アメリカ文化の広がり多様性を物語るようなエピソードであり、空軍という軍組織でも隊員はいろいろな価値観を持っていることを伺わせます。かつて航空自衛隊でも機体愛称をつけておりF-104が栄光だったりした時代があったのですが定着せず中止になりました。今回、F-35一号機に航空自衛隊内部に限り愛称を公募したらどんな結果になるでしょう。その応募こ組織文化を反映するものになるはずです。一部よくわからない名称もあり、ご存じの方は教えて下さい。
Here Are the Names the Air Force Didn’t Pick For the B-21 Raider
Bomber McBombface didn’t make it
by JOSEPH TREVITHICK
9月19日のこと、101歳の退役中佐リチャード・E・コールは有名なドーリットル日本爆撃隊(レイダーズ)の生き残りの一人でジミー・ドーリットルの副操縦士を務めた人物でB-21を「レイダー」と命名した。
高齢の元中佐が数千におよぶ名称提案すべてに目を通すなくてよかった。
四ヶ月前に空軍は異例な決断で空軍隊員に爆撃機名称をインターネットで広く集めることとした。レイダーは4,600件を超える応募で重複を除くと2,100件の名称から選ばれたものだ。
その後空軍は名称候補を15件に絞ったとしていた。コールが発表したのは空軍協会主催の年次大会の席上だった。
本誌は情報公開法でその他の候補内容の開示を求めていたが9月21日に空軍から完全な一覧表が示された。
多くの提案が真面目な内容で空軍の伝統や歴史にふさわしいものだったが、ふざけたものや侮蔑的な名称もあった。空軍広報部門のアン・ステファネックは上位15件の名称を教えてくれた。
アルファベット順にならべると、ブーメラン、ゴースト、ホライゾン、ルメイ、リベレーターII、ミッチェルII、ナイトフューリー、フェニックス、レイダー、シャドウ・フォートレス、スティングレイ、ヴァルキリー、ヴィクトリー、レイス(幽霊)、ゼウスIIであった。
中にはなるほどと思える候補もある。カーティス・ルメイ大将の名前は物議を醸し出しそうだが、その名前はステルス爆撃機としての血統を思わせる。同将軍が核爆撃機の基礎を1940年代50年代に作った。リベレーターとミッチェルの各初代は第2次大戦に米空軍力の象徴として北アフリカ、欧州、太平洋の各戦線で活躍した。
空軍は明らかに過去の時代を想起させる名称を模索したようだ。ノースロップ・グラマンがB-21レイダーを製造するが、競争相手のボーイングにはB-17空飛ぶ要塞からB-52ストラトフォートレスまで米爆撃機として鮮やかな記憶が残っている。
ゴースト、ホライゾン、フェニックス、ヴァルキリーという名前ははるか遠くまで飛ぶステルス爆撃機にふさわしいものがある。B-21の想像図はB-2と同様にブーメランに見える。
最終候補には採用済み名称もある。米海軍はスティングレイを開発中の偵察空中給油無人機につけており、レイスはRQ-170偵察無人機の非公式名称である。
選外となった名称も同様の分類が可能で、自由に関連した名称がある一方、空軍の過去の機材名称からドーントレスII、ドラゴンII、ハヴォックII、フライイングフォートレスIIやファントムIIIの応募があった。空軍隊員はダーク、グローバル、シャドウ、ピース、サイレント、スィフトの付いた名前を多数応募している。
一方で冗談としか思えない候補も挙げられており、Badasswhoopass, Zoomfist, Bomber McBombface, Plane McPlaneface, Stealthy McStealthfaceが見られる。
アクション俳優のチャック・ノリスは空軍憲兵隊勤務の経験があり、今回の名称リストに含まれる。同様にパット・ティルマン(フットボール選手)やクリス・カイル(海軍シールズの名狙撃者)の名前もある。またユリシーズ・グラントやセオドア・ローズヴェルトの元大統領の名前を提案したものもある。
その他有名人の名前ではレスリング界のスーパースター、ジョン・セナやシンガーソングライターのケニー・ロギンス(「Danger Zone])があり、実在しない人物としてキャプテン・アメリカ、C-3PO、ダースヴェイダーなどがあった。
スターウォーズ映画からはデススター、ミレニアム・ファルコンなどがあり、バード・オブ・プレイを推薦したのはクリンゴン宇宙船(スタートレック)で姿を隠す装置がついていたことからの連想だろう。
商標名もあり、ドリトス、チートスの他ベイコネーター(ダブルチーズバーガー)と言うのはウェンディファストフードチェーンからだろう。確かにB-21初めて極秘ステルスジェット機は三角形のドリトスチップと形状が似ている。
だが何よりもポップカルチャーの流れを組む名前には独創性がない。また、独創的と思える名称には空軍に受け入れがたいものもあった。
優雅さでは劣るA-10ウォートホグの名称での応募も二人からあった。空軍は直線翼で丸鼻の同機を何度となく退役させようとしており、うわべ上はF-35やB-21用の予算を確保するためと説明している。
その他「F-35で金をドブに投じたね、ハハハ」とか「予算を飲み込む空に開いた穴」とか「この機体に使える予算があるのかな」という表現も名称として応募されており空軍の選択への疑問が表現されている。その他「国家債務」とか「この機体がどれだけ税収を食いつぶすかわからないだろう」という案も提案されていた。
その他に「無人機の方がマシだが無駄遣いは好き」というのもあり、空軍が無人機で長い間複雑な関係を作ってきたことを思い起こさせる。グローバルストライク軍団司令官のロビン・ランド大将はB-21を無人機にする案はないと公言している。
「国立保険研究所に予算を回せ」とか「この機のせいでデイドにろくな装備がそろわない」というものもあった。「デイド」とはアル・ウデイド空軍基地(カタール)のアメリカ式ニックネームだ。
2月から空軍は同基地の劣悪な居住環境でたたかれている。この二年間でアル・ウデイド基地から9千名を超える隊員がメディアを通じ、あるいは自らソーシャルメディアで水源の汚染、電気系統の危険などを訴えている。
異色をはなつのは陰謀説に関連した9/11やリベラル派慈善事業家ジョージ・ソロスに関する激烈な内容だ。応募には隊員の氏名をつけて空軍所属であることを示す必要があるのだが、こういった応募をした隊員は氏名を明らかにしていない。■
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