The U.S. Marines’ Jamming Jets Are Spying on Islamic State
Old EA-6Bs get a new role
by JOSEPH TREVITHICK
EA-6Bブラウラー電子戦機が米海軍、海兵隊で供用開始したのは1971年で強力な搭載ジャマーを使った敵レーダーや通信の妨害が主任務だった。
- 海兵隊はじめ各軍で機材不足が深刻な中、わずかになってきたプラウラーも穴埋めで使われ、イラク上空でスパイ活動に投入されている。
- 2016年5月にISISに対抗するペンタゴンの特別部隊がFacebookに掲載した写真にこれまでと異なる機体各種が写っていた。その中に海兵隊第四戦術電子戦飛行隊所属のプラウラーがあり、通常のジャミング装備ではなく目標捕捉ポッドを搭載していた。
- 2015年1月時点で海兵隊はWar Is Boringにプラウラーがイスラム国戦を支援中と発言したが具体的には何も教えてくれなかった。各機は海兵隊が主に使用しているクウェートのアーメド・アル・ジャバー基地を本拠地にしている様子でトルコのインチリック空軍基地にもEA-6Bが増派されている。
- 「プラウラーは連合軍各機や地上部隊の防護の傘となりダーイシュの通信を妨害してくれる」と米空軍のオマー・ヴィラレアル少佐(空軍中東メディアオペレーション主任)がWar Is Boring にメールで語った。少佐はイスラム国の別称を使っている。
- ありがたいことにイラク国内のテロリスト集団には長距離レーダー誘導による地対空ミサイルの装備はなくプラウラーは妨害を加える必要がない。だがイスラム国のプロパガンダは高度に組織化され技術も高く、通信ネットワーク、ラジオ放送他を沈黙させる機会は豊富にある。
- 「EA-6BはNTISRポッドを搭載できます」と少佐は述べ、「非通常型情報収集監視偵察non-traditional intelligence, surveillance and reconnaissance」任務について言及している。「ただし保安上の理由から同装備をどう使っているか詳細はお話しできません」
- ノースロップグラマンが製造したライトニングポッド Litening pod はスマート爆弾やミサイルの照準用だが、偵察用途にも使えると同社は売り込んでいる。高解像度赤外線カメラとレーザー画像センサーを搭載し、空中からのスパイ活動に最適だという。
- 海兵隊は2007年にプラウラーに同ポッド搭載の改修をしており、とくに監視偵察用途を狙った。海兵隊航空部隊はこの機体をイラクに持ち込んでいる。
- この追加装備でプラウラーは道路わきに爆発物を埋める戦闘員を追尾し、携帯電話からの爆破信号を電子妨害できる。また乗員は新しい目標を発見すれば空爆を要請したり、地上部隊へ警告できる。
- EA-6Bは増槽をつければスパイ任務をさらに長時間延長することが可能で2,000マイルの飛行が可能となる。
- クウェートの基地からイスラム国の拠点地モスルまで往復1,200マイルで、イラク政府軍が奪回を急ぐファルージャまでは400マイル短くなる。
- ペンタゴンはプラウラーの話題では口を閉じているが、米海軍安全本部は同機がイラク上空で情報収集活動についていると認めており、おそらく2014年に投入されていたのだろう。その理由としてダグラス・デヴオノ海軍大尉は同本部発行のApproach誌上で2015年3-4月号で乗機EA-6Bの空調が飛行中に故障したと伝えている。
- 「イラク上空の長時間飛行中に発生した」とあり「NTISRミッションの最中だった」と述べている。
- 記事では当該機の所属は明示していないがAP通信が同大尉が家族と映る写真を2014年11月に配信しており、キャプションでは空母USSジョージ・H・W・ブッシュ航空隊所属としている。
- ブッシュは9か月に及ぶ海上任務からヴァージニアの母港に戻ったばかりだった。艦載機はプラウラー5機も含め空爆他のミッションをイスラム国相手に実施していた。
- これが海軍のプラウラーに最後の実戦展開となった。空母の帰還から7か月して海軍は同機運用を終了している。
- 一方で海兵隊は同機を電子戦機材として少なくとも2019年まで使う予定で、イスラム国戦に投入していくようだ。
- 3月27日に空軍中将チャールズ・ブラウンが中東地区の最上級将官として報道陣に情報収集増強の必要性を話している。「もっと情報があれば民間人被害を最小限に食い止めつつ精密攻撃を継続できる」
- ペンタゴンはイラク、シリア両国で空中情報収取活動を広げる必要に迫られている。さらにスパイ機や無人機はアフガニスタンやイエメンの上空も飛行する必要がある。
- 空軍は監視偵察機を要注意地区のウクライナや南シナ海上空にも飛ばす必要があり、ブラウン中将にとってプラウラー隊がイラク上空にあることは心強いにちがいない。
- 海兵隊のF/A-18ホーネット戦闘爆撃機も臨時に情報収集ミッションをプラウラー同様に行えるが、ホーネットはすでに酷使気味である。予算削減の上ずっと遅れたままのF-35ステルス戦闘機に予算が流れるため、海兵隊航空部隊はホーネットを飛行させるだけで精一杯の観がある。
- 2016年4月20日には海兵隊で航空部門トップのジョン・デイヴィス中将がワシントンの議会で海兵隊保有のジェット機材で飛行可能な状態なのは32パーセント90機未満しかないと驚くべき発言をしている。
- 海兵隊もゆくゆくはEA-6Bの後継機種としてF-35を投入する。だが共用打撃戦闘機の実用化が数年先のままで最前線に大きなしわよせがきており、機齢45年のプラウラーは当面第一線でがんばるしかない。
- イラク、シリア、ペンタゴン、海兵隊で状況がこのままだと、海兵隊プラウラー乗員は通常ミッションに加え情報収集任務を覚悟しなければならない。■
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