今年の英国航空ショーは国民投票後に開催となり、英国は大型防衛機材の導入を予定通り進めるのか注目されます。その中で前回は直前で参加できなくなったF-35が雪辱を晴らそうとしており、すでに機材は大西洋を横断して到着しています。
All Eyes on Farnborough, and F-35
LONDON – 英国デビューを二年前に断念したF-35ライトニングIIがいよいよロイヤルインターナショナルエアタトゥー(RIAT)ならびにファーンボロ航空ショーで7月に登場する。
- 国防総省とロッキード・マーティンはエンジントラブルで前回2014年の出展を中止した埋め合わせをする。今回は5機を英国へ飛ばす。
- だがファーンボロ航空ショーの見どころはF-35だけではない。
- 英国からは大型調達案件の発表が見込まれる。ともにボーイングのP-8ポセイドン哨戒機とアパッチAH-64E攻撃ヘリコプターだ。.
- 新型機ではブラジルのエンブラエルがKC-390ジェット軍用輸送機をC-130ハーキュリーズのライバルとして発表する。英ハイブリッド航空機 Hybrid Air Vehiclesは全長92メートルのエアランダー10飛行船を初公開する。
- とはいえF-35が関心を集めることは想像に難くない。
- 米海兵隊仕様の二機、英国用一機のF-35B短距離離陸垂直着陸型STOVLに米空軍仕様F-35A二機がまずRIATに登場する。会場は南部イングランドのフェアフォード英空軍基地で7月8日から10日までだ。
- 英軍は今のところF-35A調達の予定はないが、138機調達の公約を実現する中で同型の導入も検討するのではないか。
- STOVL型3機はファーンボローでも飛行展示を7月11日まで続ける。ショー会場に着陸せずフェアフォードへ帰還する。
- 今回出展されるとSTOVL型で初の米国外展示となる。英国産業界も同機生産に参画しており、ハリヤー運用の歴史を有する英国にとってSTOVLは愛着を覚える存在だ。
- 英国のF-35がユーロファイター・タイフーンとともに打撃力の中心となる点も重要だ。そこに排水量65千トンの空母二隻が加わる。空母はスコットランドでの建造がいよいよ最終段階に入る。
- ハワード・ホィールドン(ホィールドン戦略コンサルタント)はF-35の英国デビューは英軍にとって大きな意義があると述べる。
- 「百聞は一見にしかず、ですよ。RIATとファーンボロにF-35がやってくるとRAF、英海軍に強力な能力を付与することが関係者に実感できますよ。その意味で大きな一歩で英航空戦力の新時代の幕開けです」
- ただ空軍力の増強となるとF-35だけではない。
- 国民投票もあったが、ショーは海外有償軍事援助制度を利用した大型案件ふたつの発表の場になると見られる。RAF向けボーイングP-8ポセイドン哨戒機と英陸軍向けボーイングAH-64Eアパッチ攻撃ヘリコプターの導入を公式に発表の見込みだ。
- ボーイングにとってファーンボロは大きな成果を実現する場になる。7月15日に同社は創立100年を迎え、ファーンボロは同社の過去現在未来の業績を大々的に示す場にもなる。
- 米航空宇宙産業各社と英国企業がファーンボロで最大の勢力だが、中国もプレゼンスを示そうと準備中だ。国際パビリオン計22棟のうち中国、韓国、ブラジルが大部分を使うのは前代未聞のことだ。
- ショーの主催者ファーンボロインターナショナルは取材時点で飛行展示機のリストを完成させていなかった。
- ただし飛行展示各機もF-35の前では影が薄くなる。2015年8月ショアダムで旧式ジェット機が飛行展示中が墜落し11名が死亡したため飛行制限が適用されている。
- ファーンボロ上空でも安全を重視し曲技飛行は大きく制限される。このためRAFはレッドアローによる曲技飛行を自粛し、飛行通過だけとする影響が出ている。また会場付近の道路は午後から閉鎖され帰りの交通移動は苦痛となるだろう。■
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