6. 中国はフィリピンとの二国間協議にこだわり、ヘイグの裁判所の権限そのものを認めていない。フィリピンでは政権が交代し、新大統領ロドリゴ・デュアルテが中国との交渉に動くか不明だ。
  7. 「ASEANはバランスを重視する」と日本が1970年代に太平洋で台頭し始めた際に敷衍しながらバウアーは述べた。先週ASEANは裁定結果が出た場合に中国に国際法順守を求める内容の声明文原案を採択しなかった。
  8. 「中国を孤立化させようと誰も考えていない。面子を守ることが重要だ」とバウアーは述べている。アシュトン・カーター国防長官はこの地域を訪れた際に「中国は孤立化の長城を築いている」と発言し自分の主張を経済的外交的軍事的にインド太平洋で押し付ける中国を批判した。
  9. シアラーはASEANへは期待できずかわりに法の支配はいかなる場所でも有効、とする内容で米国は各国と協議のうえ「二国間声明」を出すことに重みを置くべきと主張した。
  10. また不法占拠との裁定結果が出た場合に「米国他は即座に支持を」裁定結果に示し、航行の自由原則が国際公海で有効と主張すべきともシアラーは発言。
  11. またシアラーは選挙後の米新政権および新上院の面々は国連海洋法条約を再考し米国の進める法の支配原則による海上対立を解決すべきと提言した。上院では条約批准に必要な三分の二賛成が得られず、過去数回にわたる大統領府からの批准への訴えを退け、米海軍含む広範な支援も得ていない。

John Grady

本記事の著者ジョン・グレイディはNavy Timesの前編集主幹で米陸軍協会の広報部長も務めている。国防及び国家安全保障分野での報道をBreaking Defense、GovExec.com, NextGov.com、DefenseOne.com、Government Executive、USNI Newsに寄稿している。

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